ナンシーは悪いことばかり想像して不安でした。夫のトムがハイキングの最中、3度も失神したのです。現地の小さな病院で異常なしと診断され、都会の大きな医療センターで追加の検査をしましたが、異常は発見されませんでした。彼女は非常に不安だったと語ります。医療センターの専門医に最後の質問をしました。「これからどうしたらよいでしょう?」その時の医者の答えが、彼女の視座を完全に変えました。「自分の人生をしっかり生きてください」。それは、気休めではなく知恵の言葉でした。

彼の忠告は、イエスの山上の説教にも見られます。「自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか」(マタ6:25)。この言葉は、病気やその他の問題を無視しなさいと言っているのではありません。ただ「思い悩むな」(25節)と述べ、「あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか」(27節)と問いかけています。

預言者イザヤも同様の知恵で語りました。「心おののく人々に言え。『雄々しくあれ、恐れるな。見よ、あなたたちの神を』」(イザ35:4)。ナンシーとトムは、今では1日8キロ以上歩いています。不安にかられながらではなく、楽しんで歩いています。