ペースを落として
少し前のことですが、左肩と腕が痛み、親指から前腕にかけて発疹ができ、ひどく痛みました。また、毎日、体がだるく疲れていました。がまんできなくなって医者に診てもらうと、帯状疱疹だと言われました。抗ウイルス薬を処方してもらいましたが、治るまでには数週間かかると言われました。
休息の時
私が飼っているゴールデン・レトリバーは、興奮しすぎると発作を起こします。ですから、落ち着いてもらわなくてはなりません。私たちは優しく犬を撫で、穏やかな声で「伏せ!」と指示して、寝転がらせようとします。ところが、「伏せ!」と言われると、犬は目をそらせて不満そうな様子を見せます。しかしついに、「あきらめた」とばかりに大きなため息をついて床に伏すのです。
甘美な休息
寝返りを打ったり、枕の位置を変えたり形を整えたりしても、何をどうしても眠れないときがあります。ある新聞のコラムは「良い眠り」のためのアイデアを色々紹介していましたが、結局のところ、万能な策は無いと結論づけていました。
スローなペース
作家ブルース・フェイラーは、大腿骨に癌があると診断され、誰かに支えてもらわなくては歩くことができない、という状況が一年以上も続きました。松葉杖を使ってひとりで歩き回ることを覚え、そして、ゆっくりしたペースで生活することをありがたく思うようになりました。フェイラーは「この経験から得た最大の教訓は、スローなペースで生きるという発想です」と語りました。
潮止まり
大海に影響を与える、月の引力について考えるのは面白いことです。それは潮の満ち引きを起こしますが、その中間には、「潮止まり」と呼ばれる短い時間があります。このとき、潮位は上がりも下がりもしません。科学者によれば、このとき海水は「ストレスのない状態」にあるそうです。それは潮の流れが変わる前の静かな一瞬なのです。
神の贈り物
良い睡眠は健康に必要です。なぜそうなのかは、まだ科学的に解明されていませんが、睡眠不足が引き起こすさまざまな弊害は分かっています。睡眠不足は老化を早め、肥満の原因になります。また風邪やインフルエンザ、さらには癌に至るまで、多くの病気の遠因となります。神が私たちの睡眠時間中にしてくださることは、まさに奇跡です。私たちは何もしていないのに、神は私たちのエネルギーを補給し、細胞を修復したり再生したりし、脳内の情報を整理させてくださいます。
睡眠不足の原因は色々で、中には自分では解決できないものもあります。聖書は働きすぎで睡眠不足になってはいけないと語っていいます(詩127:2)。睡眠は感謝して受けるべき神の贈り物ですから、もし十分に眠っていないなら、その原因を突き止めなければなりません。余分なものを買うために、朝早くから夜遅くまで起きて働いていませんか。人には任せられないと思って、あれこれの奉仕に手を出していませんか。
自分が起きて神のためにする仕事は、自分が寝ている間に神がなさる仕事以上に大切であるかのように行動する誘惑が、私たちにはあります。しかし、睡眠という神からの賜物を受け取らないことは、「私の仕事のほうが、あなたの仕事より重要です」と神に申し上げているようなものです。
神は、仕事や奉仕の奴隷になってよい人がいるとは思っておられません。神の贈り物として、私たちが睡眠をゆっくり楽しむことを願っておられます。
小休止
バルセロナから車で2時間ほど北にあるレストラン「エル・ブリ」は人気店で、6カ月先の予約まで一杯です。ところが、オーナーシェフのフェラン・アドリアは、多数の賞に輝いたこの店を2年間閉めることにしました。スタッフと一緒に将来のことをゆっくりと考え、革新的な計画を立てるためです。アドリアはヘミスフィア・マガジンの取材に答えて「いくつもの賞を取っているのになぜ変革するのか」と質問され、「毎日15時間も働いていたら、創造的なことはほとんどできません」と答えました。この人たちは、成功のただ中にあって最も大切なものを優先し、それに十分な時間を取ろうとしていたのです。
紀元1世紀のアンテオケの教会は、「…大ぜいの人が信じて主に立ち返った」(使11:21)ために、驚異的な発展をとげました。バルナバは新しく信じた人たちを教えるために、サウロ(後のパウロ)をタルソから連れて来ました(25-26節)。彼らは熱心に奉仕しましたが、それと平行して祈りと断食の時間をとって、主のみこころを求めました(13:2-3)。そのような中、神はアジヤに福音を伝える計画を彼らにお示しになりました。
フェラン・アドリアのように、考えたり計画したりするために2年間休業できる人はまれですが、どんな人でも熱心に祈る時間を生活の中に組み入れることはできます。神に向かって心を開いて熱心に祈るなら、神に栄誉をもたらす人生の歩みや奉仕が何であるかを、主は必ず示してくださいます。