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すりつけたバター

トールキンの著書『指輪物語』の中で、ビルボ・バギンズに、悪の力を持つ指輪を60年間も所持している影響が表れます。徐々にむしばまれていく自分に打ちひしがれ、彼はガンダルフに言いました。「薄っぺらになったという感じ、わかるでしょう。『引っ張って引き伸ばされた』っていう感じなんですよ。少ないバターを大きすぎるパンの上にすりつけたようなもんです」。彼は「親戚どもがうるさく覗(のぞ)きこんだり……しない所で、ひっそりとのどかに暮らせる所」を探しに家出する決心をしました。

思い出す練習

名前や日付などを度忘れしたせいで、話が途切れてしまったことはありませんか。私たちは、記憶力は年齢とともに衰えていくものだと思っています。しかし、最近の研究は、その見解を支持していません。実際のところ、問題なのは記憶する力ではなく、記憶を呼び起こす力なのだそうです。定期的に何らかの練習を行わないなら、記憶にアクセスする力は衰えていきます。

健全な助け方

その光景に胸が張り裂けそうでした。55頭のゴンドウクジラの群れが、スコットランドの浜に打ち上げられました。ボランティアたちの努力にもかかわらず、結局、死んでしまいました。こんなことが起こる理由は分かりませんが、クジラの群れが持つ強い絆が原因かもしれません。1頭に何か起こると別の1頭が本能的に助け寄り、次々と皆が災いに引き込まれるのです。

待つかいがある

待ち時間の話をしましょう。搭乗予定の飛行機は雷雨の影響で遅れ、フィル・ストリンガーは、18時間も忍耐強く待ちました。その成果は、目的地まで飛び、重要な会議に間に合ったばかりか、他の客が待ちきれず予定を変更したので、唯一の乗客になったことでした。客室乗務員は、希望する食べ物を何でもくれました。彼は言いました。「もちろん最前列に座ったよ。飛行機を独占できるのに、そうしない理由はないだろう?」待ったかいがあったというものです。

天国の主人

シンガポール労働省は2022年、全ての外国人家事労働者に最低月1日の休日を与えるよう通達し、1日分の賃金の上乗せは適用できないと決めました。しかし雇用主たちは、介護や家事の担い手が無い日ができると憂慮しました。その問題は外部委託で解決されましたが、使用人に休息の必要性があることをおもんぱからない態度は、簡単には解消しませんでした。

心地よい眠り

悪い思い出や非難の数々がよみがえり、ソルは寝付けませんでした。心は恐怖で満たされ、じっとり汗をかいています。明日は洗礼式なのに、どす黒い思いが襲来します。イエスの救いを受け入れ、己の罪は赦(ゆる)されたと分かっているのに、霊の闘いは続いていました。その時、妻が手を取って祈ってくれました。すると、恐怖が消え、平安が訪れました。彼は起き上がり、洗礼前に話す証しを書きました。それまで出来なかったのです。その後、心地よい眠りにつきました。

余白を作ろう

医師のリチャード・スウェンソンは、著書『余白』の中で次のように書いています。「私たちは息をするゆとりを持たねばならない。物思いにふけり、癒やされる自由が必要だ。人間関係は慌ただしさのおかげで瀕死の状態……子どもたちは大人が良かれと思って詰め込んだものに押しつぶされ、あえいでいる。神は消耗戦に賛成なのか。静かな水辺には導いてくださらないのか。ゆったりとしたあの時を奪ったのは誰だ。取り戻す方法はないのか」。スウェンソンは、私たちには静かで豊かな「余白」が必要だといいます。神と会い、神のもとで安らげる場所です。あなたも同感ですか。

安全地帯

教師を引退したデビー・スティーブンス・ブラウダーは、人々に植林を推奨しています。その理由は高温対策です。アメリカの猛暑は、気候関連の死因の第1位です。その対策として、まずは植林、と彼女は語ります。樹木で日陰を作ることは、人々を守る有効な手段の一つです。それは、地域の美観だけではなく、「生きるか死ぬか」の問題なのです。

神にある平安な休息

集中治療室の患者の睡眠を向上させようと、中国福建省の研究者たちはまず、集中治療室に似せた環境を作りました。明るい病院仕様の照明の部屋に医療機器の機械音や看護師の会話を録音した音声を流しました。そして、被験者たちにアイマスクや耳栓などを装着すると、彼らの睡眠が向上したとの結果が出ました。一方、実際の集中治療室の重病患者にとって、安らかな眠りというのは、なかなか得難いものだということも分かりました。