アメリカ南北戦争、ゲティスバーグの戦いで、南軍は壊滅的な敗北を喫しました(1863年)。南軍のリー将軍は、疲れ切った兵士を率いて自分たちの土地に退却しようとしましたが、大雨でポトマック川が氾濫して退路が断たれました。リンカーン大統領は、北軍のミード将軍に攻撃を促しましたが、北軍の兵士たちも同じく疲弊していたので、彼は兵を休ませました。

リンカーンは、ペンを取り、追撃を躊躇(ちゅうちょ)するミードに「憤まんやるかたない」と手紙を書き、封をすると、その上に直筆でこう記しました。「ミード将軍宛、決して送らず、署名もせず」その手紙は、実際、そのとおりになりました。

リンカーンをさかのぼること、はるか昔、別の偉大な指導者が、感情のコントロールの重要性を語りました。どんなに正当でも、怒りには危険なエネルギーがあります。ソロモン王は「軽率に話す者を見たか」と尋ねました。「彼よりは愚か者にまだ望みがある」(箴29:20)。彼は「王が正しい裁きによって国を安定させ」(4節)ると知っていました。また、「愚か者は自分の感情をさらけ出す。知恵ある人はそれを制し静める」(11節)ことも分かっていました。

その手紙を送らなかったことで、リンカーンは最高司令官の士気をくじかず、最終的に戦争に勝利し、国の回復に貢献しました。私たちも彼の賢い自制の模範から学ぶことができます。