祖母の家に行こうと、オハイオ州を横断する旅をしていたときのことです。州の中央に位置するコロンバスに到着したとき、竜巻警報が発令されました。子どもたちに危険が及ぶかもしれないと不安になり、それまでの楽しい雰囲気は一変しました。

この話を持ち出したのは、ヨセフとマリヤの気持ちを想像しやすくするためです。彼らは幼子をつれてエジプトへ旅立ちました。この時、夫婦が恐れていたのは竜巻ではなく、子どもの命を狙っていたヘロデ王でした。「ヘロデがこの幼子を捜し出して殺そうとして」いると知って、どれほど恐ろしかったことでしょう(マタ2:13)。

私たちが思い描くクリスマスのイメージは、牛や羊のおだやかな鳴き声や、ひざまずく羊飼いたちといった、平和で牧歌的なものです。しかし、イエスの家族にすれば、それどころではありません。ヘロデの恐怖から逃げなければなりませんでした。主の使いが安全だと告げてくれて初めてエジプトを出発し、イスラエルに戻り、ナザレに落ち着くことができました。

イエスの「受肉」に対して、なおいっそう畏敬の念を持ちたいものです。神々しい天の御国で神とひとつだったイエスが、それをすべて置いて下って来られました。そして、庶民の家庭に生まれ、多くの危険を経験し、私たちのために十字架にかかってくださいました。エジプトはそれとして、私たちのために天国を出てくださったということこそが、イエスの壮大で驚くべき物語です。