創世記 10:1-12:20
ノアの子孫
1ノアの息子、セム、ハム、ヤフェトの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに息子が生まれた。
2ヤフェトの子孫はゴメル、マゴグ、メディア、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスであった。 3ゴメルの子孫は、アシュケナズ、リファト、トガルマであった。 4ヤワンの子孫は、エリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニムであった。 5海沿いの国々は、彼らから出て、それぞれの地に、その言語、氏族、民族に従って住むようになった。
6ハムの子孫は、クシュ、エジプト、プト、カナンであった。 7クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカであり、ラマの子孫はシェバとデダンであった。 8クシュにはまた、ニムロドが生まれた。ニムロドは地上で最初の勇士となった。 9彼は、主の御前に勇敢な狩人であり、「主の御前に勇敢な狩人ニムロドのようだ」という言い方がある。 10彼の王国の主な町は、バベル、ウルク、アッカドであり、それらはすべてシンアルの地にあった。 11彼はその地方からアッシリアに進み、ニネベ、レホボト・イル、カラ、 12レセンを建てた。レセンはニネベとカラとの間にある、非常に大きな町であった。
13エジプトにはリディア人、アナミム人、レハビム人、ナフトヒム人、 14上エジプト人、カスルヒム人、カフトル人が生まれた。このカフトル人からペリシテ人が出た。
15カナンには長男シドンとヘト、 16また、エブス人、アモリ人、ギルガシ人、 17ヒビ人、アルキ人、シニ人、 18アルワド人、ツェマリ人、ハマト人が生まれた。その後、カナン人の諸氏族が広がった。 19カナン人の領土は、シドンから南下してゲラルを経てガザまでを含み、更に、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムを経てラシャまでを含んだ。 20これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたハムの子孫である。
21セムにもまた子供が生まれた。彼はエベルのすべての子孫の先祖であり、ヤフェトの兄であった。 22セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャド、ルド、アラムであった。 23アラムの子孫は、ウツ、フル、ゲテル、マシュであった。 24アルパクシャドにはシェラが生まれ、シェラにはエベルが生まれた。 25エベルには二人の息子が生まれた。ひとりの名は、その時代に土地が分けられた(パラグ)ので、ペレグといい、その兄弟はヨクタンといった。 26ヨクタンには、アルモダド、シェレフ、ハツァルマベト、イエラ、 27ハドラム、ウザル、ディクラ、 28オバル、アビマエル、シェバ、 29オフィル、ハビラ、ヨバブが生まれた。これらは皆、ヨクタンの息子であった。 30彼らはメシャからセファルに至る東の高原地帯に住んでいた。 31これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたセムの子孫である。
32ノアの子孫である諸氏族を、民族ごとの系図にまとめると以上のようになる。地上の諸民族は洪水の後、彼らから分かれ出た。
バベルの塔
1世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。 2東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。
3彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。 4彼らは、「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。
5主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、 6言われた。
「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。 7我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」
8主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。 9こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。
セムの系図
10セムの系図は次のとおりである。セムが百歳になったとき、アルパクシャドが生まれた。それは洪水の二年後のことであった。 11セムは、アルパクシャドが生まれた後五百年生きて、息子や娘をもうけた。
12アルパクシャドが三十五歳になったとき、シェラが生まれた。 13アルパクシャドは、シェラが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。
14シェラが三十歳になったとき、エベルが生まれた。 15シェラは、エベルが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。
16エベルが三十四歳になったとき、ペレグが生まれた。 17エベルは、ペレグが生まれた後四百三十年生きて、息子や娘をもうけた。
18ペレグが三十歳になったとき、レウが生まれた。 19ペレグは、レウが生まれた後二百九年生きて、息子や娘をもうけた。
20レウが三十二歳になったとき、セルグが生まれた。 21レウは、セルグが生まれた後二百七年生きて、息子や娘をもうけた。
22セルグが三十歳になったとき、ナホルが生まれた。 23セルグは、ナホルが生まれた後二百年生きて、息子や娘をもうけた。
24ナホルが二十九歳になったとき、テラが生まれた。 25ナホルは、テラが生まれた後百十九年生きて、息子や娘をもうけた。
26テラが七十歳になったとき、アブラム、ナホル、ハランが生まれた。
テラの系図
27テラの系図は次のとおりである。テラにはアブラム、ナホル、ハランが生まれた。ハランにはロトが生まれた。 28ハランは父のテラより先に、故郷カルデアのウルで死んだ。 29アブラムとナホルはそれぞれ妻をめとった。アブラムの妻の名はサライ、ナホルの妻の名はミルカといった。ミルカはハランの娘である。ハランはミルカとイスカの父であった。 30サライは不妊の女で、子供ができなかった。
31テラは、息子アブラムと、ハランの息子で自分の孫であるロト、および息子アブラムの妻で自分の嫁であるサライを連れて、カルデアのウルを出発し、カナン地方に向かった。彼らはハランまで来ると、そこにとどまった。 32テラは二百五年の生涯を終えて、ハランで死んだ。
アブラムの召命と移住
1主はアブラムに言われた。
「あなたは生まれ故郷
父の家を離れて
わたしが示す地に行きなさい。
2わたしはあなたを大いなる国民にし
あなたを祝福し、あなたの名を高める
祝福の源となるように。
3あなたを祝福する人をわたしは祝福し
あなたを呪う者をわたしは呪う。
地上の氏族はすべて
あなたによって祝福に入る。」
4アブラムは、主の言葉に従って旅立った。ロトも共に行った。
アブラムは、ハランを出発したとき七十五歳であった。 5アブラムは妻のサライ、甥のロトを連れ、蓄えた財産をすべて携え、ハランで加わった人々と共にカナン地方へ向かって出発し、カナン地方に入った。 6アブラムはその地を通り、シケムの聖所、モレの樫の木まで来た。当時、その地方にはカナン人が住んでいた。
7主はアブラムに現れて、言われた。
「あなたの子孫にこの土地を与える。」
アブラムは、彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。
8アブラムは、そこからベテルの東の山へ移り、西にベテル、東にアイを望む所に天幕を張って、そこにも主のために祭壇を築き、主の御名を呼んだ。 9アブラムは更に旅を続け、ネゲブ地方へ移った。
エジプト滞在
10その地方に飢饉があった。アブラムは、その地方の飢饉がひどかったので、エジプトに下り、そこに滞在することにした。 11エジプトに入ろうとしたとき、妻サライに言った。
「あなたが美しいのを、わたしはよく知っている。 12エジプト人があなたを見たら、『この女はあの男の妻だ』と言って、わたしを殺し、あなたを生かしておくにちがいない。 13どうか、わたしの妹だ、と言ってください。そうすれば、わたしはあなたのゆえに幸いになり、あなたのお陰で命も助かるだろう。」
14アブラムがエジプトに入ると、エジプト人はサライを見て、大変美しいと思った。 15ファラオの家臣たちも彼女を見て、ファラオに彼女のことを褒めたので、サライはファラオの宮廷に召し入れられた。 16アブラムも彼女のゆえに幸いを受け、羊の群れ、牛の群れ、ろば、男女の奴隷、雌ろば、らくだなどを与えられた。 17ところが主は、アブラムの妻サライのことで、ファラオと宮廷の人々を恐ろしい病気にかからせた。 18ファラオはアブラムを呼び寄せて言った。
「あなたはわたしに何ということをしたのか。なぜ、あの婦人は自分の妻だと、言わなかったのか。 19なぜ、『わたしの妹です』などと言ったのか。だからこそ、わたしの妻として召し入れたのだ。さあ、あなたの妻を連れて、立ち去ってもらいたい。」
20ファラオは家来たちに命じて、アブラムを、その妻とすべての持ち物と共に送り出させた。