音楽の力
男声合唱はウェールズの文化に深く根づいています。第二次世界大戦以前には、ウェールズのグリークラブ(男声合唱団)とドイツのグリークラブは良きライバルでした。しかし、戦争を経て両者の友情は敵意に変わってしまい、戦後になってもわだかまりが残っていました。両者は、自分たちの合唱団の間を行き来したトロフィーに書かれていたメッセージによって、徐々に緊張関係を乗り越えていきました。そこには、「友だちだから話そう。兄弟だからともに歌おう」と書かれていたのです。
導きが必要
アイルランドのゴールウェイにある聖ニコラス教会は、長い歴史を持ち、現在も生き生きと活動する教会です。アイルランドで一番古いその教会は、ある実用的な役割も果たしてきました。教会堂は市街地にそびえ立ち、その尖塔はゴールウェイ港に船を安全に導く目印として用いられています。この教会は何世紀もの間、家路を急ぐ船の乗組員たちにとって、頼れる導き手の役割を果たしてきました。
十字架の奇跡
オーストラリアを訪れたとき、好天に恵まれて南十字星を見ることができました。これは南半球を代表する星座です。航海士や水夫たちは、それを15世紀頃から、海上で方角を知るために用いてきました。南十字星は比較的小さい星座ですが、一年中見ることができます。漆黒の夜空にきらめく星座は、本当に素晴らしい眺めでした。
満載喫水線
無謀な過積載が原因で船が沈没し、乗組員が亡くなるという海難事故が19世紀にはよくありました。この無責任な慣例を正すため、英国の政治家サミュエル・プリムソルは1875年に、すべての船の船体に線を引いて、その線によって積載貨物の限界を示すという法律を作りました。この線(満載喫水線)はプリムソルマークと呼ばれて、今日の船の船体にも引かれています。
養子
私たち夫婦は結婚して35年になります。交際し始めた頃に交わした会話を、今でも忘れることができません。彼女は生後6ヶ月のときに、養女としてもらわれてきたと打ち明けてくれました。本当の親は誰なのか知りたいと思ったことはないのかと尋ねると、彼女はこう言いました。「父と母はその日、たくさんの赤ちゃんの中から誰でも好きな子どもを選べたの。他の子を選ぶこともできたのに、他ならぬ私を養女にしてくれたわ。ふたりは私の本当の親よ。」
複雑な心境
私たち夫婦は結婚式の当日、実に複雑な心境でした。誤解しないでください。35年以上たった今でも、あれは素晴らしい出来事だったと言えます。けれども、結婚式のわずか数週間前に、妻の母親ががんで亡くなったのです。妻の叔母が「花嫁の母」の代役を立派に果たしてくれました。しかし、私たちは幸福の真っただ中にありながら、明らかに違和感がありました。母の不在が、すべてに影響を与えていたのです。
クリスティングル
チェコ共和国などの国々では、「クリスティングル」を立ててクリスマスを祝います。「クリスティングル」とはオレンジの真ん中にろうそくを立てたものですが、オレンジは世界、ろうそくはキリストを象徴しています。オレンジには赤いリボンが巻かれていて、それはキリストの血潮を表しています。また、4本の爪楊枝にドライフルーツが付けられ、リボンの上からオレンジに刺されていますが、これは大地の実を表します。
御子が与えられる
ヘンデルのオラトリオ「メサイア」で好きな部分は、第1部の「ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる」という喜びに満ちた部分です。特に「わたしたちは御子をさずかるのだ」と合唱が盛り上がっていくところが大好きです。この歌詞はもちろん、イザヤ書9章6節の「ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。ひとりの男の子が、私たちに与えられる」から引用されています。ヘンデルの荘厳な音楽は、人の姿になって最初のクリスマスに来てくださった御子を敬愛し、感謝して、天に向かって上っていきます。
極度の恐れ
子ども聖歌隊は何週間も練習をして、ついに恒例のクリスマスミュージカルの本番を迎えました。衣装を着た子どもたちが礼拝堂に入場してきました。そのときです。後方のドアのあたりで大声が聞こえました。私たち夫婦が振り向くと、恐怖で顔を引きつらせた息子のマットが叫んでいました。1983年のことです。まだ幼かった彼は、必死でドアの取っ手につかまり、怯えきった表情で泣いていました。彼はステージに上がりたくなかったのです。かなり説得しましたが、ダメでした。ついに日曜学校の教師は、ステージに上がらなくてもいいと言い、息子は私たちの隣に座りました。しばらくすると、彼の恐怖感は収まりました。