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Sheridan Voysey

Sheridan Voysey

シェリダン・ヴォイジー氏は、英国オックスフォード在住の執筆家、講演家、およびラジオパーソナリティです。ヴォイジー氏には、「復活の年」「挫折をばねに新たな出発」「イエスに似た生き方はいかが」など数々の著書があります。また、オーストラリアで毎週日曜夜に放送されるラジオの生トーク番組「オープンハウス」の司会を長年務めました。現在、講演会や各種イベントのスピーカーとして世界各地で活躍中です。大学では神学およびコミュニケーション学を専攻し、これまでに教会や宣教団体の責任者を歴任しました。ヴォイジー氏のブログや音声は、sheridanvoysey.comにて公開されています。フェイスブック(facebook.com/sheridanvoysey)、ツイッター(@sheridanvoysey)のアカウントもあります。(注:サイトは全て英語のみ)

寄稿一覧 Sheridan Voysey

警告する物語

名作映画『市民ケーン』は、新聞王として富と名声を築いたチャールズ・フォスター・ケーンの生涯を描いています。快楽を追い求め、数々の芸術作品を集めた大豪邸と庭園を建造する、コヘレトの言葉2章4-11節をほうふつとさせるような物語です。

正しく認識する

リチャード・グリフィンは、14年間、英国のエリザベス2世の専属警護官を務めました。ある日、王宮近くの丘の散策に同行したところ、2人のアメリカ人ハイカーに会いました。彼らは、質素な装いの女性が女王だとは気付かず、「女王に会ったことはありますか?」と尋ねました。すると彼女は、「私はありませんが、このリチャードはよく会っていますよ!」とお茶目な返答をしました。ハイカーたちは、王族に近い人物に会えたことに興奮し、リチャードと一緒に写真を撮ってほしいと女王にカメラを渡しました。

晩餐のアリストテレス

アリストテレスは、友人同士は対等なので神々の友になれる人はいないと言いました。天上の地位を捨てて人間と同じ低い身分になる神などいないと。しかしイエスは天の御座を後にして人と同じ者になられました(フィリ2:6-8、コロ1:16)。また、最後の晩餐(ばんさん)(マタ26:26-35)の席では、弟子たちに向かって、今後は彼らを友と呼ぶと言われました(ヨハ15:15)。もしアリストテレスがそこにいたならば、どう感じたでしょう。

深夜の友

真夜中に「助けて!」と電話できる相手がいますか。以前、こう質問されて戸惑いました。迷惑と知りつつも頼れる友人を何人持っているでしょう。分からないと思いました。

深い淵

サン・フルットゥオーゾ修道院は、イタリア北西部沿岸の徒歩かボートでしかたどり着けないへき地にあります。そこには美しい建造物に加えて、さらなる宝が存在します。水深約15メートルにたたずむ『深淵のキリスト』です。これは1954年、世界で初めて水中に設置されたイエスの彫像で、深淵から両手を天に上げています。

全て赦される

ヘミングウェイの短編小説に、疎遠な息子と再会したいスペイン人の父親の話があります。彼は地元紙に次のような広告を載せます。「パコ、火曜日の正午にモンタナホテルに来てくれ。全て赦(ゆる)すから」。すると、800人の「パコ」がやって来ました。この物語のテーマは人の心の奥底には赦されたいという願いがあるということでしょう。それはイエスのたとえ話を想起させます。放らつな生活を求めて家を出た若い男性はやがて窮地に陥ります(ルカ15:13-14)。そして「我に返って」家に戻ると(17節)、父は駆け寄ってきて、彼に謝罪を口にする間さえ与えず、抱きしめます(20節)。父は「この息子は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかった」と喜びました(24節)。この物語で、父は神を表し、息子は私たちを表します。私たちが神の元に戻るとき天の御国は喜びに湧くのです。

弱さが生み出す美

画家のドガは網膜の病気を患い、視力が低下すると、油彩画よりもはっきり見えるパステル画を描きました。ルノワールは、関節リウマチで指が湾曲し硬直すると、その間に筆を固定して描き続けました。マティスは、手術して動けなくなると、壁に大きな紙を広げさせ、切った色紙を指示どおり貼らせ、「切り紙絵」を作りました。どの場合も、画法の創造性を躍進させました。ドガの『青い踊り子たち』、ルノワールの『ピアノに寄る少女たち』、マティスの『王の悲しみ』などの傑作は、彼らが試練に適応する中で生まれました。

神は強固な土台

床がきしみ、台所は問題だらけ。我が家は改築が必要でした。家の大半が解体され、建設業者が新しい土台のために床下を掘ると、興味深いことになりました。たくさんの割れた皿や1850年代のソーダ瓶、ナイフやフォークなどが出土したのです。この家は、古いごみ捨て場の上に建てられたのでしょうか。真偽のほどはともかく、この状態では、もっと深く掘って土台を据えなければ、壁にひびが入るだろうと言われました。

情けをかける

小説『アバウト・グレース』の主人公デイビッド・ウィンクラーは、娘の消息を求めていました。頼れる人は唯一ハーマン・シーラーですが、問題がありました。その娘は、ハーマンの妻との不倫関係から生まれた子で、彼は接近を禁じられていたからです。