ゼカリヤ書 9:1-12:14
諸国民の裁きとイスラエルの救い
1託宣。主の言葉がハドラクの地に臨み、またダマスコにとどまる。人々はイスラエルの全部族と共に主に目を向ける。 2それらの地に境を接するハマト、知恵に抜きん出たティルスとシドンもそうだ。 3ティルスは自分の砦を築き、塵のように銀を、野の土くれのように金を集めた。 4しかし、見よ、主はその町を陥れ、富を海に投げ込まれる。火は町を焼き尽くす。 5アシュケロンはそれを見て恐れ、ガザは大いにもだえ、エクロンも期待を裏切られてうろたえる。ガザの王は滅び、アシュケロンには人が住まなくなり、 6混血の民がアシュドドに住み着く。わたしはペリシテ人の高ぶりを絶つ。 7わたしはその口から血を、歯の間から忌まわしいものを取り去る。その残りの者は我らの神に属し、ユダの中の一族のようになり、エクロンはエブス人のようになる。 8そのとき、わたしはわが家のために見張りを置いて出入りを取り締まる。もはや、圧迫する者が彼らに向かって進んで来ることはない。今や、わたしがこの目で見守っているからだ。
9娘シオンよ、大いに踊れ。
娘エルサレムよ、歓呼の声をあげよ。
見よ、あなたの王が来る。
彼は神に従い、勝利を与えられた者
高ぶることなく、ろばに乗って来る
雌ろばの子であるろばに乗って。
10わたしはエフライムから戦車を
エルサレムから軍馬を絶つ。
戦いの弓は絶たれ
諸国の民に平和が告げられる。
彼の支配は海から海へ
大河から地の果てにまで及ぶ。
11またあなたについては
あなたと結んだ契約の血のゆえに
わたしはあなたの捕らわれ人を
水のない穴から解き放つ。
12希望を抱く捕らわれ人よ、砦に帰れ。
今日もまた、わたしは告げる。
わたしは二倍にしてあなたに報いる。
13わたしが引き絞るのはユダ
エフライムもわたしは弓として張る。
シオンよ、わたしはあなたの子らを奮い立たせ
あなたを勇士の剣のようにして
ヤワンよ、お前の子らに向かって攻めさせる。
14主は彼らの前に現れ
その矢は稲光のように飛ぶ。
主なる神は角笛を響き渡らせ
南からの暴風と共に進まれる。
15万軍の主は彼らの盾となられる。
放たれた石は敵に食らいついて倒し
血をぶどう酒のように飲み
鉢や祭壇の四隅のように血で満たされる。
16彼らの神なる主は、その日、彼らを救い
その民を羊のように養われる。
彼らは王冠の宝石のように
主の土地の上で高貴な光を放つ。
17それはなんと美しいことか
なんと輝かしいことか。
穀物は若者を
新しいぶどう酒はおとめを栄えさせる。
1春の雨の季節には、主に雨を求めよ。
主は稲妻を放ち、彼らに豊かな雨を降らせ
すべての人に野の草を与えられる。
2テラフィムは空虚なことを語り
占い師は偽りを幻に見、虚偽の夢を語る。
その慰めは空しい。
それゆえ、人々は羊のようにさまよい
羊飼いがいないので苦しむ。
3羊飼いたちに対して、わたしの怒りは燃える。
わたしは雄山羊を罰する。
万軍の主は御自分の羊の群れ、ユダの家を顧み
彼らを輝かしい軍馬のようにされる。
4彼らから隅の石が、彼らから杭が
彼らから戦いの弓が
彼らからすべての指揮者が出る。
皆、 5勇士のようになり
戦って野の土くれを踏みつける。
主が共におられるので、彼らは戦いを挑み
馬に乗る者らを慌てさせる。
6わたしはユダの家に力を与え
ヨセフの家を救う。
わたしは彼らを憐れむゆえに連れ戻す。
彼らはわたしが退けなかった者のようになる。
わたしは彼らの神なる主であり
彼らの祈りに答えるからだ。
7エフライムは勇士のようになり
ぶどう酒を飲んだように、心は喜びに溢れる。
その子らも見て喜び、心は主にあって躍る。
8わたしは彼らを贖い
口笛を吹いて集める。
彼らはかつてのように再び多くなる。
9わたしは彼らを諸国の間にまき散らしたが
遠い国にあっても彼らはわたしに心を留め
その子らと共に生き続け、帰って来る。
10わたしは彼らをエジプトの地から帰らせ
アッシリアから呼び集め
ギレアドとレバノンの地に来させる。
それらも彼らには十分ではないだろう。
11彼らは苦しみの海を通って進み
波立つ海を打つ。
ナイルの深みはすべて干上がり
アッシリアの高ぶりは引き降ろされ
エジプトの王笏は失われる。
12わたしは主にあって彼らに力を与える。
彼らは御名において歩み続けると
主は言われる。
1レバノンよ、お前の門を開け。
火にお前の杉を焼き尽くさせよう。
2糸杉よ、泣き叫べ。
杉は倒れ、見事な大木も荒れ果てた。
バシャンの樫の木よ、泣き叫べ。
人を寄せつけなかった森も倒された。
3羊飼いたちの泣き叫ぶ声がする。
彼らの見事な牧場は荒れ果てた。
若い獅子のほえる声がする。
ヨルダンの密林も荒れ果てた。
悪い羊飼い
4わが神なる主はこう言われた。屠るための羊を飼え。 5それを買い取る者は、罪を帰せられずにそれを屠り、売るときは、「主はほめたたえられよ。わたしは金持ちになった」と言うが、羊飼いたちはそれを憐れまない。 6わたしはこの地の住民を再び憐れみはしない、と主は言われる。見よ、わたしはどの人もその隣人の手とその王の手に任せる。彼らがこの地を打とうとしても、わたしは彼らの手から救いはしない。 7わたしは屠るための羊を、羊の商人のために飼った。わたしは二本の杖を手にして、ひとつを「好意」と名付け、もうひとつを「一致」と名付けて羊を飼った。 8わたしは一月のうちに三人の羊飼いを退けた。わたしは彼らに我慢できなくなり、彼らもわたしを嫌った。 9そして、わたしは言った。「わたしはお前たちを飼わない。死ぬべき者は死ね。消え去るべき者は消え去れ。残った者は互いに肉を食い合うがよい。」
10わたしは「好意」というわたしの杖を取って折り、諸国の民すべてと結んだわが契約を無効にした。 11その日に、それは無効にされた。わたしを見守ってきた羊の商人たちは、それが主の言葉であることを知った。 12わたしは彼らに言った。「もし、お前たちの目に良しとするなら、わたしに賃金を支払え。そうでなければ、支払わなくてもよい。 」彼らは銀三十シェケルを量り、わたしに賃金としてくれた。 13主はわたしに言われた。「それを鋳物師に投げ与えよ。わたしが彼らによって値をつけられた見事な金額を。」わたしはその銀三十シェケルを取って、主の神殿で鋳物師に投げ与えた。 14わたしは「一致」というわたしのもうひとつの杖を折り、ユダとイスラエルの兄弟の契りを無効にした。
15主は更にわたしに言われた。「愚かな羊飼いの道具を取れ。 16見よ、わたしはこの地に羊飼いを起こす。彼は見失われたものを尋ねず、若いものを追い求めず、傷ついたものをいやさず、立っているものを支えもせず、肥えたものの肉を食べ、そのひづめを砕く。
17災いだ、羊を見捨てる無用の羊飼いたちは。
剣が、その腕と右の目に差し向けられる。
その腕は力を失い、右の目はかすむ。」
エルサレムの救いと浄化
1託宣。イスラエルに対する主の言葉。天を広げ、地の基を置き、人の霊をその内に造られる主は言われる。
2見よ、わたしはエルサレムを、周囲のすべての民を酔わせる杯とする。エルサレムと同様、ユダにも包囲の陣が敷かれる。 3その日、わたしはエルサレムをあらゆる民にとって重い石とする。それを持ち上げようとする者は皆、深い傷を負う。地のあらゆる国々が集まり、エルサレムに立ち向かう。 4その日には、と主は言われる。わたしは打って出て、馬をすべてうろたえさせ、馬に乗る者をすべて狂わせる。わたしはユダの家の上に目を開いて、諸国の馬をことごとく撃ち、目を見えなくさせる。 5ユダの諸族は心に言う。「エルサレムの住民は、彼らの神、万軍の主のゆえに、わたしの力だ。」 6その日、わたしはユダの諸族を薪で火を噴く鉢のように、麦束で燃え上がる松明のようにする。それは左右に燃え移って、周りのあらゆる民を焼き尽くす。エルサレムは、今そこにある場所、エルサレムになおとどまり続ける。
7主はまずユダの天幕を救われる。それはダビデの家の誉れとエルサレムの住民の誉れが、ユダに対して大きくなりすぎないようにするためである。 8その日、主はエルサレムの住民のために盾となられる。その日、彼らの中で最も弱い者もダビデのようになり、ダビデの家は彼らにとって神のように、彼らに先立つ主の御使いのようになる。
9その日、わたしはエルサレムに攻めて来るあらゆる国を必ず滅ぼす。 10わたしはダビデの家とエルサレムの住民に、憐れみと祈りの霊を注ぐ。彼らは、彼ら自らが刺し貫いた者であるわたしを見つめ、独り子を失ったように嘆き、初子の死を悲しむように悲しむ。 11その日、エルサレムにはメギド平野におけるハダド・リモンの嘆きのように大きな嘆きが起こる。 12大地は嘆く。各氏族は各氏族だけで、ダビデの家の氏族はその氏族だけで、その女たちは女たちだけで、ナタンの家の氏族はその氏族だけで、その女たちは女たちだけで、 13レビの家の氏族はその氏族だけで、その女たちは女たちだけで、シムイの氏族はその氏族だけで、その女たちは女たちだけで、 14その他の氏族はそれぞれの氏族だけで、その女たちは女たちだけで嘆く。