エゼキエル書 20:1-21:37
エジプトからの救いと背信
1第七年の五月のことであった。その月の十日に、イスラエルの長老たち数人が、主の御心を問うために来て、わたしの前に座った。 2そのとき、主の言葉がわたしに臨んだ。 3「人の子よ、イスラエルの長老たちに語り、彼らに言いなさい。主なる神はこう言われる。お前たちはわたしの意志を問うために来たのか。わたしは生きている。お前たちが尋ねても、わたしは答えない、と主なる神は言われる。
4あなたは彼らを裁くのか。人の子よ。彼らを裁くのなら、彼らの先祖たちの行った忌まわしいことを彼らに告げなさい。 5彼らに言いなさい、と主なる神はこう言われる。
わたしがイスラエルを選んだ日に、わたしはヤコブの家の子孫に誓い、エジプトの地で彼らにわたしを知らせたとき、彼らに誓って、わたしはお前たちの神、主であると言った。 6その日、わたしは彼らに誓い、わたしは彼らをエジプトの地から連れ出して、彼らのために探し求めた土地、乳と蜜の流れる地、すべての国々の中で最も美しい土地に導く、と言った。
7わたしはまた、彼らに言った。『おのおの、目の前にある憎むべきものを投げ捨てよ。エジプトの偶像によって自分を汚してはならない。わたしはお前たちの神、主である』と。 8しかし、彼らはわたしに逆らい、わたしに聞き従おうとはしなかった。おのおの、目の前の憎むべきものを投げ捨てず、エジプトの偶像を捨てようとはしなかった。そこで、わたしは言った。『わたしは憤りを彼らの上に注ぎ、エジプトの地でわたしの怒りを浴びせる』と。 9しかし、わたしはわが名のために、彼らがその中に住んでいる諸国民の目の前では、わが名を汚すことがないようにした。その諸国民の目の前で、わたしはイスラエルをエジプトの地から導き出して、わたしを示したのである。
10わたしは、彼らをエジプトの地から連れ出し、荒れ野に導いた。 11そして、彼らにわたしの掟を与え、わたしの裁きを示した。人がそれを行えば、それによって生きることができる。 12また、わたしは、彼らにわたしの安息日を与えた。これは、わたしと彼らとの間のしるしとなり、わたしが彼らを聖別する主であることを、彼らが知るためであった。 13しかし、イスラエルの家は荒れ野でわたしに背き、人がそれを行えば生きることができるわたしの掟に歩まず、わたしの裁きを退け、更に、わたしの安息日を甚だしく汚した。それゆえ、わたしは荒れ野で、憤りを彼らの上に注ぎ、彼らを滅ぼし尽くそうとした。 14しかし、わが名のために、わたしがイスラエルを連れ出したときに見ていた諸国民の前で、わが名を汚すことがないようにした。 15ただし、荒れ野で彼らに誓い、わたしが与えた土地、乳と蜜の流れる地、すべての国々の中で最も美しい土地に、彼らを導き入れることはしないと告げた。 16それは、彼らがわたしの裁きを退け、わたしの掟に従って歩まず、わたしの安息日を汚したからだ。彼らの心は、自分たちの偶像にひかれていたのである。 17それでも、わたしの目は彼らを憐れんで、彼らを滅ぼさなかった。彼らを荒れ野で滅ぼし尽くすことはしなかった。
18わたしは、荒れ野で彼らの子供たちに語った。『お前たちの父祖の掟に従って歩んではならない。彼らの裁きを守ってはならない。また、彼らの偶像で自らを汚してはならない。 19わたしはお前たちの神、主である。お前たちは、わたしの掟に従って歩み、わたしの裁きを守り行い、 20わたしの安息日を聖別して、わたしとお前たちとの間のしるしとし、わたしがお前たちの神、主であることを知れ』と。 21しかし、子供たちもわたしに背き、人がそれを行えば生きることができるわたしの掟に歩まず、わたしの裁きを守り行わず、わたしの安息日を汚した。それゆえ、わたしは荒れ野で彼らの上に憤りを注ぎ、怒りを浴びせる、と言った。 22しかし、わたしは手を引き戻し、わが名のために、わたしがイスラエルを連れ出したときに見ていた諸国民の前でわたしの名を汚すことがないようにした。 23ただし、わたしは荒れ野で彼らに誓い、彼らを諸国民の間に散らし、諸国に追いやると告げた。 24なぜなら、彼らがわたしの裁きを行わず、わたしの掟を退け、わたしの安息日を汚し、彼らの父祖の偶像に目をひかれていたからである。 25わたしもまた、良くない掟と、それによって生きることができない裁きを彼らに与えた。 26また、彼らが初子をすべてささげたとき、わたしは彼らの献げ物によって彼らを汚した。それは、わたしが彼らを荒廃させ、わたしが主であることを知らせるためであった。
27それゆえ、イスラエルの家に語りなさい。人の子よ、彼らに言いなさい。主なる神はこう言われる。お前たちの父祖は、わたしに対して裏切りを行い、またもや、わたしを冒瀆した。 28わたしが与えると誓ったその地に彼らを導き入れたとき、彼らは高い丘や茂った木を見ると、どこででも、いけにえをささげ、わたしを怒らせる供え物をささげた。彼らはまた、そこで宥めの香りをたき、ぶどう酒の献げ物を注ぎかけた。 29わたしは彼らに言った。『お前たちが通う聖なる高台は一体何か』と。それゆえ、今日までその場所の名は、聖なる高台と呼ばれている。
30それゆえ、イスラエルの家に言いなさい。主なる神はこう言われる。お前たちは父祖の歩みに従って自らを汚し、彼らの憎むべき偶像と姦淫を行ってきた。 31また、自分の子供を献げ物として火の中を通らせ、すべての偶像によって今日に至るまで自らを汚している。それなのに、イスラエルの家よ、わたしはお前たちの求めに応じられようか。わたしは生きている、と主なる神は言われる。わたしは決してお前たちの求めには応じない。
32お前たちは、『我々は諸国民のように、また、世界各地の種族のように、木や石の偶像に仕えよう』と言っているが、お前たちが心に思うそのようなことは決して実現しない。 33わたしは生きている、と主なる神は言われる。わたしは必ず、強い手と伸ばした腕と、溢れる憤りをもって、お前たちを治める。 34強い手と伸ばした腕と、溢れる憤りをもって、わたしはお前たちを諸国の民の中から連れ出し、散らされた国々から集める。 35わたしはお前たちを、諸国の民の荒れ野に導き、顔と顔を合わせてお前たちを裁く。 36お前たちの父祖をエジプトの国の荒れ野で裁いたように裁く、と主なる神は言われる。 37わたしは、お前たちを牧者の杖の下を通らせて、契約のきずなのもとに導く。 38わたしはお前たちの中から、わたしに逆らい、背く者を分離する。わたしは、彼らを寄留の地から連れ出すが、彼らはイスラエルの土地に入ることはできない。そのとき、お前たちはわたしが主であることを知るようになる。
39お前たちイスラエルの家よ、主なる神はこう言われる。おのおの自分の偶像のもとに行き、それに仕えよ。その後、お前たちは必ずわたしに聞き従い、二度と偶像に贈り物をささげて、わたしの聖なる名を汚すことはなくなる。 40わたしの聖なる山、イスラエルの高い山で、と主なる神は言われる。そこにおいてのみ、この地にいるイスラエルの家はすべて、こぞってわたしに仕える。そこでのみ、わたしは彼らを受け入れ、その所で、献げ物と聖なる最上の供え物を求める。 41わたしは、宥めの香りと共に、お前たちを受け入れる。わたしが諸国の民の中から連れ出し、散らされていた国々から集めるとき、わたしは諸国民の前で、お前たちに自分を聖なる者として示す。 42わたしが、先祖に与えると誓った地、イスラエルの土地に導き入れるとき、お前たちはわたしが主であることを知るようになる。 43その所で、お前たちは自分の歩んだ道、自分を汚したすべての行いを思い起こし、自分の行ったあらゆる悪のゆえに自分を嫌悪するようになる。 44お前たちの悪い道や堕落した行いによることなく、わが名のゆえに、わたしが働きかけるとき、イスラエルの家よ、お前たちはわたしが主であることを知るようになる」と主なる神は言われる。
エルサレムに向けられる剣
1主の言葉がわたしに臨んだ。 2「人の子よ、顔をテマンに向け、ダロムに向かって言葉を注ぎ出し、ネゲブの野の森に向かって預言せよ。 3ネゲブの森に言いなさい。主の言葉を聞け。主なる神はこう言われる。わたしはお前に火をつける。火は、お前の中の青木も枯れ木も焼き尽くす。燃え盛る炎は消えず、地の面は南から北まで、ことごとく焦土と化す。 4生ける者は皆、主なるわたしがそれを焼き尽くしたことを認めるようになる。その火は消えることがない。」 5そのとき、わたしは言った。「ああ、主なる神よ、彼らはわたしについて、『彼はことわざを語る者にすぎないではないか』と言っています」と。
6そのとき、主の言葉がわたしに臨んだ。 7「人の子よ、顔をエルサレムに向け、聖所に向かって言葉を注ぎ出し、イスラエルの地に対して預言せよ。 8イスラエルの地に向かって言いなさい。主はこう言われる。わたしはお前に立ち向かい、わたしの剣の鞘をはらい、お前たちの中の正しい者も悪い者も切り捨てる。 9わたしがお前たちの中から、正しい者も悪い者も切り捨てるために、わたしの剣は鞘を離れ、南から北まで、すべての生ける者に向かう。 10そのとき、生ける者は皆、主なるわたしが剣を鞘から抜いたことを知るようになる。剣は二度と鞘には戻らない。
11人の子よ、呻け。人々の前で腰をよろめかし、苦しみ呻け。 12人々があなたに、『どうして呻いているのか』と問うならば、彼らに答えて言いなさい。『この知らせが届いたからだ』と。すべての人は勇気を失い、手は力なく垂れ、すべての霊は力を失い、すべての膝は水のように力を失う。知らせは届いた。それは実現する」と主なる神は言われる。
13主の言葉がわたしに臨んだ。 14「人の子よ、預言して言いなさい。主なる神はこう言われる。
剣だ。剣が研がれ、磨かれた。
15殺戮のためにそれは研がれ
稲妻のように磨かれた。
我らは喜びうるか
わが子の王笏が
他のすべての杖を侮るのを。
16この剣は磨くために渡され
手に握られる。
また、殺す者の手に渡されるために
研がれ、磨かれる。
17泣き叫べ、人の子よ。
剣がわが民に臨む。
また、イスラエルのすべての君侯に臨む。
彼らはわが民と共に
剣の前に投げ出される。
それゆえ、お前は腿を打って悲しめ。
18それは試みを経たものである。もし、それが侮る杖でないとしたら、一体何であろう、と主なる神は言われる。
19人の子よ、手を打ち鳴らして預言しなさい。
剣は二倍になり、また三倍になる。
それは殺戮の剣
彼らを貫く大いなる殺戮の剣。
20それにより、人々の心は溶け
つまずく者が増える。
すべての門に、殺戮の剣をわたしは送る。
ああ、剣は稲妻のようにきらめき
殺すために、引き抜かれる。
21刃を鋭くせよ。
右に向かい、また、左に向かい
お前の向かう所へどこへでも。
22わたしもまた手を打ち鳴らし
憤りに身をまかせよう。」
主なるわたしがこれを語った。
23主の言葉がわたしに臨んだ。 24「人の子よ、あなたはバビロンの王の剣が来るために、二つの道を用意せよ。二つの道を一つの国から延ばし、それぞれの町へ至る道が分かれる地点に標識を作り、 25剣が、アンモン人のラバおよびユダの堅固な都エルサレムに進みうるように道を備えなさい。 26バビロンの王は二つの道の分かれる地点に立ち、そこで占いを行う。彼は矢を振り、テラフィムに問い、肝臓を見る。 27彼の右の手に、エルサレムに対する占いが出る。占いは破城槌を置き、殺戮を宣言し、戦いの呼び声をあげ、門に向かって破城槌を置き、塁を築き、堡塁を建てよ、と命ずる。 28それはエルサレムの民の目には空しい占いのように思われる。彼らは自分のために立てられた誓いに頼っている。しかし、それは彼らの罪を思い起こさせ、彼らは捕らわれの身となる。
29それゆえ、主なる神はこう言われる。お前たちは罪を思い起こされ、背きがあらわにされ、過ちが自らのすべての行いによって示され、まさにこれらのことが思い起こされたゆえに、お前たちは敵の手に捕らえられる。 30悪に汚れたイスラエルの君主よ、お前の日が、終わりの刑罰の時にやって来る。
31主なる神はこう言われる。頭巾をはずし、冠を取れ。これはこのままであるはずがない。高い者は低くされ、低い者は高くされる。 32荒廃、荒廃、荒廃をわたしは都にもたらす。かつてこのようなことが起こったことはない。それは権威を身に帯びた者が到来するまでである。わたしは権威を彼に与える。」
33人の子よ、あなたは預言して言いなさい。主なる神は、アンモン人とその嘲りに対してこう言われる。あなたは言いなさい。
「剣よ。剣は殺戮のために抜かれ、きらめくまでに磨き上げられる。 34彼らがお前に空しい幻を示し、欺きの占いを行ったゆえに、剣は悪に汚れた者どもの首に置かれる。彼らの日が、終わりの刑罰の時にやって来る。
35剣をもとの鞘に納めよ。お前が創造された場所、お前の出身地で、わたしはお前を裁く。 36わたしは憤りをお前の上に注ぎかけ、怒りの火をお前に吹きつける。わたしは、滅ぼすことにたけた荒々しい者たちの手にお前を渡す。 37火はお前を焼き尽くし、お前の血は国の真ん中に流されるが、お前は思い出されることもない。」主なるわたしがこれを語った。