優しく指摘する
風景画のクラスで最初の課題を描きました。経験豊かなプロの画家に批評してもらう段になり、酷評されると思いましたが、「色使いと、解放感は良いですね。遠くの木々の色をもう少し薄く、原っぱの草は、端をもっと柔らかく描いてください」と言われました。彼には私の絵を酷評する知識や権威がありましたが、優しい態度で的を射た批評をしてくれました。

切望の石
ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアは「ああ、すべての埠頭は切望の石」と書きました。船は出て行き、埠頭は別離とあこがれを胸に立ち続けます。私たちは、失ったもの、手の届かないものを思って悲しみます。ポルトガル語の「切望」は、望郷の痛みを意味します。詩人はその切なさを記したのです。

愛は捜し続ける
携帯電話やポケベルが無い時代、私は19歳で実家から千キロ以上離れた土地に引っ越しました。毎朝、母に電話する約束でしたが、ある時、それを忘れて出かけました。その夜、ふたりの警察官が家に来ました。それまで電話を忘れたことが無かったので、母が心配したのです。何度電話しても話し中だったので、警察に様子を見て来て欲しいと頼んだそうです。警察官は「愛情深く捜し続けてくださるお母さんで幸せですね」と言いました。

主は備えてくださる
大学を卒業し、大学院が始まるまでの間、私は不安でした。新しい土地に移るのでバイトが決まっていません。私はきちんと計画しないと落ち着かないタイプです。ところが、夏休みの終了間際、バイト先の会社から在宅で継続しないかと言われ、神が生活の面倒を見てくださっ ていることを再確認し、安心しました。
