後に来る罰
ある牧師のメッセージが地方紙に載っていました。その牧師は、紹介されたばかりの年配の男性と「電力会社で働いていたとおっしゃいましたね」といって会話をつづけました。彼が「ええ、そうです」と答えたので、牧師は、子どもの頃に住んでいた家の敷地内に、その会社のケーブルが通っていたと言いました。男性は「どこに住んでいたのですか」と質問し、牧師が答えると、「その家のことは覚えています」ということでした。「あそこは、ケーブルの警告版で苦労しました。上げても、上げても、子どもたちが撃ち落としてしまいましたから。」牧師が、恥ずかしさで顔を赤らめると、「あなたは、あの狙撃犯のひとりでしたか」と言われました。そのとおりだったのです。
新たな旅立ち
再出発は可能です。小学生ですでに不良の仲間入りをしていた、ブライアンの話を聞いてください。彼は12歳のときに家出して、3年間も行方知れず。その間、不良仲間とドラッグ三昧の暮らしをしていました。仲間と別れて家に帰って来てからも大変でした。ドラッグを売って、学校を追い出されていたからです。しかし、新しい学校に入ることができました。また、先生が、過去を繰り返すのではなく、それを文章にしてみてはどうかと強く勧めてくれました。彼はこの言葉に背中を押され、新たなスタートを切りました。
過去と向き合う
刑務所伝道団体「プリズン・フェローシップ」の創設者であるチャールズ・コルソンは、40年間、イエス・キリストの福音を受刑者に伝える働きをしてきましたが、2012年4月に召天しました。ある新聞は、「『ニクソン時代の汚れた詐欺師』チャールズ・コルソン死去、80歳」という見出しで彼の死を伝えました。昔、大統領補佐官だった頃、コルソンは政敵に対して冷淡な人でした。しかし、救い主キリストに出会って、すっかり変えられました。これほどの変貌を遂げた人の訃報が、このように伝えられたことに、少なからず驚いています。
過去の回復
後悔をしたことはないという人はいないでしょう。誤った選択を繰り返し、人生の歯車が狂っていくということがしばしば起こります。そのような状態が続く期間は人それぞれですが、間違った選択をすれば、その影響を心や身体に感じながら生きていかなければならないかもしれません。
私の友人に長年アルコールと薬物を乱用していた人がいます。神は、彼に驚くべき御業をなさいました。彼はアルコールと薬物中毒から解放され、もう25年、どちらにも手をつけていません。先日、25年間守られたお祝いをしました。彼は今や、繁盛する店の店主です。また、慈善団体で奉仕し、心優しく賢明なカウンセラーとして、人生の泥沼から這い出して更正しようとする人たちを支えています。夫思いの妻にも恵まれ、子どもたちはイエスを愛しています。
神は私たちを決して見捨てられません。たとえ間違った道を選んで悔やんでいたとしても、今をどう生きるかは、新しく選ぶことができます。後悔するだけで何も改めず、自分を傷つける生き方を続けることもできますが、「いなご、ばったの食い尽くした年々を償おう」(ヨエ2:25)と言われる聖書の神を信じて、キリストにすがることもできます。悔い改めて、神の癒しの力と解放の力を求めるならば、神はあわれんでくださいます。
過去の過ちが原因で今ある現実を帳消しにできない、というのは事実かもしれません。しかし、神はご自分を信頼する人たちに、ご自分の栄光を現す素晴らしい未来をくださいます。私たちは、それを確信することができます。
ブラックボックス
民間機は「ブラックボックス」と呼ばれる記録装置をふたつ搭載しています。ひとつは飛行実績と飛行中の機体の状態を記録し、もうひとつは、乗務員と地上管制官との会話を記録します。この装置は極度の高温・低音に耐えるよう、耐熱性を備えています。また、水中から音を発して自らの存在を知らせる装置も内臓しています。飛行機が墜落すると、この装置は回収され、データが解析されます。航空安全の専門家たちは、このような惨事が繰り返されないことを願って、墜落原因を突き止め、過去のミスから学ぼうとします。
私たちクリスチャンも、過去の誤りに目をとめ、そこから学ぶ必要があります。例えば使徒パウロは、イスラエルの民はエジプトからカナンに向かう旅の途中で間違いを犯したとほのめかして、彼らが神を怒らせたために荒野で数多くの民が死んだ、と記しました(Ⅰコリ10:5)。そして、このように続けました。「これらのことは前例として彼らに起こったのです。それが書き伝えられているのは、時の終わりに直面しているわたしたちに警告するためなのです。」(新共同訳 11節)
聖書はすべて、神の霊感によって書かれたもので、私たちを教え、戒め、矯正し、義の訓練をするために有益です(Ⅱテモ3:16-17)。神が聖書のみことばによって導いてくださることを感謝しましょう。