ニシェル・ニコルズは『スタートレック』シリーズの第1作でウフーラ大尉を演じました。アフリカ系アメリカ人はそういう役を演じていない時代でしたから、役者として「勝利」したのです。しかし、それ以上の意味がありました。

最初のシリーズが終わった時、彼女は降板して舞台の仕事に戻ろうと考えていました。ところが、公民権運動指導者のキング牧師に続投を頼まれたのです。彼は、アフリカ系アメリカ人が、知的で何でもできる人、宇宙にさえ行ける人として、初めてテレビに映ったと指摘しました。ニコルズのより大きな勝利は、黒人女性や子どもたちに自己の本質や可能性を示したことでした。

私はこの話から御国の高い地位を求めたヤコブとヨハネを想起します(マコ10:37)。その地位は大きな勝利でしょう。イエスはその実現には大きな痛みが伴うと指摘される一方で(38-40節)、「あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、皆に仕える者になりなさい」(43節)と、さらに高い目標を示されました。クリスチャンは己の勝利を達成するだけでなく、自分の立場を使って他者に仕える人になるべきです(45節)。

ニコルズは米国の黒人のために『スタートレック』に出演し続けました。私たちも自分の小さな成功に甘んじず、立場を使ってイエスの御名で他者に仕えましょう。