するべきか、しないべきか
子どもの時、第2次世界大戦で使われた戦車が家の近くの公園に展示されていました。立ち入り禁止の警告が数カ所にありましたが、無視してよじ登ってしまった友だちがいました。私たちはちゅうちょしましたが、結局、仲間に加わりました。しかし、ある男の子は禁止だから登らないと言いました。もう1人は、大人が近づいてくると飛び降りました。規則に従いたいという思いは、おもしろいことをしたいという誘惑に負けてしまったのです。
必要を見て取る
父が亡くなる数日前、看護師のレイチェルが病室に立ち寄り、ひげをそりましょうかと尋ねました。そして、優しく顔を当たりながら「この年代の男性は、毎日のひげそりが大切ですね」と話しました。彼女は父の気持ちを察して、敬意を持って主体的に行動しました。その親切は、高齢の母親のマニキュアを塗ってあげる友人のジュリーと同じです。彼女の母にとって、きれいだということが大切だからです。
美し過ぎて
新生児室の窓越しに生まれたての赤ん坊を初めて見たとき、無知で若輩の私は、しわしわで、頭は細長く、毛もない姿に戸惑いました。しかし、そばにいた赤ん坊の母親は、「かわいいでしょう?」と、しきりに自慢しています。若い父親が女の赤ちゃんに「美し過ぎて」を優しく歌う動画を見て、あの日の光景を思い出しました。うっとり見つめる彼にとって、この子ほど美しい被造物は、この世に存在しないのです。
十分な時間
友人の本棚にトルストイの『戦争と平和』の全巻が並んでいるのを見て、私は全巻を読んでいないと告白しました。彼は笑いながら「定年で教職から退いたとき、『読める時間がやっとできたね』と、友人がプレゼントしてくれたのだよ」と言いました。
ありのままのその人を
オリバー・クロムウェルは17世紀の軍人で、イングランド共和国の初代護国卿でした。当時、国の高官が肖像画を描かせるのはよくあることで、見栄えのよくない部分を描かないことも普通でした。しかし、クロムウェルは自分を良く見せたいとは思わず、「イボも含めて、ありのままの私を描きなさい。さもなければ支払いはしません」と告げました。画家が従ったのは明らかです。完成したクロムウェルの自画像には大きなイボが描かれています。現代のSNSの写真なら修正されていたでしょう。
心地よい眠り
友人のフロスは、眠れない夜には賛美歌「主よ、わが主よ」の歌詞を思い巡らします。彼女はそれを「真夜中の賛歌」と呼びます。神の約束や神を愛する数々の理由を思い起こさせてくれるからです。
学ぶことを愛する
ジャーナリストになった経緯を尋ねられた男性は、彼の知りたいという思いを応援してくれた貧しい母の話をしました。彼女は日々の通勤電車で、座席に放置されていた新聞を集めて、息子のために持ち帰りました。彼は特にスポーツの記事が好きでしたが、他の分野と出会うきっかけにもなり、最終的に幅広い興味を持てるようになりました。
聖書を描く
オランダ系の家庭でよく見かける青と白の装飾タイルはデルフト市で生まれました。そこには、美しい風景、点在する風車、働いたり、遊んだりする人々などが描かれています。19世紀、チャールズ・ディケンズは、小説『クリスマス・キャロル』の中で、古い暖炉は、古風なデルフト・タイルで敷き詰められていて「カインや、アベルや、パロの娘達や、シバの女王達、……海に出て行こうとしている使者達……がそこに描かれていた」と記しています。当時の人々は、家族で暖炉を囲みながら、タイルを教材として、聖書の物語を語り合いました。そして、神の品性、すなわち、神の義やあわれみを学んだのです。
太っ腹
新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のために、テネシー州が小売店に営業停止命令を出しました。店主たちは、どうやって家賃や従業員の給与を支払い、この危機を乗り切ろうかと悩んでいました。それを知ったナッシュビル近くの教会の牧師は、彼らを助けようと動きました。彼は「町の人が大変な目に遭っているときに、教会が蓄えの上に安住しているわけにはいきません」と語り、近隣の他の教会にも協力してほしいと呼びかけました。