スター・ウォーズやライオンキングなどいわゆる不朽の名作の多くが用いる物話の展開方法を一言で表すなら、『オズの魔法使い』のドロシーの台詞「家ほどいい所はない」です。つまり、平凡な生活をしていた普通の人である主人公が、途方もない冒険に巻き込まれ、家を離れて試練の待ち受ける異次元の世界を旅するという英雄物語です。敵や仲間、賢者と出会いながら、試練を乗り越え、自身の勇敢さを証明すると、冒険話と獲得した知恵を携えて家に帰ります。家に帰るという点が不可欠です。

聖書の汚れた霊につかれた人の話は、この英雄物語に似ていますが、興味深いのは、最後の場面です。彼はイエスに「お供させてほしい」(マコ5:18)と願いますが、イエスは「あなたの家族のところに帰りなさい」(19節)と応じました。彼にとって、自分をよく知る人たちのところへ帰って、己の身に起こった驚くべき変化を伝えることは非常に重要でした。

神は私たちをそれぞれ異なる道、異なる計画に召されています。しかし、信仰の旅路には、実家に帰って、自分を最もよく知る人たちに自分の話を語ることが不可欠だ、という場合もあるはずです。その人の召しにとっては「家ほどいい所はない」のです。