高名な芸術家マコト・フジムラは、著書『アート+信仰 創作の神学』で金継ぎについて記しています。金継ぎは、割れた陶器(元々は茶碗)の破片を元の器に漆で張り付け、ひび割れに金を入れ込む技術です。フジムラ氏は、それは「壊れた器を単に『修繕』するのではなく、元々の器よりも美しくする技術だ」と語っています。昔、武将のお気に入りの茶碗が壊れ、それを美しく修復したことに端を発し、それが高く評価され、求められる芸術になったそうです。

預言者イザヤは、神が世界を回復させておられると語ります。私たちは神に反逆して壊れ、勝手なことをして粉々に砕かれましたが、神は「わたしは新しい天と新しい地を創造する」(65:17)と約束されました。神のご計画は、単に古い世の修繕ではなく、完全に新しい世を作ることです。私たちの荒廃を材料に、みずみずしく美しい世を造るのです。それは非常に素晴らしい世界で、「かつての苦難は忘れられ、……先のことは思い出されず、心に上ることもない」(16-17節)のです。神は私たちの失敗をあわてて覆い隠そうとはされず、むしろ、創造の御力をふんだんに用いられます。すると、醜いものは美しくなり、死んだものは新生されるのです。

自分の人生はひび割れていると思って落胆する必要はありません。神の回復の業が進行しているのですから。