米国の第18代大統領、ユリシーズ・グラントは、1872年、馬車を爆走させ、アフリカ系アメリカ人の警察官ウィリアム・ウェストに止められました。「閣下、そのスピードでは通行人の命を脅かします」。グラントは謝罪しましたが、翌日も猛スピードで走りました。ウェストは再度馬車を止め、「一介の警官に過ぎない私が、国家の長である大統領に対して誠に遺憾ですが、任務は任務です」と言い、グラントを逮捕しました。

ウェストの勇気と責任感に感服します。一方、グラントも真っ当でした。ウェストを称賛し、解雇されないように目配りしました。神も喜ばれたことでしょう。えこひいきを嫌うお方ですから。

聖書は「栄光に満ちた、わたしたちの主イエス・キリストを信じながら、人を分け隔てしてはなりません」(ヤコ2:1)と語ります。力のある人を優遇し、弱い人を邪険に扱ってはいけません(2-4節)。聖書に則り、隣人を自分のように愛すべきです(8節)。もし、勝手に人を階級分けして、「下」の人より「上」の人に良くするなら、私たちは「罪を犯すことになり、律法によって違犯者と断定されます」(9節)

神はえこひいきなさいません。ささげる物もなく、「この世の中で希望を持たず、神を知らずに生きて」(エフェ2:12)いた時でさえ、私たちを愛されました。神の御声に耳を傾ければ、えこひいきをせず、万民を平等に愛することができます。