価値を計る
地元の人に「どこにもたどり着かない道」と呼ばれているのは、地図上に「湖水周遊道」と表記されているフォンタナ湖を見下ろす10キロメートルほどの道です。ノースカロライナ州ブライソン市にほど近いグレート・スモーキー山脈国立公園にありますが、花こう岩の山腹を貫く約400mのトンネルを抜けると途絶えてしまいます。政府は大金をつぎこんで周遊道を通そうとしましたが、生態系への悪影響が懸念されてプロジェクトが頓挫しました。
神の思いやり
神は本当にこんなに大勢の心配ができるのかしら。初めての海外。駅の雑踏の中で、そんな疑問がふと頭をよぎりました。10代の私は、世界の大きさに圧倒されていました。自分がちっぽけに感じられ、こんなに多くの人々を神は本当に愛せるのだろうかと思いました。
神に頼る
生後2カ月半の孫娘レイラニに「おや、ずいぶん深刻な顔をしているね」と話し掛けました。彼女は眉間にしわを寄せて私の顔を見ています。私は続けました。「こんな世の中じゃあ深刻にもなるね。でも、ママとパパも、ばあばとじいじもレイラニを愛しているし、何よりもイエス様が愛しておられるよ! それで十分だよね?」
とこしえに真実なお方
米国史上最悪の森林火災の一つと言われるのは、ウィスコンシン州北東部のペシュティーゴ火災です。有名なシカゴ大火の同夜(1871年10月8日)に発生したせいであまり知られていませんが、シカゴ大火より数百人以上多くの死者を出しました。ペシュティーゴは急成長中の製材業の町で、木造建築が建ち並んでいました。猛火は突風にあおられ、1時間も経たない間に町を焼き尽くしました。後に残ったのは焦げた陶器やレンガ窯などでしたが、その中に何と小さな開いたままの聖書があります。表紙は焦げ、熱でページは炭化していますが、原型を留めています。それは現在、市内の博物館に展示されています。
祈る愛
友人のラヒムは、母親の祈りがなければ、今頃、死んでいたかもしれないと言います。以前は薬物常用者で、麻薬密売で刑務所に収監されたこともあります。彼はカフェで、母親の祈りに助けられたと話してくれました。「すごく悲しませたのに、母は愛し祈り続けてくれた。僕はひどい状態で、母の祈りがなければ、あんなものでは済まなかっただろう」
憐れみ深い
友人のビルは昔、はしごから落ちて、胸から下がまひ状態です。今度は、手術中に重度の感染症にかかりました。入院中の彼から新たな試練の経緯を聞いていると、「傷跡を見せようか?」と毛布を持ち上げました。そこには治療のために切開した大きな傷跡がありました。「痛い?」と聞くと「感覚はないよ」と答えました。
極め付きの驚き
映画『フィールド・オブ・ドリームス』の主人公のレイ・キンセラは、若き野球選手時代の亡き父に会います。初めて彼を見た時、レイは妻アニーにこう言います「僕は人生に疲れた父さんしか見たことがなかった。ねぇ……何て声を掛けたらいいんだ」。亡くなった大切な人の元気だった時の姿に会えるとしたら、それはどんな感じでしょう。
再出発は神から
ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルが、人生の軌道修正をしたきっかけは、彼の死を誤って報じた新聞記事だったかもしれません。「死の商人、死す」。実際に亡くなったのは兄のリュドビックでした。彼はこの時、自分は多くの人命を奪う発明をした人物として世に知られていると気付きました。そして、人類に貢献した人々をたたえる団体を設立するために、ほとんどの財産を寄付しました。それが、現在の「ノーベル賞」です。
父の宝物
それは何の変哲もないポケットナイフで、古くて変色し、劣化もしています。刃は欠け、持ち手もぐらつきますが、父の宝物でした。私の手に渡るまでは、箱に入れて実家の戸棚に大事にしまってあった祖父の遺品です。私の父は、若い頃に自分の父親と死別しました。父親が大好きだったので、思い出の品を大切にしたのです。