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出口

最近ロンドンに行きましたが、滞在中、地下鉄を使って行動することにしました。料金を払って地下に下りていき、電車に乗りました。しかし、慣れない人にとっては、降車駅に着いてからが大変です。出口を見つけられないと地下道で迷ってしまい、ちょっとした恐怖を体験します。

脱出の道

ウエストバージニア州のアパラチア山脈に沿って走るハイウェイ77号線には、あちこちに退避所が設けられています。これは半舗装の車線で、10キロ程度の距離で高低差が400メートル以上ある坂道に設けられています。曲がりくねった坂は、ドライバー、とりわけトラック運転手にとっては難所です。

見えない危険

子どもの頃のこと、私たちの家族は危うく大惨事を免れたことがあります。当時、暖炉をはじめ家の主な設備は、ほとんど天然ガスを使っていましたが、ガス管からわずかにガスが漏れていて、私たちの生命をおびやかしたのです。小さな家にガスが充満し、私たち家族はガス中毒になって気を失ってしまいました。近所の人がたまたま立ち寄って発見してくれなかったら、私たち家族は全員、この見えない危険な敵に殺されていたことでしょう。

キリストの弟子である私たちは、自分が見えない危険に囲まれていることを知っています。誘惑という毒のある現実と、人間であるがゆえの弱さは、私たち自身や私たちの人間関係を危うくします。しかしながら、我が家のガス中毒事件とは違って、これらの見えない敵は、外からのものではありません。それは、私たちのうちに宿っています。ヤコブは、「人はそれぞれ自分の欲に引かれ、おびき寄せられて、誘惑されるのです」と書いています(ヤコ1:14)。

私たちは罪を犯してしまう性質を持って生まれてきました。また、目には盲点があって自分の弱点が見えません。これらは合わさって、私たちを間違った選択にいざない、破滅させてしまうかもしれないのです。しかし唯一、神に従うなら、神は私たちの心の状態を聖書のみことばを通して示されます。そして、みことばを行う人となって、主なる神に喜んでいただける人生を送ることができます(23-25節)。

最も力のない人々

アメリカの経済サイト「24/7 Wall St.」に、「世界で最も力のない100人」という風変わりなリストが掲載されました。ここに名前を連ねている企業家、スポーツ選手、政治家、芸能人に共 通するのは、かつては力ある人だったということです。よんどころない事情で力を失った人、経営判断を誤って失脚した人もいますが、道徳的な過ちを犯して影 響力を失った人たちもいます。

使徒パウロは、コリント人への手紙第一10章で旧約聖書の歴史を振り返り、厳しい現実を教えました。イスラエル人たちはエジプトの奴隷でしたが、 モーセに導かれて約束の地に向かっていました。この人たちは、神が奴隷から解放してくださったのに、何度も神に背きました(1-5節)。彼らは、偶像崇 拝、不道徳な行為、不平不満をつぶやくことで、自分たちを滅ぼしてしまいました(6-10節)。そこでパウロは、「立っていると思う者は、倒れないように 気をつけなさい」と警告しています(12節)。

クリスチャンは、誘惑に襲われたとき、「耐えられるように、試練とともに、脱出の道も備えてくださいます」(13節)という神の約束に堅く立つこと ができます。私たちはみな、他の人をイエスに近づける影響力が与えられています。神が試練に耐える力をせっかく与えてくださったのに、もし誘惑に負けてそ の影響力を失ってしまうなら、何と悲しいことでしょう。

隠れた扉

1年で聖書を!
◆ エゼキエル書4-7
聖書のみことば ヤコブ1:12-21
 
試練に耐える人は幸いです。―ヤコブ1:12

その種の事件はスポーツ界で前代未聞というわけではありません。これが最後でもないでしょう。しかし、この事件に言及することで、恥ずべき過ちを繰り返さないように、自分たちを戒めることができるかもしれません。

クリスチャンで人格者だと思われていた大学フットボールチームのコーチが、全米大学体育協会の規則に対する明確な違反が発覚して、辞任に追い込まれました。ある雑誌は、「彼を公明正大な人としてきたこと自体、大学フットボール界の大いなる神話だったのではないか」とまで述べています。

これは彼にとって何とも恥ずべき事態でしたが、それ以上に、誰にでも起こりうることだという私たちへの警鐘でもあります。人生に秘密の扉をこっそり作り、その向こうで主の御名を汚すような行為をするという誘惑に、人は絶えずつきまとわれます。誠実さと正しさを忘れ、キリストの名をはずかしめてしまうリスクは、誰にでもあります。私たちは皆、誘惑に弱いのです。

誘惑に負けないためには、どうすればよいのでしょう。まず、誘惑が常にあることを認識し(Ⅰコリ10:13)、罪の恐ろしい結末を理解しましょう(ヤコ1:13-15)。そして、クリスチャン同士で説明責任を果たしましょう(伝4:9-12)。それに加えて、転ばないように神の助けを祈りましょう(マタ26:41)。なぜなら、神の恵みと力のみが、私たちを転落から守ってくれるからです。また転んだときでも、助け起こしてくださいます。

(Dave Branon)

どんな罪にも入り口がある。その扉を決して開いてはいけない。

敵の欺き

1年で聖書を!
◆ 詩篇88-90
聖書のみことば ヨハネ8:42-47
 
しかし、蛇が悪巧みによってエバを欺いたように、万一にもあなたがたの思いが汚されて、キリストに対する真実と貞潔を失うことがあってはと、私は心配しています。―Ⅱコリント11:3

中国の武将、孫子が紀元前6世紀に書いた「兵法」は、何世紀もの間、戦略考察の手引書として用いられてきました。その一方でこの書は、リーダーシップ、マネージメント、経営、政治、スポーツなど、広範囲の分野の人々に、男女を問わず愛読されています。孫子の戦争についての記述は、クリスチャンが信仰の敵の戦法を理解する上で助けになります。

今回だけ

1年で聖書を!
◆ 詩篇34-36
聖書のみことば 詩篇19:7-14
 
あなたのしもべを、傲慢の罪から守ってください。―詩篇19:13

子どもの頃、ロープで操縦する乗り物に乗ってよく遊びました。家の車庫から道路に出ていく通路を走っているとき、「車が来ていないか左右を良く見てから道路に出なさいよ」という両親の言葉が頭をよぎりました。しかし、今回だけはいいや、と思ったのです。次の瞬間、キーッというタイヤの音が聞こえました。

鷹やライオンの群れ

1年で聖書を!
◆ Ⅰ列王記17-19
聖書のみことば Ⅰペテロ5:5-11
 
悪魔が、ほえたける獅子のように、食い尽くすべきものを捜し求めながら、歩き回っています。―Ⅰペテロ5:8

ある朝、私は裏庭でうさぎが草を食べる様子を見ていました。小柄で茶色のぶちがあり、しっぽが綿のようにふわふわしたうさぎです。そこへ突然、鷹が雷光のように風を切り、獲物を目掛けて急降下してきました。かぎ爪をぐっと出して、うさぎをひっ掴もうとします。ところが、うさぎは危険に気づいて安全な場所に逃げました。わずか数センチの差で命拾いをしました。

今は必要ない

1年で聖書を!
◆ イザヤ書5-6
◆ エペソ1
聖書のみことば ローマ11:33-12:2
 
心の一新によって自分を変えなさい。―ローマ12:2

作家志望の人にとって、次から次へと作品を送り返されるのは、かなり落ち込む体験です。出版社に原稿を送ると、「寄稿をありがとうございました。しかし現在のところ、この種の原稿は、当社の必要と合致しません」という内容の手紙が送られてきます。多くの場合、「現在のところ」ではなく、「未来永劫に」というのが現実なのです。それで彼らは、次から次へと別の出版社に原稿を送り続けるのです。
私は、この「現在のところ(そして、未来永劫に)…必要と合致しません」という表現は、信仰を育てる上で有益だと気づきました。心を一新して、神のみに焦点を合わせることに役立つのです。それは、こういうことです。