著名な神学者J.I.パッカーは、2020年、94歳の誕生日を目前に召天しました。代表作「神について」(初版1973年、邦訳版1978年)は、150万部以上を売り上げています。彼は聖書の権威とイエス中心という弟子の生き方を真面目に貫くように教えました。晩年、教会に宛てての遺言を問われて「全ての道で主に栄光を帰すように」と簡潔に答えました。

この言葉は使徒パウロを想起させます。彼は劇的な回心を経て、目の前の課題に真剣に取り組み、結果は神に委ねました。新約聖書の中で神学が最も詰め込まれているのはローマ人への手紙と言われていますが、その中の「私たちの主イエス・キリストの父である神をほめたたえますように」(15:6)は、パッカーの結論と密接に関連しています。

パウロの生き方は私たちの手本です。私たちはいろいろな形で神に栄光を帰することができますが、その一つは、実直に生きて、うまく行くか否かは神に委ねることです。宣教地に行くにしろ、本を書くにしろ、学校で教えるにしろ、親の介護をするにしろ、目指すところは同じ、「全ての道で主に栄光を帰する」です。祈りつつ聖書を読むなら、神は献身的服従を促してくださいます。そして、私たちの日常の言動の全てが、神の誉れという軌道に乗るように助けてくださいます。