むかし、汽車でリンゴ売りをしていた少年がいました。少年は「リンゴ、リンゴはいかが」と声を上げて、車両から車両へと歩いていきました。ところが、最後尾の車両まで来ても、一個も売れません。袋いっぱいのリンゴが残っているだけでした。

そのとき、少年の窮状に気づいた男性がいました。彼はこっそり少年を呼ぶと、リンゴをひとつ見せてごらんと言いました。それから、そのリンゴを持って先頭車両まで行くと、これみよがしにハンカチでリンゴをみがき、それをかじりながら後方車両に向かって、「何て美味しいリンゴなんだろう」、「みずみずしくて爽やかだなあ」と、ひとりごとを言いながら最後尾まで歩いていきました。それから、少年に言いました。「もう一度、やってごらん。」

今度は完売しました。何が違ったのでしょう。男性の行為によって少年のリンゴは、以前より乗客たちに魅力的に見えたのです。

この話には、人々の関心をイエス・キリストの福音に向けるヒントがあります。つまり、相手にとって福音が魅力的であることを示す、ということです。福音は私たちの人生を、どれほど変えてくれたことでしょう。それを見てもらいましょう。使徒パウロは、「外部の人に対して賢明にふるまい、機会を十分に生かして用いなさい」と語りました(コロ4:5)。この言葉を実践してみてください。親切、愛、思いやりをもって人に接するなら、なぜだろうと相手は思うでしょう。そうすれば、「神があなたを愛しておられるから」と言うことができるかもしれません。