お父さんたちへの福音 お父さんたちへの福音

あなたがたは地上で、だれかを自分たちの父と呼んではいけません。あなたがたの父はただ一人、天におられる父だけです。マタイ23:9

映画『そして父になる』で福山雅治さんの演じる父親は子どもへの要求が高く、笑顔ではあるけれどとても冷たい存在です。彼は両親の離婚に傷つき痛みを抱えていました。子ども時代に傷ついた経験を持つが故に、尊敬される立派な親になろうとして結局、自分の子どもを苦しめていました。

聖書の世界では、「父」という言葉は血縁や親戚関係を示すだけでなく「真の尊敬に値する人」という意味があるようです。エリシャはエリヤを、ナアマンの従者はナアマンを「父」と呼んでいます(Ⅱ列2:12、5:13)。そのような背景の下、イエスは「地上の者を『父』と呼んではならない」と言われました。

「真の尊敬に値する父は天の父ただ一人だけだ」というのは福音です。「完璧な親にならなければ」というプレッシャーと「完璧な親に育ててもらえなかった」という不足感から私たちを解放します。私たちも、私たちの親も完璧ではありません。どちらも不完全で、傷や葛藤を抱えています。私たちは、互いの重荷を負い合いつつ(ガラ6:2)真の父を見上げる兄弟、兄妹なのです。

概して父親は弱音を吐いたり悩みを打ち明けることが苦手です。ですからあなたのお父さんに等身大で付き合える友が与えられるようにと祈ってみてはどうでしょう。また父親の弱さや欠けに寛容を示しつつ、共に「天の父」を慕い求める家庭を築くことができるようにも祈りましょう。自分の父親だけでなく、地域や教会のお父さんたちのためにも祈りましょう。

祈ろう

まことの父よ。地上の父に期待しすぎることから私を解放し、等身大の父を受け止め、敬い、愛せるように助けてください。地上の父のために祈ります。家族のためのスーパーマンにならなくても、天の父が助けてくださることを心から信じることができますように。

寄稿者:山田風音

父の日の黙想 お父さんと子どもたちへの福音