エレミヤ書 3:1-5:31
悔い改めの呼びかけ
1もし人がその妻を出し
彼女が彼のもとを去って
他の男のものとなれば
前の夫は彼女のもとに戻るだろうか。
その地は汚れてしまうではないか。
お前は多くの男と淫行にふけったのに
わたしに戻ろうと言うのかと
主は言われる。
2目を上げて裸の山々を見よ
お前が男に抱かれなかった所があろうか。
荒れ野でアラビア人が座っているように
お前は道端に座って彼らを待つ。
淫行の悪によってお前はこの地を汚した。
3雨がとどめられ
春の雨も降らなかったのはそのためだ。
お前には遊女の額があり
少しも恥じようとしない。
4「あなたは、わが父、わたしの若い日の夫」と
お前がわたしに呼びかけるのは
今が初めてだろうか。
5「主はいつまでも憤り
限りなく怒り続けるだろうか」と
お前は言いながら悪を重ねる。
それでもお前は平気だ。
6ヨシヤ王の時代に、主はわたしに言われた。あなたは背信の女イスラエルのしたことを見たか。彼女は高い山の上、茂る木の下のどこにでも行って淫行にふけった。 7彼女がこのようなことをしたあとにもなお、わたしは言った。「わたしに立ち帰れ」と。しかし、彼女は立ち帰らなかった。その姉妹である裏切りの女ユダはそれを見た。 8背信の女イスラエルが姦淫したのを見て、わたしは彼女を離別し、離縁状を渡した。しかし、裏切りの女であるその姉妹ユダは恐れるどころか、その淫行を続けた。 9彼女は軽薄にも淫行を繰り返して地を汚し、また石や木と姦淫している。 10そればかりでなく、その姉妹である裏切りの女ユダは真心からわたしに立ち帰ろうとせず、偽っているだけだ、と主は言われる。 11主はわたしに言われる。裏切りの女ユダに比べれば、背信の女イスラエルは正しかった。
12行け、これらの言葉をもって北に呼びかけよ。
背信の女イスラエルよ、立ち帰れと
主は言われる。
わたしはお前に怒りの顔を向けない。
わたしは慈しみ深く
とこしえに怒り続ける者ではないと
主は言われる。
13ただ、お前の犯した罪を認めよ。
お前は、お前の主なる神に背き
どこにでも茂る木があれば、その下で
他国の男たちと乱れた行いをし
わたしの声に聞き従わなかったと
主は言われる。
シオンへの帰還
14背信の子らよ、立ち帰れ、と主は言われる。わたしこそあなたたちの主である。一つの町から一人、一つの氏族から二人ではあるが、わたしはあなたたちを連れてシオンに行こう。 15わたしはあなたたちに、心にかなう牧者たちを与える。彼らは賢く、巧みに導く。 16あなたたちがこの地で大いに増えるとき、その日には、と主は言われる。人々はもはや、主の契約の箱について語らず、心に浮かべることも、思い起こすこともない。求めることも、作ることももはやない。 17その時、エルサレムは主の王座と呼ばれ、諸国の民は皆、そこに向かい、主の御名のもとにエルサレムに集まる。彼らは再び、かたくなで悪い心に従って歩むことをしない。 18その日、ユダの家はイスラエルの家と合流し、わたしがあなたたちの先祖の所有とした国へ、北の国から共に帰って来る。
悔い改めへの招き
19わたしは思っていた。
「子らの中でも、お前には何をしようか。
お前に望ましい土地
あらゆる国の中で
最も麗しい地を継がせよう」と。
そして、思った。
「わが父と、お前はわたしを呼んでいる。
わたしから離れることはあるまい」と。
20だが、妻が夫を欺くように
イスラエルの家よ、お前はわたしを欺いたと
主は言われる。
21裸の山々に声が聞こえる
イスラエルの子らの嘆き訴える声が。
彼らはその道を曲げ
主なる神を忘れたからだ。
22「背信の子らよ、立ち帰れ。
わたしは背いたお前たちをいやす。」
「我々はあなたのもとに参ります。
あなたこそ我々の主なる神です。
23まことに、どの丘の祭りも
山々での騒ぎも偽りにすぎません。
まことに、我々の主なる神に
イスラエルの救いがあるのです。
24我々の若いときから
恥ずべきバアルが食い尽くしてきました
先祖たちが労して得たものを
その羊、牛、息子、娘らを。
25我々は恥の中に横たわり
辱めに覆われています。
我々は主なる神に罪を犯しました。
我々も、先祖も
若いときから今日に至るまで
主なる神の御声に聞き従いませんでした。」
1「立ち帰れ、イスラエルよ」と
主は言われる。
「わたしのもとに立ち帰れ。
呪うべきものをわたしの前から捨て去れ。
そうすれば、再び迷い出ることはない。」
2もし、あなたが真実と公平と正義をもって
「主は生きておられる」と誓うなら
諸国の民は、あなたを通して祝福を受け
あなたを誇りとする。
3まことに、主はユダの人、エルサレムの人に
向かって、こう言われる。
「あなたたちの耕作地を開拓せよ。
茨の中に種を蒔くな。
4ユダの人、エルサレムに住む人々よ
割礼を受けて主のものとなり
あなたたちの心の包皮を取り去れ。
さもなければ、あなたたちの悪行のゆえに
わたしの怒りは火のように発して燃え広がり
消す者はないであろう。」
北からの敵
5ユダに知らせよ、エルサレムに告げて言え。
国中に角笛を吹き鳴らし、大声で叫べ
そして言え。「集まって、城塞に逃れよう。
6シオンに向かって旗を揚げよ。
避難せよ、足を止めるな」と。
わたしは北から災いを
大いなる破壊をもたらす。
7獅子はその茂みを後にして上り
諸国の民を滅ぼす者は出陣した。
あなたの国を荒廃させるため
彼は自分の国を出た。
あなたの町々は滅ぼされ、住む者はいなくなる。
8それゆえに、粗布をまとい
嘆き、泣き叫べ。
主の激しい怒りは我々を去らない。
9その日が来れば、と主は言われる。
王も高官も勇気を失い
祭司は心挫け、預言者はひるみ
10言うであろう。
「ああ、主なる神よ。
まことに、あなたはこの民とエルサレムを
欺かれました。
『あなたたちに平和が訪れる』と約束されたのに
剣が喉もとに突きつけられています。」
11そのときには、この民とエルサレムに告げられる。
「荒れ野から裸の山々の熱風が
わが民の娘に向かって吹きつける。
ふるい分ける風でも、清める風でもない。
12それにまさる激しい風が
わたしのもとから吹きつける。
今やわたしは彼らに裁きを下す。」
13見よ、それは雲のように攻め上る。
その戦車はつむじ風のよう
その馬は鷲よりも速い。
ああ、災いだ。我々は荒らし尽くされる。
14エルサレムよ
あなたの心の悪を洗い去って救われよ。
いつまで、あなたはその胸に
よこしまな思いを宿しているのか。
15聞け、災いをダンから告げ
エフライムの山から知らせる声を。
16諸国の民にこれを告げ
エルサレムに知らせよ。
「包囲する者が遠い国から押し寄せ
ユダの町に向かって戦いの喚声をあげ
17畑の見張りのように彼らを包囲する。
ユダがわたしに背いたからだ」と主は言われる。
18あなたの道、あなたの仕業が
これらのことをもたらす。
これはあなたの犯した悪であり
まことに苦く、そして心臓にまで達する。
19わたしのはらわたよ、はらわたよ。
わたしはもだえる。
心臓の壁よ、わたしの心臓は呻く。
わたしは黙していられない。
わたしの魂は、角笛の響き、鬨の声を聞く。
20「破壊に次ぐ破壊」と人々は叫ぶ。
大地はすべて荒らし尽くされる。
瞬く間にわたしの天幕が
一瞬のうちに、その幕が荒らし尽くされる。
21いつまで、わたしは旗を見
角笛の響きを聞かねばならないのか。
22まことに、わたしの民は無知だ。
わたしを知ろうとせず
愚かな子らで、分別がない。
悪を行うことにさとく
善を行うことを知らない。
23わたしは見た。
見よ、大地は混沌とし
空には光がなかった。
24わたしは見た。
見よ、山は揺れ動き
すべての丘は震えていた。
25わたしは見た。
見よ、人はうせ
空の鳥はことごとく逃げ去っていた。
26わたしは見た。
見よ、実り豊かな地は荒れ野に変わり
町々はことごとく、主の御前に
主の激しい怒りによって打ち倒されていた。
27まことに、主はこう言われる。
「大地はすべて荒れ果てる。
しかし、わたしは滅ぼし尽くしはしない。
28それゆえ、地は喪に服し
上なる天は嘆く。
わたしは定めたことを告げ
決して後悔せず、決してこれを変えない。」
29騎兵や射手の叫びに、都を挙げて逃げ去り
茂みに隠れ、岩に登る。
都は全く見捨てられ
だれひとりとどまる者はない。
30辱められた女よ、何をしているのか。
緋の衣をまとい、金の飾りを着け
目の縁を黒く塗り、美しく装ってもむなしい。
愛人らはお前を退け、お前の命を奪おうとする。
31まことに、産みの苦しみのような声が聞こえる。
初めて子供を産む女のような苦しみの声が
あえぎながら手を伸べる娘シオンの声が。
「ああ、殺そうとする者の前に
わたしは気を失う。」
エルサレムの堕落
1エルサレムの通りを巡り
よく見て、悟るがよい。
広場で尋ねてみよ、ひとりでもいるか
正義を行い、真実を求める者が。
いれば、わたしはエルサレムを赦そう。
2「主は生きておられる」と言って誓うからこそ
彼らの誓いは偽りの誓いとなるのだ。
3主よ、御目は
真実を求めておられるではありませんか。
彼らを打たれても、彼らは痛みを覚えず
彼らを打ちのめされても
彼らは懲らしめを受け入れず
その顔を岩よりも固くして
立ち帰ることを拒みました。
4わたしは思った。
「これは身分の低い人々で、彼らは無知なのだ。
主の道、神の掟を知らない。
5身分の高い人々を訪れて語り合ってみよう。
彼らなら
主の道、神の掟を知っているはずだ」と。
だが、彼らも同様に軛を折り
綱を断ち切っていた。
6それゆえ、森の獅子が彼らを襲い
荒れ地の狼が彼らを荒らし尽くす。
豹が町々をねらい
出て来る者を皆、餌食とする。
彼らは背きを重ね
その背信が甚だしいからだ。
7どうして、このようなお前を赦せようか。
お前の子らは、わたしを捨て
神でもないものによって誓う。
わたしは彼らに十分な食べ物を与えた。
すると、彼らは姦淫を犯し
遊女の家に群がって行った。
8彼らは、情欲に燃える太った馬のように
隣人の妻を慕っていななく。
9これらのことを
わたしが罰せずにいられようかと
主は言われる。
このような民に対し、わたしは必ずその悪に報いる。
10ぶどう畑に上って、これを滅ぼせ。
しかし、滅ぼし尽くしてはならない。
つるを取り払え。
それは、主のものではない。
11イスラエルとユダの家は
繰り返しわたしを欺いた、と主は言われる。
12彼らは主を拒んで言う。
「主は何もなさらない。
我々に災いが臨むはずがない。
剣も飢饉も起こりはしない。
13預言者の言葉はむなしくなる。
『このようなことが起こる』と言っても
実現はしない。」
14それゆえ、万軍の主なる神はこう言われる。
「彼らがこのような言葉を口にするからには
見よ、わたしはわたしの言葉を
あなたの口に授ける。
それは火となり
この民を薪とし、それを焼き尽くす。」
15「見よ、わたしは遠くから一つの国を
お前たちの上に襲いかからせる。
イスラエルの家よ、と主は言われる。
それは絶えることのない国、古くからの国
その言葉は理解し難く
その言うことは聞き取れない。
16その矢筒は、口を開いた墓
彼らは皆、勇士だ。
17お前たちの収穫も食糧も食い尽くす。
更に、息子、娘を食い尽くし
羊や牛を食い尽くし
ぶどうやいちじくを食い尽くす。
お前が頼みとする砦の町々を
剣を振るって破壊する。」
18「そのときですら」と主は言われる。「わたしはお前たちを滅ぼし尽くしはしない。」 19「何故、我々の主なる神はこのようなことを我々にされたのか」と言うなら、あなたはこう答えよ。「あなたたちはわたしを捨て、自分の国で異教の神々に仕えた。そのように、自分のものではない国で他国民に仕えねばならない。」
20これをヤコブの家に告げ、ユダに知らせよ。
21「愚かで、心ない民よ、これを聞け。
目があっても、見えず
耳があっても、聞こえない民。
22わたしを畏れ敬いもせず
わたしの前におののきもしないのかと
主は言われる。
わたしは砂浜を海の境とした。
これは永遠の定め
それを越えることはできない。
波が荒れ狂っても、それを侵しえず
とどろいても、それを越えることはできない。
23しかし、この民の心はかたくなで、わたしに背く。
彼らは背き続ける。
24彼らは、心に思うこともしない。
『我々の主なる神を畏れ敬おう
雨を与える方、時に応じて
秋の雨、春の雨を与え
刈り入れのために
定められた週の祭りを守られる方を』と。
25お前たちの罪がこれらを退け
お前たちの咎が恵みの雨をとどめたのだ。」
26「わが民の中には逆らう者がいる。網を張り
鳥を捕る者のように、潜んでうかがい
罠を仕掛け、人を捕らえる。
27籠を鳥で満たすように
彼らは欺き取った物で家を満たす。
こうして、彼らは強大になり富を蓄える。
28彼らは太って、色つやもよく
その悪事には限りがない。
みなしごの訴えを取り上げず、助けもせず
貧しい者を正しく裁くこともしない。
29これらのことを、わたしが罰せずに
いられようか、と主は言われる。
このような民に対し、わたしは必ずその悪に報いる。
30恐ろしいこと、おぞましいことが
この国に起こっている。
31預言者は偽りの預言をし
祭司はその手に富をかき集め
わたしの民はそれを喜んでいる。
その果てに、お前たちはどうするつもりか。」