英国で20世紀初頭に革新的ジャーナリストと言われたW.T.ステッドは、論争を起こすような社会問題を取り上げることで知られていました。彼の記事には、十分な数の救命艇を装備しないまま運航されている、客船の危険を問い正したものもありました。ところが皮肉なことに1912年4月5日、北大西洋で氷山に接触して沈没したタイタニック号に乗りあわせたのです。報告書によると、ステッドは女性や子どもたちの救助を手伝った後、自分は救命艇に乗ることを辞退して他の人を助けたといいます。

自己犠牲の話は、私たちを感動させます。しかし、キリストほどの自己犠牲はありません。へブル人への手紙は、「しかし、キリストは、罪のために一つの永遠のいけにえをささげて後、神の右の座に着き…キリストは聖なるものとされる人々を、一つのささげ物によって、永遠に全うされたのです」と語ります(ヘブ10:12、14)。また、使徒パウロはガラテヤ人に宛てた手紙の中で、「キリストは、今の悪の世界から私たちを救い出そうとして、私たちの罪のためにご自身をお捨てになりました。私たちの神であり父である方のみこころによったのです」と語ります(ガラ1:4)。

私たちのために自らを差し出されたイエスの姿は、私たちへの大きな愛の現れです。その尊い犠牲は今もなお、多くの人を救い、永遠のいのちを保証しています。