エゼキエル書 18:1-19:14
各人の責任
1主の言葉がわたしに臨んだ。 2「お前たちがイスラエルの地で、このことわざを繰り返し口にしているのはどういうことか。
『先祖が酸いぶどうを食べれば
子孫の歯が浮く』と。
3わたしは生きている、と主なる神は言われる。お前たちはイスラエルにおいて、このことわざを二度と口にすることはない。 4すべての命はわたしのものである。父の命も子の命も、同様にわたしのものである。罪を犯した者、その人が死ぬ。
5もし、ある人が正しく、正義と恵みの業を行うなら、 6すなわち、山の上で偶像の供え物を食べず、イスラエルの家の偶像を仰ぎ見ず、隣人の妻を犯さず、生理中の女性に近づかず、 7人を抑圧せず、負債者の質物を返し、力ずくで奪わず、飢えた者に自分のパンを与え、裸の者に衣服を着せ、 8利息を天引きして金を貸さず、高利を取らず、不正から手を引き、人と人との間を真実に裁き、 9わたしの掟に従って歩み、わたしの裁きを忠実に守るなら、彼こそ正しい人で、彼は必ず生きる、と主なる神は言われる。
10彼に生まれた息子が乱暴者で、これらの事の一つでも行う人の血を流し、 11自分自身はこれらすべての事の一つですら行わず、かえって山の上で偶像の供え物を食べ、隣人の妻を犯し、 12貧しい者、乏しい者を抑圧し、力ずくで奪い、質物を返さず、偶像を仰ぎ見て忌まわしいことを行い、 13利息を天引きして金を貸し、高利を取るならば、彼は生きることができようか。彼は生きることはできない。彼はこれらの忌まわしいことをしたのだから、必ず死ぬ。その死の責任は彼にある。
14ところで、その人にまた息子が生まれ、彼が父の行ったすべての過ちを見て省み、このような事を行わないなら、 15すなわち、山の上で偶像の供え物を食べず、イスラエルの家の偶像を仰ぎ見ず、隣人の妻を犯さず、 16人を抑圧せず、質物を取らず、力ずくで奪わず、飢えた者に自分のパンを与え、裸の者に衣服を着せ、 17貧しい者の抑圧から手を引き、天引きの利息や高利を取らず、わたしの裁きを行い、わたしの掟に従って歩むなら、彼は父の罪のゆえに死ぬことはない。必ず生きる。 18彼の父は搾取を行い、兄弟のものを力ずくで奪い、自分の民の中で善くない事をしたので、自分の罪のゆえに死んだのである。 19それなのにお前たちは、『なぜ、子は父の罪を負わないのか』と言う。しかし、その子は正義と恵みの業を行い、わたしの掟をことごとく守り、行ったのだから、必ず生きる。 20罪を犯した本人が死ぬのであって、子は父の罪を負わず、父もまた子の罪を負うことはない。正しい人の正しさはその人だけのものであり、悪人の悪もその人だけのものである。
21悪人であっても、もし犯したすべての過ちから離れて、わたしの掟をことごとく守り、正義と恵みの業を行うなら、必ず生きる。死ぬことはない。 22彼の行ったすべての背きは思い起こされることなく、行った正義のゆえに生きる。 23わたしは悪人の死を喜ぶだろうか、と主なる神は言われる。彼がその道から立ち帰ることによって、生きることを喜ばないだろうか。
24しかし、正しい人でも、その正しさから離れて不正を行い、悪人がするようなすべての忌まわしい事を行うなら、彼は生きることができようか。彼の行ったすべての正義は思い起こされることなく、彼の背信の行為と犯した過ちのゆえに彼は死ぬ。
25それなのにお前たちは、『主の道は正しくない』と言う。聞け、イスラエルの家よ。わたしの道が正しくないのか。正しくないのは、お前たちの道ではないのか。 26正しい人がその正しさから離れて不正を行い、そのゆえに死ぬなら、それは彼が行った不正のゆえに死ぬのである。 27しかし、悪人が自分の行った悪から離れて正義と恵みの業を行うなら、彼は自分の命を救うことができる。 28彼は悔い改めて、自分の行ったすべての背きから離れたのだから、必ず生きる。死ぬことはない。 29それなのにイスラエルの家は、『主の道は正しくない』と言う。イスラエルの家よ、わたしの道が正しくないのか。正しくないのは、お前たちの道ではないのか。
30それゆえ、イスラエルの家よ。わたしはお前たちひとりひとりをその道に従って裁く、と主なる神は言われる。悔い改めて、お前たちのすべての背きから立ち帰れ。罪がお前たちをつまずかせないようにせよ。 31お前たちが犯したあらゆる背きを投げ捨てて、新しい心と新しい霊を造り出せ。イスラエルの家よ、どうしてお前たちは死んでよいだろうか。 32わたしはだれの死をも喜ばない。お前たちは立ち帰って、生きよ」と主なる神は言われる。
君侯たちの悲しみの歌
1イスラエルの君侯たちのために、あなたは悲しみの歌をうたって、 2言いなさい。
お前の母は獅子たちの中にあって
どんな雌獅子だったろうか。
お前の母は子獅子の間に伏し
若獅子たちを育てた。
3お前の母は子獅子の中から一頭を取り上げた。
その子獅子は若獅子に成長し
獲物を取ることを覚え
人々を餌食とした。
4しかし、諸国の民は子獅子について聞いた。
罠に捕らえられ、鉤にかけられて
エジプトの地へ連れて行かれたと。
5お前の母は期待が破れ、望みがうせたのを見て
別の子獅子を取り、若獅子に育てた。
6この子獅子は獅子たちの間を歩き回り
若獅子に成長し
獲物を取ることを覚え
人々を餌食とした。
7彼は彼らの城郭を破壊し、町々を荒廃させた。
そのほえたける声に
地と地を満たすものはおびえた。
8諸国民は周囲の国々から彼に立ち向かい
彼の上に網を広げ
彼は罠に捕らえられた。
9彼は鉤にかけられ、籠に入れられ
バビロンの王のもとに連れて行かれた。
彼らは獄に彼を閉じ込め
二度とその声が、イスラエルの山々に
聞こえないようにした。
10お前の母は水のほとりに植えられた
園のぶどうの木のようだ。
多くの水のゆえに
豊かに実を結ぶ枝を張った。
11その木には
支配者たちの杖となる強い枝があった。
丈は雲間に届くほど高くなり
丈高く、枝が多いゆえに際立って見えた。
12怒りによって、木は引き抜かれ
地に投げ捨てられた。
東風はその実を枯らし
強い枝はもぎ取られて枯れ
火がそれを焼き尽くした。
13今や、その木は
荒れ野に、乾いた水なき地に
移し植えられた。
14また、若枝の茂る太い枝から
火が出て、実を焼き尽くした。
それゆえ、この木には
支配者の杖となる強い枝はなくなった。
この歌は悲しみの歌。
悲しみの歌としてうたわれた。