エレミヤ書 12:1-14:22
1正しいのは、主よ、あなたです。
それでも、わたしはあなたと争い
裁きについて論じたい。
なぜ、神に逆らう者の道は栄え
欺く者は皆、安穏に過ごしているのですか。
2あなたが彼らを植えられたので
彼らは根を張り
育って実を結んでいます。
口先ではあなたに近く
腹ではあなたから遠いのです。
3主よ、あなたはわたしをご存じです。
わたしを見て、あなたに対するわたしの心を
究められたはずです。
彼らを屠られる羊として引き出し
殺戮の日のために取り分けてください。
4いつまで、この地は乾き
野の青草もすべて枯れたままなのか。
そこに住む者らの悪が
鳥や獣を絶やしてしまった。
まことに、彼らは言う。
「神は我々の行く末を見てはおられない」と。
5あなたが徒歩で行く者と競っても疲れるなら
どうして馬で行く者と争えようか。
平穏な地でだけ、安んじていられるのなら
ヨルダンの森林ではどうするのか。
6あなたの兄弟や父の家の人々
彼らでさえあなたを欺き
彼らでさえあなたの背後で徒党を組んでいる。
彼らを信じるな
彼らが好意を示して話しかけても。
主の嗣業
7わたしはわたしの家を捨て
わたしの嗣業を見放し
わたしの愛するものを敵の手に渡した。
8わたしの嗣業はわたしに対して
森の中の獅子となり
わたしに向かってうなり声をあげる。
わたしはそれを憎む。
9わたしの嗣業はわたしにとって
猛禽がその上を舞っている
ハイエナのねぐらなのだろうか。
野の獣よ、集まって餌を襲え。
10多くの牧者がわたしのぶどう畑を滅ぼし
わたしの所有地を踏みにじった。
わたしの喜びとする所有地を
打ち捨てられた荒れ野とし
11それを打ち捨てられて嘆く地とした。
それは打ち捨てられてわたしの前にある。
大地はすべて打ち捨てられ
心にかける者もない。
12荒れ野の裸の山に略奪する者が来る。
主の剣はむさぼる
地の果てから果てまで。
すべて肉なる者に平和はない。
13麦を蒔いても、刈り取るのは茨でしかない。
力を使い果たしても、効果はない。
彼らは収穫がなくてうろたえる
主の怒りと憤りのゆえに。
14主はこう言われる。「わたしが、わたしの民イスラエルに継がせた嗣業に手を触れる近隣の悪い民をすべて、彼らの地から抜き捨てる。また、ユダの家を彼らの間から抜き取る。 15わたしは彼らを抜き取った後、再び彼らを憐れみ、そのひとりひとりをその嗣業に、その土地に帰らせる。 16もしこれらの民が、かつてバアルによって誓うことをわたしの民に教えたように、わが名によって、『主は生きておられる』と誓うことを確かに学ぶならば、彼らはわたしの民の間に建てられる。 17もし彼らが従わなければ、わたしはその民を必ず抜き捨てて、滅ぼす」と主は言われる。
麻の帯とぶどう酒のかめ
1主はわたしにこう言われる。「麻の帯を買い、それを腰に締めよ。水で洗ってはならない。」 2わたしは主の言葉に従って、帯を買い、腰に締めた。
3主の言葉が再びわたしに臨んだ。 4「あなたが買って腰に締めたあの帯をはずし、立ってユーフラテスに行き、そこで帯を岩の裂け目に隠しなさい。」 5そこで、わたしは主が命じられたように、ユーフラテスに行き、帯を隠した。 6多くの月日がたった後、主はわたしに言われた。「立って、ユーフラテスに行き、かつて隠しておくように命じたあの帯を取り出しなさい。」 7わたしはユーフラテスに行き、隠しておいた帯を探し出した。見よ、帯は腐り、全く役に立たなくなっていた。
8主の言葉がわたしに臨んだ。 9主はこう言われる。「このように、わたしはユダの傲慢とエルサレムの甚だしい傲慢を砕く。 10この悪い民はわたしの言葉に聞き従うことを拒み、かたくなな心のままにふるまっている。また、彼らは他の神々に従って歩み、それに仕え、それにひれ伏している。彼らは全く役に立たないこの帯のようになった。 11人が帯を腰にしっかり着けるように、わたしはイスラエルのすべての家とユダのすべての家をわたしの身にしっかりと着け、わたしの民とし、名声、栄誉、威光を示すものにしよう、と思った。しかし、彼らは聞き従わなかった」と主は言われる。
12あなたは彼らにこの言葉を語りなさい。「イスラエルの神、主はこう言われる。かめにぶどう酒を満たすべきだ」と。すると、彼らはあなたに言うだろう。「かめにぶどう酒を満たすべきだということを我々が知らないとでも言うのか」と。 13あなたは彼らに言いなさい。「主はこう言われる。見よ、わたしは、この国のすべての住民、ダビデの王座につくすべての王、祭司、預言者、およびエルサレムのすべての住民を酔いで満たす。 14わたしは、人をその兄弟に、父と子を互いに、打ちつけて砕く。わたしは惜しまず、ためらわず、憐れまず、彼らを全く滅ぼす」と主は言われる。
15聞け、耳を傾けよ、高ぶってはならない。
主が語られる。
16あなたたちの神、主に栄光を帰せよ
闇が襲わぬうちに
足が夕闇の山でつまずかぬうちに。
光を望んでも、主はそれを死の陰とし
暗黒に変えられる。
17あなたたちが聞かなければ
わたしの魂は隠れた所でその傲慢に泣く。
涙が溢れ、わたしの目は涙を流す。
主の群れが捕らえられて行くからだ。
王と太后
18王と太后に言え。
「身を低くして座れ。
輝かしい冠は
あなたたちの頭から落ちた。」
19ネゲブの町々は閉じられて開く者はなく
ユダはすべて捕囚となり
ことごとく連れ去られた。
20目を上げて、北から襲う者を見よ。
あなたにゆだねられた群れ
輝かしい羊の群れはどこにいるのか。
21指導者として育てた人々が
あなたから失われるなら
あなたは何と言うつもりか。
女が子を産むときのような苦しみが
必ずあなたをとらえるであろう。
22あなたは心に問うであろう。
「なぜ、このような事がわたしに起こるのか。」
あなたの重い罪のゆえに
着物の裾は剥ぎ取られ、辱めを受ける。
罪の深さ
23クシュ人は皮膚を
豹はまだらの皮を変ええようか。
それなら、悪に馴らされたお前たちも
正しい者となりえよう。
24わたしはお前たちを散らす
荒れ野の風に吹き飛ばされるもみ殻のように。
25これがお前の運命
わたしが定めたお前の分である、と主は言われる。
お前がわたしを忘れ
むなしいものに依り頼んだからだ。
26わたし自身がお前の着物の裾を顔まで上げ
お前の恥はあらわになった。
27お前が姦淫し、いななきの声をあげ
淫行をたくらみ、忌むべき行いをするのを
丘でも野でもわたしは見た。
災いだ、エルサレムよ。
お前は清いものとはされえない。
いつまでそれが続くのか。
干ばつの災い
1干ばつに見舞われたとき、主の言葉がエレミヤに臨んだ。
2ユダは渇き、町々の城門は衰える。
人々は地に伏して嘆き
エルサレムは叫びをあげる。
3貴族は水を求めて、召し使いを送る。
彼らが貯水池に来ても、水がないので
空の水がめを持ち
うろたえ、失望し、頭を覆って帰る。
4地には雨が降らず
大地はひび割れる。
農夫はうろたえ、頭を覆う。
5青草がないので
野の雌鹿は子を産んでも捨てる。
6草が生えないので
野ろばは裸の山の上に立ち
山犬のようにあえぎ、目はかすむ。
7我々の罪が我々自身を告発しています。
主よ、御名にふさわしく行ってください。
我々の背信は大きく
あなたに対して罪を犯しました。
8イスラエルの希望、苦難のときの救い主よ。
なぜあなたは、この地に身を寄せている人
宿を求める旅人のようになっておられるのか。
9なぜあなたは、とまどい
人を救いえない勇士のようになっておられるのか。
主よ、あなたは我々の中におられます。
我々は御名によって呼ばれています。
我々を見捨てないでください。
10主はこの民についてこう言われる。「彼らはさまようことを好み、足を慎もうとしない。」主は彼らを喜ばれず、今や、その罪に御心を留め、咎を罰せられる。
11主はわたしに言われた。「この民のために祈り、幸いを求めてはならない。 12彼らが断食しても、わたしは彼らの叫びを聞かない。彼らが焼き尽くす献げ物や穀物の献げ物をささげても、わたしは喜ばない。わたしは剣と、飢饉と、疫病によって、彼らを滅ぼし尽くす。」
13わたしは言った。「わが主なる神よ、預言者たちは彼らに向かって言っています。『お前たちは剣を見ることはなく、飢饉がお前たちに臨むこともない。わたしは確かな平和を、このところでお前たちに与える』と。」
14主はわたしに言われた。「預言者たちは、わたしの名において偽りの預言をしている。わたしは彼らを遣わしてはいない。彼らを任命したことも、彼らに言葉を託したこともない。彼らは偽りの幻、むなしい呪術、欺く心によってお前たちに預言しているのだ。」
15それゆえ、主は預言者についてこう言われる。「彼らはわたしの名によって預言しているが、わたしは彼らを遣わしてはいない。彼らは剣も飢饉もこの国に臨むことはないと言っているが、これらの預言者自身が剣と飢饉によって滅びる。 16彼らが預言を聞かせている民は、飢饉と剣に遭い、葬る者もなくエルサレムの巷に投げ捨てられる、彼らも、その妻、息子、娘もすべて。こうして、わたしは彼らの悪を、彼ら自身の上に注ぐ。」
17あなたは彼らにこの言葉を語りなさい。
「わたしの目は夜も昼も涙を流し
とどまることがない。
娘なるわが民は破滅し
その傷はあまりにも重い。
18野に出て見れば、見よ、剣に刺された者。
町に入って見れば、見よ、飢えに苦しむ者。
預言者も祭司も見知らぬ地にさまよって行く。」
19あなたはユダを退けられたのか。
シオンをいとわれるのか。
なぜ、我々を打ち、いやしてはくださらないのか。
平和を望んでも、幸いはなく
いやしのときを望んでも、見よ、恐怖のみ。
20主よ、我々は自分たちの背きと
先祖の罪を知っています。
あなたに対して、我々は過ちを犯しました。
21我々を見捨てないでください。
あなたの栄光の座を軽んじないでください。
御名にふさわしく、我々と結んだ契約を心に留め
それを破らないでください。
22国々の空しい神々の中に
雨を降らしうるものがあるでしょうか。
天が雨を与えるでしょうか。
我々の神、主よ。
それをなしうるのはあなただけではありませんか。
我々はあなたを待ち望みます。
あなたこそ、すべてを成し遂げる方です。