イギリス王室の戴冠宝器は、ロンドン塔の地下で厳重に保管され、24時間態勢の警備が敷かれています。毎年、何百万人もの人がこの宝物の展示を見学しに訪れ、きらびやかな宝に息をのみ、見ほれます。戴冠宝器は王家の権力の象徴であり、これらを身につける人の地位と威光をも象徴しています。

戴冠宝器のひとつは冠で、3種類あります。第一に戴冠は、国家の君主に即位するときにつける冠です。ふたつ目は、君主が国の公式行事に出席するときにつける冠です。三つ目は、国王の妻がつける配偶者の冠です。それぞれの冠が、違った目的で用いられます。

天の御国の王であり、もっとも誉れ高く、もっとも素晴らしい冠にふさわしいお方は、英国王とは違う冠をかぶられました。イエスは十字架にかかる前、侮辱され、痛めつけられました。聖書は「兵士たちは、いばらで冠を編んで、イエスの頭にかぶらせ、紫色の着物を着せた」と語ります(ヨハ19:2)。王の尊厳と栄誉の象徴であるはずの冠は、その日、あざけりと憎しみを表す道具になりました。しかし、私たちの救い主は、私たちのためにその冠を自ら進んでかぶり、私たちの罪と恥を背負ってくださいました。

この世で最もうるわしい冠をかぶるに値するお方が、私たちのために最も卑しい冠をかぶってくださいました。