頭の後ろに目が
私は子どもの頃、どこにでもいるいたずらっ子でした。いたずらをすると、叱られないように隠すのですが、大概、母に見つかりました。なぜ、そんなにすぐバレるのか不思議だったことを覚えています。理由を尋ねると、母はいつも、頭の後ろに目があると答えました。当然、母が後ろを向くたびに目を凝らしましたが、成長するにつれ、その探索はあきらめました。結局、自分は思っていたほどの策士ではなかったのです。母は注意深く私の様子を見ていて、それは我が子を心配する愛の表れでした。
分け合う
退役軍人で62歳のスティーブはホームレスで、野外でも凍えず眠れる場所を求めて移動する生活をしていました。ある晩、少しでも稼げたらと自作の絵を展示していると、若い女性がピザを差し入れてくれました。スティーブは感謝して受け取り、そばにいた他のホームレスに分けてあげました。彼の分かち合いの姿を見て、同じ女性は、すぐに次のピザを届けました。
どうぞ使ってください
世界中の大都市と同様、パリの街はずれでも、住民が地域のホームレスを支援しています。防水袋に「これは落とし物ではありません。寒い方はどうぞ使ってください」と書いたラベルを貼り付け、暖かい衣類を入れて指定された場所に吊り下げています。このような活動は、家の無い人々に暖を取ってもらうだけでなく、貧しい人を援助することの重要性を地域住民に教えています。
最良の戦略
娘のバスケットボールの試合を観客席から応援していると、コーチがコート上の選手たちに「ダブルス」と短く指示を出すのが聞こえました。即座に守備の体制が1対1から、パスが集中する相手チームの一番背の高い選手にふたりが付く体制に変わりました。彼女たちはその選手にシュートを打たせず、ついに、ボールを奪って、自分たちのリングに入れて得点しました。
心の平安
アメリカンフットボールのプロ選手だったジェリー・クラマーは、現役を引退してから45年間、最高の栄誉である殿堂入りを果たせずにいました。その他の数々の栄誉には浴しているのに、これだけは願いがかないません。ノミネートは10回を数えました。クラマーは、度重なる失望にもかかわらず、品位を感じさせる謙遜な態度で「ナショナル・ フットボール・リーグは、私の人生に多くのものを与えてくれました。ですから、自分がもらえないものを取り上げて、憤慨したり怒ったりするのは愚かなことです」と言いました。
困難の中で喜ぶ
友人の留守電は「素晴らしい一日を!」と言いますが、自力で毎日を「素晴らしい日」にすることはできません。惨めな状況に置かれることもあるでしょう。しかし考えてみると、物事が順調か否かにかかわらず「人生は捨てたものではない」と感じる美しい瞬間が、どんな日にもあるように思います。
投資の利益
米国株式市場の投資家たちは、1995年、平均で37.6%、過去最高の利益をあげました。そして2008年、ほぼ同率、37%の損失を出しました。各年の利益は様々で、投資家たちはいつも心配し、時には恐ろしささえ感じていました。
静かな畏敬の念
私の生活は慌ただしいと常々感じています。会議から会議に移り、折り返し電話を繰り返し、延々と続く「やる事メモ」をつぶしていきます。ある日曜日、疲労困憊で庭のハンモックに倒れ込みました。スマホは家の中、夫も子どもたちも家にいました。最初はほんの少しだけのつもりだったのに、その静けさの中には、留まりたいと思わせる数々のものがありました。きしむハンモックの穏やかな音、ラベンダーの周りを飛ぶ蜂の音、鳥の羽音も聞こえました。空は抜けるような青さで、白い雲が風に乗って流れています。
関係を回復される
モルモンクリケットというキリギリスの一種が2003年に米国で大量発生し、農作物に27億円以上の損害を与えました。当時、人々の足元に常に虫がいる状態だったといいます。モルモンクリケットという名前は、1848年にユタ州の開拓地を襲ったことに由来します。体長は5~8センチほどですが、一匹で17キロもの植物を食べます。このような昆虫は、農家の生活、また地域や国の経済に壊滅的な被害を与えかねません。