創世記 36:1-38:30
エサウの子孫
1エサウ、すなわちエドムの系図は次のとおりである。 2エサウは、カナンの娘たちの中から妻を迎えた。ヘト人エロンの娘アダ、ヒビ人ツィブオンの孫娘でアナの娘オホリバマ、 3それに、ネバヨトの姉妹でイシュマエルの娘バセマトである。 4アダは、エサウとの間にエリファズを産み、バセマトはレウエルを産んだ。 5オホリバマは、エウシュ、ヤラム、コラを産んだ。これらは、カナン地方で生まれたエサウの息子たちである。
6エサウは、妻、息子、娘、家で働くすべての人々、家畜の群れ、すべての動物を連れ、カナンの土地で手に入れた全財産を携え、弟ヤコブのところから離れてほかの土地へ出て行った。 7彼らの所有物は一緒に住むにはあまりにも多く、滞在していた土地は彼らの家畜を養うには狭すぎたからである。 8エサウはこうして、セイルの山地に住むようになった。エサウとはエドムのことである。
9セイルの山地に住む、エドム人の先祖エサウの系図は次のとおりである。 10まず、エサウの息子たちの名前を挙げると、エリファズはエサウの妻アダの子で、レウエルはエサウの妻バセマトの子である。 11エリファズの息子たちは、テマン、オマル、ツェフォ、ガタム、ケナズである。 12エサウの息子エリファズの側女ティムナは、エリファズとの間にアマレクを産んだ。以上が、エサウの妻アダの子孫である。 13レウエルの息子たちは、ナハト、ゼラ、シャンマ、ミザである。以上が、エサウの妻バセマトの子孫である。 14ツィブオンの孫娘で、アナの娘であるエサウの妻オホリバマの息子たちは、次のとおりである。彼女は、エサウとの間にエウシュ、ヤラム、コラを産んだ。
15エサウの子孫である首長は次のとおりである。まず、エサウの長男エリファズの息子たちについていえば、首長テマン、首長オマル、首長ツェフォ、首長ケナズ、 16首長コラ、首長ガタム、首長アマレクである。これらは、エドム地方に住むエリファズ系の首長で、アダの子孫である。 17次に、エサウの子レウエルの息子たちについていえば、首長ナハト、首長ゼラ、首長シャンマ、首長ミザである。これらは、エドム地方に住むレウエル系の首長で、エサウの妻バセマトの子孫である。 18エサウの妻オホリバマの息子たちについていえば、首長エウシュ、首長ヤラム、首長コラである。これらは、アナの娘であるエサウの妻オホリバマから生まれた首長である。 19以上が、エサウ、すなわちエドムの子孫である首長たちである。
セイルの子孫
20この土地に住むフリ人セイルの息子たちは、ロタン、ショバル、ツィブオン、アナ、 21ディション、エツェル、ディシャンである。これらは、エドム地方に住むセイルの息子で、フリ人の首長たちである。 22ロタンの息子たちは、ホリとヘマムであり、ロタンの妹がティムナである。 23ショバルの息子たちは、アルワン、マナハト、エバル、シェフォ、オナムである。 24ツィブオンの息子たちは、アヤとアナである。アナは父ツィブオンのろばを飼っていたとき、荒れ野で泉を発見した人である。 25アナの子供たちは、ディションとアナの娘オホリバマである。 26ディションの息子たちは、ヘムダン、エシュバン、イトラン、ケランである。 27エツェルの息子たちは、ビルハン、ザアワン、アカンである。 28ディシャンの息子たちは、ウツとアランである。
29フリ人の首長は次のとおりである。首長ロタン、首長ショバル、首長ツィブオン、首長アナ、 30首長ディション、首長エツェル、首長ディシャン。以上がフリ人の首長であり、セイル地方に住むそれぞれの首長であった。
エドムの王国
31イスラエルの人々を治める王がまだいなかった時代に、エドム地方を治めていた王たちは次のとおりである。 32エドムで治めていたのは、ベオルの息子ベラであり、その町の名はディンハバといった。 33ベラが死んで、代わりに王となったのは、ボツラ出身でゼラの息子ヨバブである。 34ヨバブが死んで、代わりに王となったのは、テマン人の土地から出たフシャムである。 35フシャムが死んで代わりに王となったのは、ベダドの息子ハダドであり、モアブの野でミディアン人を撃退した人である。その町の名はアビトといった。 36ハダドが死んで代わりに王となったのは、マスレカ出身のサムラである。 37サムラが死んで代わりに王となったのは、ユーフラテス川のレホボト出身のシャウルである。 38シャウルが死んで、代わりに王となったのは、アクボルの息子バアル・ハナンである。 39アクボルの息子バアル・ハナンが死んで代わりに王となったのは、ハダドである。その町の名はパウといい、その妻の名はメヘタブエルといった。彼女はマトレドの娘で、メ・ザハブの孫娘である。
40エサウ系の首長たちの名前を氏族と場所の名に従って挙げれば、首長ティムナ、首長アルワ、首長エテト、 41首長オホリバマ、首長エラ、首長ピノン、 42首長ケナズ、首長テマン、首長ミブツァル、 43首長マグディエル、首長イラムである。以上がエドムの首長であって、彼らが所有した領地に従って挙げたものである。エサウは、エドム人の先祖である。
ヨセフの夢
1ヤコブは、父がかつて滞在していたカナン地方に住んでいた。
2ヤコブの家族の由来は次のとおりである。ヨセフは十七歳のとき、兄たちと羊の群れを飼っていた。まだ若く、父の側女ビルハやジルパの子供たちと一緒にいた。ヨセフは兄たちのことを父に告げ口した。
3イスラエルは、ヨセフが年寄り子であったので、どの息子よりもかわいがり、彼には裾の長い晴れ着を作ってやった。 4兄たちは、父がどの兄弟よりもヨセフをかわいがるのを見て、ヨセフを憎み、穏やかに話すこともできなかった。
5ヨセフは夢を見て、それを兄たちに語ったので、彼らはますます憎むようになった。 6ヨセフは言った。
「聞いてください。わたしはこんな夢を見ました。 7畑でわたしたちが束を結わえていると、いきなりわたしの束が起き上がり、まっすぐに立ったのです。すると、兄さんたちの束が周りに集まって来て、わたしの束にひれ伏しました。」
8兄たちはヨセフに言った。
「なに、お前が我々の王になるというのか。お前が我々を支配するというのか。」
兄たちは夢とその言葉のために、ヨセフをますます憎んだ。
9ヨセフはまた別の夢を見て、それを兄たちに話した。
「わたしはまた夢を見ました。太陽と月と十一の星がわたしにひれ伏しているのです。」
10今度は兄たちだけでなく、父にも話した。父はヨセフを叱って言った。
「一体どういうことだ、お前が見たその夢は。わたしもお母さんも兄さんたちも、お前の前に行って、地面にひれ伏すというのか。」
11兄たちはヨセフをねたんだが、父はこのことを心に留めた。
ヨセフ、エジプトに売られる
12兄たちが出かけて行き、シケムで父の羊の群れを飼っていたとき、 13イスラエルはヨセフに言った。
「兄さんたちはシケムで羊を飼っているはずだ。お前を彼らのところへやりたいのだが。」
「はい、分かりました」とヨセフが答えると、 14更にこう言った。
「では、早速出かけて、兄さんたちが元気にやっているか、羊の群れも無事か見届けて、様子を知らせてくれないか。」
父はヨセフをヘブロンの谷から送り出した。ヨセフがシケムに着き、 15野原をさまよっていると、一人の人に出会った。その人はヨセフに尋ねた。
「何を探しているのかね。」
16「兄たちを探しているのです。どこで羊の群れを飼っているか教えてください。」
ヨセフがこう言うと、 17その人は答えた。
「もうここをたってしまった。ドタンへ行こう、と言っていたのを聞いたが。」
ヨセフは兄たちの後を追って行き、ドタンで一行を見つけた。
18兄たちは、はるか遠くの方にヨセフの姿を認めると、まだ近づいて来ないうちに、ヨセフを殺してしまおうとたくらみ、 19相談した。
「おい、向こうから例の夢見るお方がやって来る。 20さあ、今だ。あれを殺して、穴の一つに投げ込もう。後は、野獣に食われたと言えばよい。あれの夢がどうなるか、見てやろう。」
21ルベンはこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から助け出そうとして、言った。
「命まで取るのはよそう。」
22ルベンは続けて言った。
「血を流してはならない。荒れ野のこの穴に投げ入れよう。手を下してはならない。」
ルベンは、ヨセフを彼らの手から助け出して、父のもとへ帰したかったのである。
23ヨセフがやって来ると、兄たちはヨセフが着ていた着物、裾の長い晴れ着をはぎ取り、 24彼を捕らえて、穴に投げ込んだ。その穴は空で水はなかった。
25彼らはそれから、腰を下ろして食事を始めたが、ふと目を上げると、イシュマエル人の隊商がギレアドの方からやって来るのが見えた。らくだに樹脂、乳香、没薬を積んで、エジプトに下って行こうとしているところであった。 26ユダは兄弟たちに言った。
「弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。 27それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。弟に手をかけるのはよそう。あれだって、肉親の弟だから。」
兄弟たちは、これを聞き入れた。
28ところが、その間にミディアン人の商人たちが通りかかって、ヨセフを穴から引き上げ、銀二十枚でイシュマエル人に売ったので、彼らはヨセフをエジプトに連れて行ってしまった。 29ルベンが穴のところに戻ってみると、意外にも穴の中にヨセフはいなかった。ルベンは自分の衣を引き裂き、 30兄弟たちのところへ帰り、「あの子がいない。わたしは、このわたしは、どうしたらいいのか」と言った。 31兄弟たちはヨセフの着物を拾い上げ、雄山羊を殺してその血に着物を浸した。 32彼らはそれから、裾の長い晴れ着を父のもとへ送り届け、「これを見つけましたが、あなたの息子の着物かどうか、お調べになってください」と言わせた。 33父は、それを調べて言った。
「あの子の着物だ。野獣に食われたのだ。ああ、ヨセフはかみ裂かれてしまったのだ。」
34ヤコブは自分の衣を引き裂き、粗布を腰にまとい、幾日もその子のために嘆き悲しんだ。 35息子や娘たちが皆やって来て、慰めようとしたが、ヤコブは慰められることを拒んだ。
「ああ、わたしもあの子のところへ、嘆きながら陰府へ下って行こう。」
父はこう言って、ヨセフのために泣いた。
36一方、メダンの人たちがエジプトへ売ったヨセフは、ファラオの宮廷の役人で、侍従長であったポティファルのものとなった。
ユダとタマル
1そのころ、ユダは兄弟たちと別れて、アドラム人のヒラという人の近くに天幕を張った。 2ユダはそこで、カナン人のシュアという人の娘を見初めて結婚し、彼女のところに入った。 3彼女は身ごもり男の子を産んだ。ユダはその子をエルと名付けた。 4彼女はまた身ごもり男の子を産み、その子をオナンと名付けた。 5彼女は更にまた男の子を産み、その子をシェラと名付けた。彼女がシェラを産んだとき、ユダはケジブにいた。
6ユダは長男のエルに、タマルという嫁を迎えたが、 7ユダの長男エルは主の意に反したので、主は彼を殺された。 8ユダはオナンに言った。
「兄嫁のところに入り、兄弟の義務を果たし、兄のために子孫をのこしなさい。」
9オナンはその子孫が自分のものとならないのを知っていたので、兄に子孫を与えないように、兄嫁のところに入る度に子種を地面に流した。 10彼のしたことは主の意に反することであったので、彼もまた殺された。
11ユダは嫁のタマルに言った。
「わたしの息子のシェラが成人するまで、あなたは父上の家で、やもめのまま暮らしていなさい。」
それは、シェラもまた兄たちのように死んではいけないと思ったからであった。タマルは自分の父の家に帰って暮らした。
12かなりの年月がたって、シュアの娘であったユダの妻が死んだ。ユダは喪に服した後、友人のアドラム人ヒラと一緒に、ティムナの羊の毛を刈る者のところへ上って行った。 13ある人がタマルに、「あなたのしゅうとが、羊の毛を刈るために、ティムナへやって来ます」と知らせたので、 14タマルはやもめの着物を脱ぎ、ベールをかぶって身なりを変え、ティムナへ行く途中のエナイムの入り口に座った。シェラが成人したのに、自分がその妻にしてもらえない、と分かったからである。 15ユダは彼女を見て、顔を隠しているので娼婦だと思った。 16ユダは、路傍にいる彼女に近寄って、「さあ、あなたの所に入らせてくれ」と言った。彼女が自分の嫁だとは気づかなかったからである。
「わたしの所にお入りになるのなら、何をくださいますか」と彼女が言うと、 17ユダは、「群れの中から子山羊を一匹、送り届けよう」と答えた。しかし彼女は言った。
「でも、それを送り届けてくださるまで、保証の品をください。」
18「どんな保証がいいのか」と言うと、彼女は答えた。
「あなたのひもの付いた印章と、持っていらっしゃるその杖です。」
ユダはそれを渡し、彼女の所に入った。彼女はこうして、ユダによって身ごもった。 19彼女はそこを立ち去り、ベールを脱いで、再びやもめの着物を着た。 20ユダは子山羊を友人のアドラム人の手に託して送り届け、女から保証の品を取り戻そうとしたが、その女は見つからなかった。 21友人が土地の人々に、「エナイムの路傍にいた神殿娼婦は、どこにいるでしょうか」と尋ねると、人々は、「ここには、神殿娼婦などいたことはありません」と答えた。 22友人はユダのところに戻って来て言った。「女は見つかりませんでした。それに土地の人々も、『ここには、神殿娼婦などいたことはありません』と言うのです。」 23ユダは言った。
「では、あの品はあの女にそのままやっておこう。さもないと、我々が物笑いの種になるから。とにかく、わたしは子山羊を届けたのだが、女が見つからなかったのだから。」
24三か月ほどたって、「あなたの嫁タマルは姦淫をし、しかも、姦淫によって身ごもりました」とユダに告げる者があったので、ユダは言った。
「あの女を引きずり出して、焼き殺してしまえ。」
25ところが、引きずり出されようとしたとき、タマルはしゅうとに使いをやって言った。
「わたしは、この品々の持ち主によって身ごもったのです。」
彼女は続けて言った。
「どうか、このひもの付いた印章とこの杖とが、どなたのものか、お調べください。」
26ユダは調べて言った。
「わたしよりも彼女の方が正しい。わたしが彼女を息子のシェラに与えなかったからだ。」
ユダは、再びタマルを知ることはなかった。
27タマルの出産の時が来たが、胎内には双子がいた。 28出産の時、一人の子が手を出したので、助産婦は、「これが先に出た」と言い、真っ赤な糸を取ってその手に結んだ。 29ところがその子は手を引っ込めてしまい、もう一人の方が出てきたので、助産婦は言った。
「なんとまあ、この子は人を出し抜いたりして。」
そこで、この子はペレツ(出し抜き)と名付けられた。 30その後から、手に真っ赤な糸を結んだ方の子が出てきたので、この子はゼラ(真っ赤)と名付けられた。