朝ごとに新しい
映画に「リブート版」というものがあります。それは、よく知られたヒーローものや、おとぎ話などの古い作品に新しい解釈を加えて作り直したものです。あまり有名ではない作品を新しい切り口で作り直したりもします。それは仕切り直しとも言えます。新しい息を吹き込んで再出発させるのです。
完全にきよめられる
お客さんが来るというので、夫婦で掃除をしました。私は台所のタイルの床にシミを見つけ、床に這いつくばって拭き取ろうとしました。ところが、1つのシミを消すと別のシミが目立つのです。私が落とした汚れは皆、他の汚れを目立たせるだけでした。突然、我が家の台所の床がひどく汚く感じました。どんなに頑張っても、決してきれいにならないことも分かりました。
嫌な臭い
以前、椅子でくつろいでいると、末娘が2階から降りてきました。そして、まっしぐらに向かって来るや、私の膝に飛び乗りました。ハグをして、おでこに優しくキスすると、娘はキャッキャッと声を上げました。しかし、すぐに顔をしかめ、コーヒーカップを厳しい目でちらっと見ると、真顔でこう言いました。「パパのこと、大好きよ。でも、パパの匂いは嫌い」
混乱の中の恵み
うとうとしかけていると突然、息子のエレキギターの音が地下室から響いて静寂が破られ、壁が振動しました。昼寝どころではありません。すると、競うように別の音が聞こえました。娘が「驚くばかりの恵みなりき」をピアノで弾き出したのです。
レースを走る
米国のナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の選手生命は短く、平均で3.3年です。ところが、トム・ブレイディは、2021年、44歳で22回目のシーズンを迎えました。彼が食生活やトレーニングを厳格に管理することは有名です。これが競争力の維持に寄与しているのでしょう。ブレイディはスーパーボウルを7度制覇。「史上最高」と呼ばれました。完璧を一途に追い求め、生活の全てをフットボールに捧げなければ得られなかった称号です。
自分のものにする
米国で2002年に始まった「アメリカン・アイドル」というテレビ番組は、素人が人気曲を歌って優劣を競います。有名な歌を完璧に歌いこなした上に個性が光っていると、審査員のランディ・ジャクソンは、「この歌を自分のものにしたね」と称賛を送ります。「自分のものにする」とは、完全な習得と創造性の双方が備わっていることで、歌い手はそれを舞台の上で証明したのです。
焦点を神に
婚約指輪を探していたとき、彼女に最高と思ってもらえるものを選べなかったらと不安で、なかなか決断できませんでした。経済心理学者のバリー・シュワルツによると、この優柔不断さは、私が「追求者」と呼ばれるタイプだからだそうです。対照的なタイプは、「満足者」と呼ばれます。「満足者」は必要が賄われさえすれば十分ですが、「追求者」は一番良いものを求めないと気が済まず、決断をちゅうちょします。選択肢が多くなると、不安、うつ、不満をもたらしかねません。実際、「取り残される不安」という社会現象に言及する学者もいます。
場所を用意する
我が家が子犬をもらうと決めると、11歳の娘は数か月にわたって熱心に情報を集めました。どんなエサがよいとか、家に慣れさせる方法など、色々な豆知識です。そして、一部屋ずつ慣れさせるのがよいということで、子犬専用の部屋を決めました。実際に犬が来ると、様々な予期せぬことが起こるでしょうが、娘は嬉々として最善の準備を整えました。
逃避か平安か
水回り設備の店の「エスケイプ」と書いた派手な看板に見入ってしまいました。手軽に温泉気分が味わえる浴室が欲しいと妻と話し合ったことがあったのです。けれども費用や電気代など逃げ出したい面倒なことも増えると考えてやめました。