エレミヤ書 22:1-23:40
ユダの王に対する言葉
1主はこう言われる。ユダの王の宮殿へ行き、そこでこの言葉を語って、 2言え。「ダビデの王位に座るユダの王よ、あなたもあなたの家臣も、ここの門から入る人々も皆、主の言葉を聞け。 3主はこう言われる。正義と恵みの業を行い、搾取されている者を虐げる者の手から救え。寄留の外国人、孤児、寡婦を苦しめ、虐げてはならない。またこの地で、無実の人の血を流してはならない。 4もし、あなたたちがこの言葉を熱心に行うならば、ダビデの王位に座る王たちは、車や馬に乗って、この宮殿の門から入ることができる、王も家臣も民も。 5しかし、もしこれらの言葉に聞き従わないならば、わたしは自らに誓って言う――と主は言われる――この宮殿は必ず廃虚となる。」
6主はユダの王の宮殿についてこう言われる。
あなたは、わたしにとってギレアドの森
レバノンの頂のようであった。しかし、わたしはあなたを荒れ野とし
人の住まない町にする。
7わたしは滅ぼす者を聖別し
おのおの武器を手にしてあなたを攻めさせる。
彼らはあなたの最上のレバノン杉を切り倒し
火に投ずる。
8多くの国の人々がこの都を通りかかって、互いに尋ね、「なぜ主は、この大いなる都にこのようになさったのか」と聞くならば、 9「彼らがその神、主の契約を捨てて他の神々を拝み、仕えたからだ」と答えるであろう。
10死んだ王のために泣くな。
彼のために嘆くな。
引いて行かれる王のために泣き叫べ。
彼が再び帰って
生まれ故郷を見ることはない。
11父ヨシヤに代わって王となったが、このところから引いて行かれたユダの王、ヨシヤの子シャルムについて主はこう言われる。「彼は再びここに帰ることはない。 12彼は捕囚となっているそのところで死に、この国を再び見ることはない。」
13災いだ、恵みの業を行わず自分の宮殿を
正義を行わずに高殿を建て
同胞をただで働かせ
賃金を払わない者は。
14彼は言う。
「自分のために広い宮殿を建て
大きな高殿を造ろう」と。
彼は窓を大きく開け
レバノン杉で覆い、朱色に塗り上げる。
15あなたは、レバノン杉を多く得れば
立派な王だと思うのか。
あなたの父は、質素な生活をし
正義と恵みの業を行ったではないか。
そのころ、彼には幸いがあった。
16彼は貧しい人、乏しい人の訴えを裁き
そのころ、人々は幸いであった。
こうすることこそ
わたしを知ることではないか、と主は言われる。
17あなたの目も心も不当な利益を追い求め
無実の人の血を流し、虐げと圧制を行っている。
18それゆえ、ユダの王、ヨシヤの子ヨヤキムについて
主はこう言われる。
だれひとり、「ああ、わたしの兄弟
ああ、わたしの姉妹」と言って彼の死を悼み
「ああ、主よ、ああ陛下よ」と言って、悼む者はない。
19彼はろばを埋めるように埋められる。
引きずり出されて投げ捨てられる
エルサレムの門の外へ。
20お前はレバノンに登って叫び
バシャンで声をあげ
アバリムから叫ぶがよい。
お前の愛人たちは皆、打ち破られる。
21お前が栄えていたころ、わたしが何か言うと
お前は、「聞きたくない」と言った。
これが、お前の若い時からの態度であった。
お前はわたしの声に聞き従ったことはない。
22お前の牧者たちは風に追われ
愛人たちは、捕らえられて行く。
そのとき、お前は自分のあらゆる悪のゆえに
恥を受け、卑しめられる。
23レバノンに住み
レバノン杉に巣を作っている者よ
産婦の苦しみのような苦痛が襲うとき
お前はどんなに呻くことか。
24「わたしは生きている」と主は言われる。「ユダの王、ヨヤキムの子コンヤは、もはやわたしの右手の指輪ではない。わたしはあなたを指から抜き取る。 25わたしはあなたを、あなたの命をねらっている者の手、あなたが恐れている者の手、バビロンの王ネブカドレツァルとカルデア人の手に渡す。 26わたしはあなたと、あなたを産んだ母を、生まれたところとは別の国へ追放する。あなたたちはそこで死ぬ。 27彼らが帰りたいと切に願っている国へ帰ることはできない。」
28この人、コンヤは砕け、卑しめられた壺か。
だれも惜しまない器か。
なぜ彼と彼の子孫は追放され
知らない国へ追いやられるのか。
29大地よ、大地よ、大地よ、主の言葉を聞け。
30主はこう言われる。
「この人を、子供が生まれず
生涯、栄えることのない男として記録せよ。
彼の子孫からは
だれひとり栄えてダビデの王座にすわり
ユダを治める者が出ないからである。」
ユダの回復
1「災いだ、わたしの牧場の羊の群れを滅ぼし散らす牧者たちは」と主は言われる。 2それゆえ、イスラエルの神、主はわたしの民を牧する牧者たちについて、こう言われる。
「あなたたちは、わたしの羊の群れを散らし、追い払うばかりで、顧みることをしなかった。わたしはあなたたちの悪い行いを罰する」と主は言われる。
3「このわたしが、群れの残った羊を、追いやったあらゆる国々から集め、もとの牧場に帰らせる。群れは子を産み、数を増やす。 4彼らを牧する牧者をわたしは立てる。群れはもはや恐れることも、おびえることもなく、また迷い出ることもない」と主は言われる。
5見よ、このような日が来る、と主は言われる。
わたしはダビデのために正しい若枝を起こす。
王は治め、栄え
この国に正義と恵みの業を行う。
6彼の代にユダは救われ
イスラエルは安らかに住む。
彼の名は、「主は我らの救い」と呼ばれる。
7それゆえ、見よ、このような日が来る、と主は言われる。人々はもはや、「イスラエルの人々をエジプトの国から導き上った主は生きておられる」と言って誓わず、 8「イスラエルの家の子孫を、北の国や、彼が追いやられた国々から導き上り、帰らせて自分の国に住まわせた主は生きておられる」と言って誓うようになる。
預言者に対する言葉
9預言者たちについて。
わたしの心臓はわたしのうちに破れ
骨はすべて力を失った。わたしは酔いどれのように
酒にのまれた男のようになった。
それは、主のゆえ
その聖なる言葉のゆえである。
10姦淫する者がこの国に満ちている。
国土は呪われて喪に服し
荒れ野の牧場も干上がる。
彼らは悪の道を走り
不正にその力を使う。
11預言者も祭司も汚れ
神殿の中でさえわたしは彼らの悪を見たと
主は言われる。
12それゆえ、彼らの道は
すべる岩のようになり
彼らは暗闇の中を追われて倒れる。
わたしが彼らに災いを
彼らを罰する年を臨ませるからだと
主は言われる。
13わたしは、サマリアの預言者たちに
あるまじき行いを見た。
彼らはバアルによって預言し
わが民イスラエルを迷わせた。
14わたしは、エルサレムの預言者たちの間に
おぞましいことを見た。
姦淫を行い、偽りに歩むことである。
彼らは悪を行う者の手を強め
だれひとり悪から離れられない。
彼らは皆、わたしにとってソドムのよう
彼らと共にいる者はゴモラのようだ。
15それゆえ、万軍の主は預言者たちについて
こう言われる。
見よ、わたしは彼らに苦よもぎを食べさせ
毒の水を飲ませる。
エルサレムの預言者たちから
汚れが国中に広がったからだ。
16万軍の主はこう言われる。
お前たちに預言する預言者たちの
言葉を聞いてはならない。
彼らはお前たちに空しい望みを抱かせ
主の口の言葉ではなく、自分の心の幻を語る。
17わたしを侮る者たちに向かって
彼らは常に言う。
「平和があなたたちに臨むと
主が語られた」と。
また、かたくなな心のままに歩む者に向かって
「災いがあなたたちに来ることはない」と言う。
18誰が主の会議に立ち
また、その言葉を見聞きしたか。
誰が耳を傾けて、その言葉を聞いたか。
19見よ、主の嵐が激しく吹き
つむじ風が巻き起こって
神に逆らう者らの頭上に渦を巻く。
20主の怒りは
思い定められた事を成し遂げるまではやまない。
終わりの日に、お前たちは
このことをはっきりと悟る。
21わたしが遣わさないのに
預言者たちは走る。
わたしは彼らに語っていないのに
彼らは預言する。
22もし、彼らがわたしの会議に立ったのなら
わが民にわたしの言葉を聞かせ
彼らの悪い道、悪の行いから
帰らせることができたであろう。
23わたしはただ近くにいる神なのか、と主は言われる。
わたしは遠くからの神ではないのか。
24誰かが隠れ場に身を隠したなら
わたしは彼を見つけられないと言うのかと
主は言われる。
天をも地をも、わたしは満たしているではないかと
主は言われる。
25わたしは、わが名によって偽りを預言する預言者たちが、「わたしは夢を見た、夢を見た」と言うのを聞いた。 26いつまで、彼らはこうなのか。偽りを預言し、自分の心が欺くままに預言する預言者たちは、 27互いに夢を解き明かして、わが民がわたしの名を忘れるように仕向ける。彼らの父祖たちがバアルのゆえにわたしの名を忘れたように。 28夢を見た預言者は夢を解き明かすがよい。しかし、わたしの言葉を受けた者は、忠実にわたしの言葉を語るがよい。
もみ殻と穀物が比べものになろうかと
主は言われる。
29このように、わたしの言葉は火に似ていないか。岩を打ち砕く槌のようではないか、と主は言われる。
30それゆえ、見よ、わたしは仲間どうしでわたしの言葉を盗み合う預言者たちに立ち向かう、と主は言われる。 31見よ、わたしは自分の舌先だけで、その言葉を「託宣」と称する預言者たちに立ち向かう、と主は言われる。 32見よ、わたしは偽りの夢を預言する者たちに立ち向かう、と主は言われる。彼らは、それを解き明かして、偽りと気まぐれをもってわが民を迷わせた。わたしは、彼らを遣わしたことも、彼らに命じたこともない。彼らはこの民に何の益ももたらさない、と主は言われる。
33もし、この民が――預言者であれ祭司であれ――あなたに、「主の託宣(マッサ)とは何か」と問うならば、彼らに、「お前たちこそ重荷(マッサ)だ。わたしはお前たちを投げ捨てる、と主は言われる」と答えるがよい。 34預言者にせよ、祭司にせよ、民にせよ、「主の託宣だ」と言う者があれば、わたしはその人とその家を罰する。 35お前たちは、ただ隣人や兄弟の間で互いに、「主は何とお答えになりましたか。主は何とお語りになりましたか」とだけ言うがよい。 36「主の託宣だ」という言い方を二度としてはならない。なぜなら、お前たちは勝手に自分の言葉を託宣とし、生ける神である我らの神、万軍の主の言葉を曲げたからだ。 37預言者にはただ、「主は何とお答えになりましたか。主は何とお語りになりましたか」と言うがよい。 38もし、お前たちが、「主の託宣だ」と言うなら、主はこう言われる。「お前たちは、『主の託宣だ』と言ってはならないと命じておいたのに、『主の託宣だ』というこの言葉を語ったので、 39見よ、わたしはお前たちを全く退け、お前たちと父祖たちに与えたこの都と共に、お前たちをわたしの前から捨て去る。 40そしてお前たちに、決して忘れえない永久の恥と永久の辱めを与える。」