歴代誌下 1:1-3:17
ソロモンの知恵と富
1ダビデの子ソロモンは自分の支配を固めた。彼の神、主が共にいて、彼を高め偉大な者とされた。
2ソロモンは、すべてのイスラエル、千人隊と百人隊の長、裁判官、全イスラエルのすべての指導者、家系の長に呼びかけ、 3全会衆と共にギブオンにある聖なる高台に行った。そこには、かつて荒れ野で主の僕モーセが造った神の臨在の幕屋があった。 4ただし神の箱は、既にダビデがキルヤト・エアリムからエルサレムに幕屋を張って備えた場所に移してあった。 5主の幕屋の前には、フルの孫でウリの子であるベツァルエルの造った青銅の祭壇があった。ソロモンは会衆と共に主に尋ね、 6そこで臨在の幕屋にいます主の御前にある青銅の祭壇に上り、その上で焼き尽くす献げ物一千頭をささげた。
7その夜、神はソロモンに現れて言われた。「何事でも願うがよい、あなたに与えよう。」 8ソロモンは神に答えた。「あなたは父ダビデに豊かな慈しみをお示しになり、父に代わる王としてわたしをお立てになりました。 9神なる主よ、あなたは父ダビデになさった約束を今実現し、地の塵のように数の多い民の上に、わたしを王としてお立てになりました。 10今このわたしに知恵と識見を授け、この民をよく導くことができるようにしてください。そうでなければ、誰が、あなたのこの大いなる民を裁くことができましょうか。」 11神はソロモンに言われた。「あなたはこのことを望み、富も、財宝も、名誉も、宿敵の命も求めず、また長寿も求めず、わたしがあなたをその王として立てた民を裁くために、知恵と識見を求めたのだから、 12あなたに知恵と識見が授けられる。またわたしは富と財宝、名誉もあなたに与える。あなたのような王はかつていたことがなく、またこれからもいない。」
13ソロモンはギブオンにある聖なる高台、その臨在の幕屋を後にしてエルサレムに帰り、イスラエルを治めた。
14ソロモンは戦車と騎兵を集め、戦車千四百、騎兵一万二千を保有した。彼はそれを戦車隊の町々およびエルサレムの王のもとに配置した。
15王はエルサレムで銀と金を石のように、レバノン杉をシェフェラのいちじく桑のように大量に供給した。 16ソロモンの馬はエジプトとクエから輸入された。王の商人は代価を払ってクエからそれを買い入れた。 17また彼らはエジプトに上り、戦車を一両銀六百シェケル、馬を一頭百五十シェケルで輸入した。同じように、それらは王の商人によってヘト人やアラム人のすべての王に輸出された。
神殿の建築
18ソロモンは主の御名のために神殿を、自分のために王宮を建造するように命じた。
1ソロモンは荷役の労働者七万人、山中で石を切り出す労働者八万人、その監督三千六百人を動員した。 2彼はまたティルスの王フラムに使節を遣わして、こう言わせた。「あなたは、父ダビデに協力を惜しまず、父の住まいとなる王宮の建築のためにレバノン杉を送ってくださいました。 3わたしはわが神なる主の御名のために神殿を建て、これを主のために聖別して、その御前に香草の香をたき、絶えずパンを供え、朝に夕に、安息日と新月祭、我らの神なる主の祝祭日に、焼き尽くす献げ物をささげ、この事がイスラエルにおいていつまでも守られるようにしようとしています。 4わたしが建てようとしている神殿は大いなるものです。わたしたちの神はすべての神々にまさる大いなる方だからです。 5しかし、この方のために神殿を建てる力が誰にありましょうか。天も、天の天もこの方をお納めすることができないからです。主のために神殿を建てようとするわたしは何者でしょうか。神殿はただ主の御前に香をたくためのものでしかありません。
6従って、今、金、銀、青銅、鉄、深紅の織物、緋の織物、青の織物を扱う熟練した者で、種々の彫刻にたけた者を一人こちらに送ってください。父ダビデがそろえて、わたしのもとにいるユダとエルサレムの熟練した者に力添えをさせていただきたいのです。 7またレバノンからレバノン杉、糸杉、白檀の木材を送ってください。わたしは、あなたの家臣たちがレバノンの山林の伐採のことをよくわきまえていることを知っています。わたしの家臣をあなたの家臣と共に働かせ、 8大量の木材を準備させていただけないでしょうか。わたしは輝かしく偉容を誇る神殿を建てようとしているのです。 9伐採作業に当たるきこり、あなたの家臣に、わたしは小麦二万コル、大麦二万コル、ぶどう酒二万バト、オリーブ油二万バトを送り届けます。」
10ティルスの王フラムは、ソロモンに次のような返書を送ってきた。
「主は御自分の民を愛して、あなたをその王とされた。」 11彼はまたこう言った。「天と地をお造りになったイスラエルの神なる主はたたえられますように。主はダビデ王に賢明で聡明な洞察力のある子をお与えになり、その子が主のために神殿を、国のために王宮を建てようとしています。 12今わたしは、聡明で熟練した者、職人の頭フラムを送ります。 13ダンの娘を母とし、ティルスの男を父として生まれた彼は、金、銀、青銅、鉄、石材、木材、深紅の織物、青の織物、麻の織物、緋の織物を扱い、どんな彫刻も作り、ゆだねられればどんな計画でも立てる能力があり、そちらの熟練した者、かつてのわたしの盟主、あなたの父ダビデの熟練した者に力添えをすることができます。 14お申し出のあった小麦、大麦、ぶどう酒、オリーブ油はわたしの家臣にお送りください。 15我々はあなたの必要とする木材をレバノンで伐採し、いかだに組んで海路ヤッファまで届けます。それをエルサレムまで運ぶのは、そちらでお願いします。」
16ソロモンは、父ダビデが人口を調べたように、イスラエルの地にいるすべての寄留民の人口を調べたところ、その数は十五万三千六百人であった。 17そのうち七万人を荷役の労働者、八万人を山で石を切り出す労働者、三千六百人を民を働かせるための監督とした。
1ソロモンはエルサレムのモリヤ山で、主の神殿の建築を始めた。そこは、主が父ダビデに御自身を現され、ダビデがあらかじめ準備しておいた所で、かつてエブス人オルナンの麦打ち場があった。 2建築を始めたのは、その治世第四年の第二の月の二日であった。 3神殿建築のためにソロモンが据えた基礎は、次のような規模のものであった。奥行きは古い尺度に従って六十アンマ、間口は二十アンマ。 4前廊は、奥行きが神殿の間口と同じ二十アンマ。高さは百二十アンマ。彼は純金で内部を覆った。 5この大いなる神殿に糸杉材をはり付け、それを上質の金で覆い、その上になつめやしと網目模様の浮き彫りを施し、 6宝石で神殿を美しく飾った。金はパルワイムの金であった。 7神殿の梁、敷居、壁、扉も金で覆い、壁にはケルビムの浮き彫りをつけた。
8また彼は至聖所を造った。その奥行きは神殿の間口と同じ二十アンマ、その間口も二十アンマであり、上質の金六百キカルで覆った。 9釘は金で重さが五十シェケル、階上の部屋も金で覆った。
10彼は、至聖所の中に二体のケルビムを鋳物で造り、それを金で覆った。 11その二体のケルビムの翼は長さが合わせて二十アンマであった。一方のケルビムの翼の一つは五アンマで神殿の壁に触れ、もう一つの翼も五アンマで、もう一方のケルビムの翼に触れていた。 12このもう一方のケルビムの翼も、一つは五アンマで神殿の壁に触れ、もう一つの翼も五アンマで、他方のケルビムの翼に触れていた。 13このケルビムの広げた翼は合わせて二十アンマであった。ケルビムは顔を内側に向けて足で立っていた。 14彼は、青の織物、深紅の織物、緋の織物、麻の織物で垂れ幕を作ったが、それにもケルビムの縫い取りを施した。
15彼は神殿の前に二本の柱を作った。高さは三十五アンマ、頂の柱頭は五アンマであった。 16また内陣に網目模様の浮き彫りを造り、それを柱頭につけ、百個のざくろを造って、網目模様の浮き彫りにつけた。 17その柱を聖所の正面の右と左に一本ずつ立て、右の柱をヤキン、左の柱をボアズと名付けた。