セント・ポール大聖堂のドーム状の塔の見物客は、259段の階段を上がり、ささやきの回廊に行くことができます。そこでは、小さなささやきが、円形の通路沿いのどこでも聞こえます。30メートルも離れた反対側でさえ聞き取れるのです。この特殊な現象は、ドームの形状とささやきの微弱な音波が関係しているといいます。

神が小さな声を聞いてくださるという確信が、どれほど欲しいことでしょう。詩篇は、神が、御民の叫びや祈り、うめきを聞かれるという証言で溢れています。「私は苦しみの中に主を呼び求め、助けを求めてわが神に叫んだ」とダビデは語ります(詩18:6)。「自分の心と語り合い、私の霊は探り求める」(77:6)と記されているように、詩篇の作者たちは、私の祈りを、私の声を、うめきを聞いてくださいと嘆願し(4:1、5:3、102:20)、時には、ささやきどころでなく、叫び声さえあげます。

これらの嘆願に対して、ダビデが「主はその宮で私の声を聞かれ、御前に助けを求めた私の叫びは、御耳に届いた」(詩18:6)と記したように、彼らは神が耳を傾けられると明言します。ダビデの時代、宮はまだ建てられていないので、彼は神が天の住まいで聞いておられると啓示したのかもしれません。

神は天上のささやきの回廊でかがみ、私たちのつぶやきやうめきに耳を傾けておられます。