自分の手で
列車は私たちを乗せて、ミシガン州西部の湖岸沿いに広がる豊かな大地を走っていました。初夏になり、畑では作物が実りはじめています。人々は膝をかがめ、朝露に濡れながら赤く熟したイチゴを摘んでいました。ブルーベリーの木は、降り注ぐ太陽の光をいっぱいに浴び、大地から養分を存分に吸い上げていました。
小さな場所の小さな事
自分は狭い場所で小さな奉仕しかしていない、と思っている人たちに出会うことがよくあります。彼らは孤独で元気がなく、自分のしていることは、あっても無くても同じだと感じています。彼らの話を聞くと、C.S.ルイスの著書「沈黙の惑星を離れて」に登場する天使のことを思います。彼は言いました。「私たちの仲間には大きさや数の話をしてはいけないという決まりがあるんだ…くだらないことに敬意を表し、本当に素晴らしいものを見過ごしてしまうことがないようにね。」
本当の忠誠
世界中の人が航空会社のマイレージサービスで貯めたマイルを合算すると、14兆マイルを超えるそうです。航空各社は1980年代初め、リピーターに特典を供与することで売り上げを伸ばそうと考えました。客の「忠誠」に報いて…というわけです。たまったマイルは無料航空券のみならず、色々な商品やサービスに交換できるので、人々はやがて旅費や行程と同じぐらい自らの見返りも考慮して、旅の行き先や交通手段を選ぶようになりました。
不確かな時に
数年前、不況にあおられて多くの人が失業しましたが、悲しいことに、私の義理の弟もそのひとりでした。妹が状況をメールしてきましたが、先は見えないながらも、心は平安だと言っていました。神が自分たちのことを気にかけてくださっていると分かっているから、ということでした。
極度の恐れ
子ども聖歌隊は何週間も練習をして、ついに恒例のクリスマスミュージカルの本番を迎えました。衣装を着た子どもたちが礼拝堂に入場してきました。そのときです。後方のドアのあたりで大声が聞こえました。私たち夫婦が振り向くと、恐怖で顔を引きつらせた息子のマットが叫んでいました。1983年のことです。まだ幼かった彼は、必死でドアの取っ手につかまり、怯えきった表情で泣いていました。彼はステージに上がりたくなかったのです。かなり説得しましたが、ダメでした。ついに日曜学校の教師は、ステージに上がらなくてもいいと言い、息子は私たちの隣に座りました。しばらくすると、彼の恐怖感は収まりました。
じっとしていなさい
映画「炎のランナー」で知られるエリック・リデルは、1924年にパリで催されたオリンピックで金メダルを獲得し、その後、宣教師となって中国に赴きました。数年後、第二次世界大戦が勃発すると、リデルは家族を安全なカナダへ避難させましたが、自らは中国に残りました。日本軍が侵攻すると、リデルたち宣教師は日本の捕虜収容所に拘禁されました。そして数カ月後、脳腫瘍だと診断されたのです。
平和なクリスマス
マシュー・リットは著書の「クリスマス1945」で、第2次世界大戦が終結した後、平和になったアメリカで初めて祝われたクリスマスの出来事を記しています。ニューヨーク・デイリーニュースは、ニューヨーク湾に海軍の艦隊が来訪すると告知しました。「12月25日のクリスマスには、戦艦4隻、航空母艦6隻、巡洋艦7隻、そして駆逐艦24隻から成る巨大な船団が現われる」と記されていました。
山鳴らし
ミシガン州のアッパー半島に行ったとき、ある2本の木が目にとまりました。周囲の木の葉はじっとしているのに、この2本の木の葉だけは、ほんの少しの風でハタハタと揺れています。それを指差すと、妻は、あれはアメリカヤマナラシ(山鳴らし)だといいました。