正義の神
罪をなすりつけるものを英語で「贖罪のやぎ」と言いますが、オレアリー夫人の牛は、さしずめ「贖罪の牛」でした。その牛は、1871年のシカゴ大火の原因と言われていました。火は3日間燃えつづけ、300人近くが死亡、3人にひとりが家を失いました。原因は、小屋のランタンを牛が倒したことと長年信じられていました。しかし、後日の検証で、市の警察消防委員会は、126年後に、牛と飼い主の潔白を認め、ある近隣住民の行動を精査すべきだったと結論づけました。
瀬戸際で
幼い娘は、不安気な表情でプール際に立っていました。まだ泳いだことがなく、水に慣れる練習を始めるところでした。インストラクターが水の中から腕を伸ばして彼女を待っています。それでも娘はためらい、その目には疑問がうかがえました。「ちゃんとつかまえてくれる?」「頭が水の中に入ったら、どうなるの?」
前より良い
私の子どもたちは赤ん坊の頃、ほぼ完璧な肌をしていました。かさかさした肘や膝の角質もなく柔らかくなめらかで、年齢相応の傷やたこなどの跡が残る私の肌とは大違いです。
作り話か冒険物語か
祖父は「お話」を語って聴かせるのが好きで、私はそれを聞くのが好きでした。祖父の「お話」にはふたつのタイプがありました。ひとつは「作り話」です。これは真実の片りんはあるけれども、聞くたびに話が少しずつ変化しました。もうひとつは「冒険物語」です。これは本当の話で、何度聞いても、内容はまったく変わりませんでした。
名前の力
ニックネーム(あだ名)といえば、その人の性格や身体的特徴を表すことがよくあります。私の小学校時代のあだ名は、ひどいことに「タラコ唇」でした。その当時、私の唇は他の顔のパーツに比べてアンバランスに大きかったからです。このあだ名で呼ばれるのが長続きしなくてよかったと思うのは、言うまでもありません。