何年か前になりますが、息子と一緒にモンタナ州のマジソン川で舟釣りをしながら、数日間の気ままな旅を楽しみました。漕ぎ手も務める二人のガイド同伴です。

ガイドのひとりは、ずっと川で暮らしてきた人で、どこに大きなマスがいるかよく知っていました。彼は物静かな人で、ほとんど喋りませんでしたが、たまに話す一言が「鍵」でした。

私たちは流れの速い場所で、小さな浮きを使った釣りをしていました。視力が衰えてきた私は、昔のようにはうまく釣れず、食いついたほとんどの魚に逃げられていました。ガイドは辛抱強くその様子を見ていましたが、やがて、浮きの下にマスが上がってくるたびに、「魚」と小さな声でつぶやくようになりました。それを聞いて竿をさっと上げると…なんと、私の釣り糸の先に、ちゃんとマスがいるではありませんか。

以来、私は何度もあの体験を思い出し、「これから後、あなたは人間をとるようになるのです」と漁師出身の弟子に言われたイエスのみことばを考えるようになりました(ルカ 5:10)。私たちは日々、素晴らしいチャンスに恵まれています。というのも、私たちの周りには何とは知らないまま、心の底から何かを求めている人たちがいて、その人たちにキリストの愛を示し、自分の心にある希望について語る機会がふんだんにあるからです。

偉大な漁師、すべての人の心を知り尽くしておられる神が、私たちの耳元で「魚」とささやかれます。どうか、その御声を聴く耳を持つことができますように。