オーストラリア固有の動物であるカンガルーとエミューには、後ろに進むことは滅多に無いという共通点があります。カンガルーの体形と長い尾は前に飛び跳ねるためには好都合ですが、後ろに下がろうとするなら大変です。エミューは力強い足で速く走れますが、その膝の関節の構造は後ずさりに向いていません。そういうわけで、この二種類の動物は、常に前進していくことを表す象徴として、オーストラリアの国の紋章に描かれています。

使徒パウロは、信仰においてもこのような姿勢で生きていきなさいと訴えます。ピリピ人への手紙には、「兄弟たちよ。私は、自分はすでに捕らえたなどと考えてはいません。ただ、この一事に励んでいます。すなわち、うしろのものを忘れ、ひたむきに前のものに向かって進み、キリスト・イエスにおいて上に召してくださる神の栄冠を得るために、目標を目ざして一心に走っているのです」と述べられています(ピリ3:13-14)。

過去から学ぶのは賢いことですが、過去に生きてはいけません。過去の出来事を取り消したり、過去に戻ってやり直したりすることはできないからです。しかし、私たちは今日、誠実に神に仕え、明日からの日々も努力し前進していくことができます。神の恵みによって、そうできるのです。信仰の人生は、キリストに似たものになるようにと、前へ前へと進んでいく旅路です。