エレミヤ書 15:1-17:27
1主はわたしに言われた。「たとえモーセとサムエルが執り成そうとしても、わたしはこの民を顧みない。わたしの前から彼らを追い出しなさい。 2彼らがあなたに向かって、『どこへ行けばよいのか』と問うならば、彼らに答えて言いなさい。
『主はこう言われる。
疫病に定められた者は、疫病に
剣に定められた者は、剣に
飢えに定められた者は、飢えに
捕囚に定められた者は、捕囚に。』
3わたしは彼らを四種のもので罰する、と主は言われる。剣が殺し、犬が引きずって行き、空の鳥と地の獣が餌食として滅ぼす。 4わたしは地上のすべての国が、彼らを見て恐怖を抱くようにする。それはヒゼキヤの子ユダの王マナセがエルサレムでしたことのためである。」
5エルサレムよ、誰がお前を憐れみ
誰がお前のために嘆くであろうか。
誰が安否を問おうとして、立ち寄るであろうか。
6お前はわたしを捨て、背いて行ったと
主は言われる。
わたしは手を伸ばしてお前を滅ぼす。
お前を憐れむことに疲れた。
7わたしはこの地の町々の城門で
彼らを箕であおり、まき散らし
わが民の子らを奪い、滅ぼす。
彼らがその道を改めないからだ。
8やもめの数は海の砂よりも多くなった。
わたしは白昼、荒らす者に若者の母を襲わせた。
彼女はたちまち恐れとおののきに捕らえられ
9七人の子の母はくずおれてあえぐ。
太陽は日盛りに沈み
彼女はうろたえ、絶望する。
わたしは敵の前で民の残りの者を剣に渡すと
主は言われる。
エレミヤの苦しみと神の支え
10ああ、わたしは災いだ。
わが母よ、どうしてわたしを産んだのか。
国中でわたしは争いの絶えぬ男
いさかいの絶えぬ男とされている。
わたしはだれの債権者になったことも
だれの債務者になったこともないのに
だれもがわたしを呪う。
11主よ、わたしは敵対する者のためにも
幸いを願い
彼らに災いや苦しみの襲うとき
あなたに執り成しをしたではありませんか。
12鉄は砕かれるだろうか
北からの鉄と青銅は。
13わたしはお前の富と宝を
お前のあらゆる罪の報いとして
至るところで、敵の奪うにまかせる。
14また、お前を敵の奴隷とし
お前の知らない国に行かせる。
わたしの怒りによって火が点じられ
お前たちに対して燃え続ける。
15あなたはご存じのはずです。
主よ、わたしを思い起こし、わたしを顧み
わたしを迫害する者に復讐してください。
いつまでも怒りを抑えて
わたしが取り去られるようなことが
ないようにしてください。
わたしがあなたのゆえに
辱めに耐えているのを知ってください。
16あなたの御言葉が見いだされたとき
わたしはそれをむさぼり食べました。
あなたの御言葉は、わたしのものとなり
わたしの心は喜び躍りました。
万軍の神、主よ。
わたしはあなたの御名をもって
呼ばれている者です。
17わたしは笑い戯れる者と共に座って楽しむことなく
御手に捕らえられ、独りで座っていました。
あなたはわたしを憤りで満たされました。
18なぜ、わたしの痛みはやむことなく
わたしの傷は重くて、いえないのですか。
あなたはわたしを裏切り
当てにならない流れのようになられました。
19それに対して、主はこう言われた。
「あなたが帰ろうとするなら
わたしのもとに帰らせ
わたしの前に立たせよう。
もし、あなたが軽率に言葉を吐かず
熟慮して語るなら
わたしはあなたを、わたしの口とする。
あなたが彼らの所に帰るのではない。
彼らこそあなたのもとに帰るのだ。
20この民に対して
わたしはあなたを堅固な青銅の城壁とする。
彼らはあなたに戦いを挑むが
勝つことはできない。
わたしがあなたと共にいて助け
あなたを救い出す、と主は言われる。
21わたしはあなたを悪人の手から救い出し
強暴な者の手から解き放つ。」
預言者の孤独
1主の言葉がわたしに臨んだ。 2「あなたはこのところで妻をめとってはならない。息子や娘を得てはならない。」 3このところで生まれる息子、娘、この地で彼らを産む母、彼らをもうけた父について、主はこう言われる。 4「彼らは弱り果てて死ぬ。嘆く者も、葬る者もなく、土の肥やしとなる。彼らは剣と飢饉によって滅びる。その死体は空の鳥、野の獣の餌食となる。」
5主はこう言われる。「あなたは弔いの家に入るな。嘆くために行くな。悲しみを表すな。わたしはこの民から、わたしの与えた平和も慈しみも憐れみも取り上げる」と主は言われる。 6「身分の高い者も低い者もこの地で死に、彼らを葬る者はない。彼らのために嘆く者も、体を傷つける者も、髪をそり落とす者もない。 7死者を悼む人を力づけるために、パンを裂く者もなく、死者の父や母を力づけるために、杯を与える者もない。 8あなたは酒宴の家に入るな。彼らと共に座って、飲み食いしてはならない。」
9万軍の主、イスラエルの神はこう言われる。「見よ、わたしはこのところから、お前たちの目の前から、お前たちが生きているかぎり、喜びの声、祝いの声、花婿の声、花嫁の声を絶えさせる。」
10あなたが、この民にこれらの言葉をすべて告げるならば、彼らはあなたに、「なぜ主はこの大いなる災いをもたらす、と言って我々を脅かされるのか。我々は、どのような悪、どのような罪を我々の神、主に対して犯したのか」と言うであろう。 11あなたは、彼らに答えるがよい。「お前たちの先祖がわたしを捨てたからだ」と主は言われる。「彼らは他の神々に従って歩み、それに仕え、ひれ伏し、わたしを捨て、わたしの律法を守らなかった。 12お前たちは先祖よりも、更に重い悪を行った。おのおのそのかたくなで悪い心に従って歩み、わたしに聞き従わなかった。 13わたしは、お前たちをこの地から、お前たちも先祖も知らなかった地へ追放する。お前たちは、そのところで昼も夜も他の神々に仕えるがよい。もはやわたしは、お前たちに恩恵をほどこさない。」
新しい出エジプト
14見よ、このような日が来る、と主は言われる。人々はもう、「イスラエルの人々をエジプトから導き上られた主は生きておられる」と言わず、 15「イスラエルの子らを、北の国、彼らが追いやられた国々から導き上られた主は生きておられる」と言うようになる。わたしは彼らを、わたしがその先祖に与えた土地に帰らせる。
16見よ、わたしは多くの漁師を遣わして、彼らを釣り上げさせる、と主は言われる。その後、わたしは多くの狩人を遣わして、すべての山、すべての丘、岩の裂け目から、彼らを狩り出させる。 17わたしの目は、彼らのすべての道に注がれている。彼らはわたしの前から身を隠すこともできず、その悪をわたしの目から隠すこともできない。 18まず、わたしは彼らの罪と悪を二倍にして報いる。彼らがわたしの地を、憎むべきものの死体で汚し、わたしの嗣業を忌むべきもので満たしたからだ。
19主よ、わたしの力、わたしの砦
苦難が襲うときの逃れ場よ。あなたのもとに
国々は地の果てから来て言うでしょう。
「我々の先祖が自分のものとしたのは
偽りで、空しく、無益なものであった。
20人間が神を造れようか。
そのようなものが神であろうか」と。
21それゆえ、わたしは彼らに知らせよう。
今度こそ、わたしは知らせる
わたしの手、わたしの力強い業を。
彼らはわたしの名が主であることを知る。
ユダの罪と罰
1ユダの罪は
心の板に、祭壇の角に
鉄のペンで書きつけられ
ダイヤモンドのたがねで刻み込まれて
2子孫に銘記させるものとなる。
それらは彼らの祭壇であり、アシェラ像である。
それらは、どの緑の木の下にも
高い丘、野の山の上にもある。
3野から山に登る者よ。
わたしはお前の富と宝を
お前の聖なる高台での罪のゆえに
至るところで、敵が奪うにまかせる。
4わたしが継がせた嗣業をお前は失う。
また、お前を敵の奴隷とし
お前の知らない国に行かせる。
わたしの怒りによって火が点じられ
とこしえに燃え続ける。
主に信頼する人
5主はこう言われる。
呪われよ、人間に信頼し、肉なる者を頼みとし
その心が主を離れ去っている人は。
6彼は荒れ地の裸の木。
恵みの雨を見ることなく
人の住めない不毛の地
炎暑の荒れ野を住まいとする。
7祝福されよ、主に信頼する人は。
主がその人のよりどころとなられる。
8彼は水のほとりに植えられた木。
水路のほとりに根を張り
暑さが襲うのを見ることなく
その葉は青々としている。
干ばつの年にも憂いがなく
実を結ぶことをやめない。
人間の心を知り尽くす神
9人の心は何にもまして、とらえ難く病んでいる。
誰がそれを知りえようか。
10心を探り、そのはらわたを究めるのは
主なるわたしである。
それぞれの道、業の結ぶ実に従って報いる。
11しゃこが自分の産まなかった卵を集めるように
不正に富をなす者がいる。
人生の半ばで、富は彼を見捨て
ついには、神を失った者となる。
12栄光の御座、いにしえよりの天
我らの聖所、 13イスラエルの希望である主よ。
あなたを捨てる者は皆、辱めを受ける。
あなたを離れ去る者は
地下に行く者として記される。
生ける水の源である主を捨てたからだ。
エレミヤの嘆き
14主よ、あなたがいやしてくださるなら
わたしはいやされます。
あなたが救ってくださるなら
わたしは救われます。
あなたをこそ、わたしはたたえます。
15御覧ください。
彼らはわたしに言います。
「主の言葉はどこへ行ってしまったのか。
それを実現させるがよい」と。
16わたしは、災いが速やかに来るよう
あなたに求めたことはありません。
痛手の日を望んだこともありません。
あなたはよくご存じです。
わたしの唇から出たことは
あなたの御前にあります。
17わたしを滅ぼす者とならないでください。
災いの日に、あなたこそわが避け所です。
18わたしを迫害する者が辱めを受け
わたしは辱めを受けないようにしてください。
彼らを恐れさせ
わたしを恐れさせないでください。
災いの日を彼らに臨ませ
彼らをどこまでも打ち砕いてください。
安息日の順守
19主はわたしにこう言われた。「行って、ユダの王たちが出入りする民の子らの門や、エルサレムのすべての門に立ち、 20彼らに言うがよい。これらの門を入るユダの王たち、ユダのすべての者、エルサレムのすべての住民よ、主の言葉を聞け。
21主はこう言われる。あなたたちは、慎んで、安息日に荷を運ばないようにしなさい。エルサレムのどの門からも持ち込んではならない。 22また安息日に、荷をあなたたちの家から持ち出してはならない。どのような仕事もしてはならない。安息日を聖別しなさい。 23それをわたしはあなたたちの先祖に命じたが、彼らは聞き従わず、耳を貸そうともしなかった。彼らはうなじを固くして、聞き従わず、諭しを受け入れようとしなかった。 24主は言われる。もし、あなたたちがわたしに聞き従い、安息日にこの都の門から荷を持ち込まず、安息日を聖別し、その日には何の仕事もしないならば、 25ダビデの王座に座る王たち、高官たち、すなわち車や馬に乗る王や高官、ユダの人々、エルサレムの住民が、常にこの都の門から入り、この都には、とこしえに人が住むであろう。 26ユダの町々、エルサレムの周囲、ベニヤミンの地、シェフェラ、山地、ネゲブなどから、人々は焼き尽くす献げ物、いけにえ、穀物の献げ物、乳香をもたらし、主の神殿への感謝の献げ物とする。 27もし、あなたたちがわたしに聞き従わず、安息日を聖別せず、安息日に荷を運んで、エルサレムの門を入るならば、わたしはエルサレムの門に火を放つ。その火はエルサレムの城郭を焼き尽くし、消えることはないであろう。」