2018年6月30日「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」がユネスコの世界文化遺産に登録されました。日本には、何と470年近くのキリストを信じる信仰の歴史があります。迫害や殉教は言うまでもなく、教育、文化、福祉、伝道、赦しなど、キリスト者はこの世の価値観と全く違った神の国の価値観を、日本の人たちに示しつづけてきました。

人々は先人から受け取った大切なものを「遺産」と呼び、次の世代に引き継ごうとします。それならば、この470年の間に、キリスト信仰を実践し、神の導きに従って人々に仕え、人々の人生が真に豊かになるようにと奮闘した先輩クリスチャンの生き方もまた、私たちに遺された遺産と言えるでしょう。

ここに紹介する歴史上の人物の記述は簡素なものですが、それぞれの生き方の中に現われ出た信仰による敬虔、愛、知恵、力、献身、忍耐などの証は、私たちに励ましと示唆を与えてくれます。これを読みながら、神の小さな声に耳を澄ませるなら、あなたもまた、その大小にかかわらず、信仰の遺産を遺す人になっていくでしょう。

「いつまでも残るものは信仰と希望と愛です」(コリント人への手紙第一13:13)

信仰と美徳:高山右近

フロイスの『日本史』にはこう書かれています。「高山右近の領内におけるキリシタン宗門は、かってなきほど盛況を呈し、十字架や教会が、それまでにはなかった場所に次々と建立された……五畿内では最大の収容力を持つ教会が造られた」。…

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死に至るまで忠実に:キリシタンの殉教者たち

フランシスコ・ザビエルによって、日本にキリスト教が伝わったのが1549年。16世紀後半を通じてその布教活動は順調に進んでいきましたが、豊臣秀吉による伴天連(バテレン)追放令が1587年に発布されたことにより、迫害の時代が幕を開けます。…

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神の栄冠を目指した教育者:新島襄

新島襄(1843-90)は1843(天保14)年、安中藩の江戸詰め下級武士の長男として生まれました。彼は国家の改革者、日本の近代化の先導者になりたいという強い意志をもって、21歳の1864(元治元)年、函館から国禁を犯して脱国し、翌年アメリカのボストンに着きました。…

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二つのJ:内村鑑三

「日本/Japan」と「イエス/Jesus」という「二つのJ」に献身すること、そしてそれを欧米に向けて英語で語ること―――内村はその戦いに身を投じます。…

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開拓者:ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(一柳米来留)

建築家を志していた彼の人生の軌跡に大きな影響を与えたのが、キリスト教の宣教師Mrs. ハワード・テイラーでした。その講演に感銘を受けた彼は、伝道師になることを決意。24歳の時に、来日します。…

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死線を超えて:賀川豊彦

1995年1月17日、午前5時46分。阪神・淡路大震災が発生。被災地を活動エリアとするコープこうべも、本部ビルや多くの店舗が倒壊したが、地震発生直後から、全国の生協から続々と支援の手が届き、「被災地に生協あり」と言われました。…

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愛と平和を求めて:永井隆

著書『この子を残して』の「科学者と宗教」の項で、博士はこう書いています。「つつしんで宇宙の創造主の御業の一部を拝見させていただく気持ちで、実験をしなければならない。つまり、私たち科学者が実験室で実験しているのと、修道士が修道院で祈っているのと同じなのだ。実験は祈りだよ。」…

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道ありき:三浦綾子

原罪をテーマにした『氷点』、一粒の麦の犠牲の愛を描く『塩狩峠』など、三浦作品には必ず聖書のメッセージが通奏低音のように織り込まれています。そして信仰があろうとなかろうと、読んだ人は「生きるとは?」「罪とは?」「愛とは?」といった普遍的な問いと向かわされるのです。…

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