アメリカの第18代大統領グラントは、退任後、全財産をだまし取られました。数カ月後、不治のがんと診断されると、作家マーク・トウェインに勧められて回想録を執筆し、死の1週間前に完成させました。遺される家族の生活を心配してのことでした。
ヤコブもまた苦渋を味わいました。彼は息子ヨセフが「悪い獣」に「かみ裂かれた」(創37:33)と信じていました。別の息子シメオンは外国で捕虜になり、末息子ベニヤミンも取られそうでした。彼は絶望し「こんなことがみな、私に降りかかってきたのだ」と叫びました(42:36)。
しかし、そうではなかったのです。実は、ヨセフは生きていました。彼の家族関係を回復させるために、神が「裏」で働いておられたことを、ヤコブは知る由もなかったのです。この物語が示していることは、神の御手が見えないときでも、神は信頼に足るお方だということです。
グラントの回想録は大好評で、家族に豊かな収入をもたらしました。グラントに代わり、彼の妻がそれを見届けました。私たちに見えるものは限られていますが、神の視野は無限です。私たちの希望はイエスなので、このように言うことができます。「神が私たちの味方であるなら、だれが私たちに敵対できるでしょう」(ロマ8:31)。今日、主を信頼しましょう。