失敗は破滅ではない
チャーチル首相は第二次世界大戦中、国民を鼓舞することに長けていました。1940年6月18日、彼は恐れる民衆にこう語りかけました。「ヒットラーは、我々を倒さなければこの戦争に負けると知っている…よって、腹をくくって、大英帝国が数千年つづいたとしても、『あれが彼らの最盛期だった』と人々が言うようになると決意を固めよう。」
誰でも自分の盛んなときを覚えていてもらいたいものです。使徒ペテロの最盛期は恐らく、「あなたは、生ける神の御子キリストです」と信仰を告白したときでしょう(マタ16:16)。他方、私たちは自分の失敗によって自分の器の大きさを決めてしまいがちです。ペテロは繰り返しイエスを知らないと言い、外に出て、苦い涙を流しました (マタ26:75、ヨハ18章)。
私たちもペテロと同様、神の基準に届く者ではありません。信仰、人間関係、罪の克服、神に対する忠誠や従順、どれをとってもそうです。しかし、チャーチルの名言にあるように、失敗は破滅ではありません。感謝なことに、霊の生活においても同様です。イエスは、自分の失敗を悔い改めたペテロを赦し(ヨハ21章)、彼を伝道者として用いて、多くの人をご自分のもとに導かれました。
失敗は破滅ではありません。神は帰って来る人をいつくしみ、挽回させてくださいます。
大暴落
世界大恐慌から何年も経っていましたが、米国の株式市場は投資家の信頼を回復できずに苦闘していました。そんな1952年のことです。ハリー・マーコビッツは、異なった業種や銘柄の株式に分散投資するように投資家たちに提案しました。彼はポートフォリオ選択論を打ち出して、株式市場の不安定な時期に投資家を助けました。マーコビッツは、この理論の功績において、他の2名とともに1990年にノーベル経済学賞を受賞しました。
新たな旅立ち
再出発は可能です。小学生ですでに不良の仲間入りをしていた、ブライアンの話を聞いてください。彼は12歳のときに家出して、3年間も行方知れず。その間、不良仲間とドラッグ三昧の暮らしをしていました。仲間と別れて家に帰って来てからも大変でした。ドラッグを売って、学校を追い出されていたからです。しかし、新しい学校に入ることができました。また、先生が、過去を繰り返すのではなく、それを文章にしてみてはどうかと強く勧めてくれました。彼はこの言葉に背中を押され、新たなスタートを切りました。
お帰りなさい
ジムは10歳の時にキリストに従っていこうと決心しましたが、15年後、その決意は消えかけていました。今を楽しむという生き方をして、悪い習慣も身につけていました。しばらくして、人生の歯車が狂い出しました。仕事がうまくいかなくなり、3人の家族をほとんど同時に亡くしました。恐れと疑いにさいなまれ、どうすれば良いのか分からなくなりました。そんなある日、詩篇121篇2節のみことばが目に止まりました。「私の助けは、天地を造られた主から来る。」このみことばが、ジムの不安や迷いを断ち切ってくれました。神のもとに戻り、助けを求めると、神は喜んで彼を受け入れてくださいました。
過去の回復
後悔をしたことはないという人はいないでしょう。誤った選択を繰り返し、人生の歯車が狂っていくということがしばしば起こります。そのような状態が続く期間は人それぞれですが、間違った選択をすれば、その影響を心や身体に感じながら生きていかなければならないかもしれません。
私の友人に長年アルコールと薬物を乱用していた人がいます。神は、彼に驚くべき御業をなさいました。彼はアルコールと薬物中毒から解放され、もう25年、どちらにも手をつけていません。先日、25年間守られたお祝いをしました。彼は今や、繁盛する店の店主です。また、慈善団体で奉仕し、心優しく賢明なカウンセラーとして、人生の泥沼から這い出して更正しようとする人たちを支えています。夫思いの妻にも恵まれ、子どもたちはイエスを愛しています。
神は私たちを決して見捨てられません。たとえ間違った道を選んで悔やんでいたとしても、今をどう生きるかは、新しく選ぶことができます。後悔するだけで何も改めず、自分を傷つける生き方を続けることもできますが、「いなご、ばったの食い尽くした年々を償おう」(ヨエ2:25)と言われる聖書の神を信じて、キリストにすがることもできます。悔い改めて、神の癒しの力と解放の力を求めるならば、神はあわれんでくださいます。
過去の過ちが原因で今ある現実を帳消しにできない、というのは事実かもしれません。しかし、神はご自分を信頼する人たちに、ご自分の栄光を現す素晴らしい未来をくださいます。私たちは、それを確信することができます。