私たち夫婦はイスラエルのホロコースト博物館の「諸国民の中の正義の人の庭」でオランダから来た人たちに会いました。命を賭けてユダヤ人を救おうとした人たちに誉れを帰する記念碑に、一行のひとりの祖父母の名が記されていると言います。彼女の祖父ピーター・ミューラー牧師と妻のアドリアナは、レジスタンス運動のメンバーで、2歳のユダヤ人の少年を自分の9番目の子どものようにして、1943年から2年間かくまいました。私たちは感動して「その子は助かりましたか」と尋ねると、年配の紳士が「私がその子です!」と答えました。

ユダヤ人のために勇敢に行動した人たちは、王妃エステルを思い出させます。紀元前350年頃、アハシュエロス王はユダヤ人を全滅させる法令を発布しました。エステルは、身の上を隠して助かることもできましたが、従兄弟から、黙してはいけない、「この時のため」(エス4:14)に今の立場に置かれたのだから、と言われました。それで彼女は、決死の覚悟で行動しました。

劇的な決断を迫られることは、私たちには無いかもしれません。しかし、不正に声を上げるか沈黙するか、苦難にあえぐ人を助けるか目をつぶるか、などという選択をしなければならない時はあるでしょう。どうか、神に勇気をいただき、正しい行動ができますように。