神を待ち望む
飛行機を乗り継ぐためにシャトルバスに乗っていると、運転手にバスを止めて待つようにと連絡が入りました。飛行機に乗り遅れるかもしれません。乗客のひとりは我慢できず、すぐに発車しなければ訴えてやると運転手に怒鳴りました。しかし、その時です。空港職員がブリーフケースを持って駆けてくると、怒っていた客に向かって、それを高々と掲げたのです。彼は嬉しそうに言いました。「お客さま、お忘れ物ですよ。先ほど、重要な会議に出るとおっしゃっていたので、きっと必要だと思いまして。」
悩める者に安息を
私はチャールズ・ディキンズ作の「デイヴィッド・コパフィールド」の一場面が大好きです。それは、主人公のデイヴィッドを虐待した性悪な義父マードストンと、気骨ある伯母ベッツィ・トロットウッドがやりあう場面です。
最高の婚礼
ここ800年ほどで、ユダヤの結婚式に新しい習慣が加わりました。式の終わりに、新郎が足元でワイングラスを割ることです。一説によると、グラスを砕くことは紀元70年のエルサレム神殿の崩壊を象徴しており、自分たちの家庭を築こうとする若い夫婦が、神の家が壊されたままであることを忘れないように、自らを戒めているのだそうです。
ちょうど 良い時
指揮者は位置につくと、オーケストラと合唱団の面々を見渡しました。オーケストラの奏者は、それぞれの楽譜を譜面台に載せ、演奏しやすいように座り直して静かに待っています。合唱団の団員も、それぞれの楽譜を整えて歌いやすい姿勢で立ち、楽譜越しに指揮者の指示を待っています。指揮者は彼らの様子を見て全員の準備ができたことを確認し、指揮棒を振り下ろしました。すると大聖堂は、ヘンデルの「メサイヤ序曲」で満たされました。
待つだけではない
電化製品が壊れて修理を依頼すると、私が住んでいる地域では、「修理の者は午後1時から5時の間に伺います」と言われます。そういうわけで、私にできるのは、待つことだけです。
まもなく到来
スポーツ観戦やイベントの入場券、新商品の広告などに「近日発売」という文言があります。新技術の発表や映画などなら、「近日公開」です。このような広告をする目的は、しばらく先の出来事に、期待感やワクワク感を生み出すことです。
終わりの時に
多くの人は歴史上最悪の紛争のひとつに、第一次世界大戦を挙げます。これは多くの国を巻き込んだ近代兵器による初めての戦争で、数千万の人命が失われました。そして1918年11月11日午前11時(注:英語では、11番目の時という表現に、終わりの時という意味がある)に休戦協定が成立しました。この瞬間、世界の各地では多くの人々が黙祷をささげ、戦没者に哀悼をささげ、戦争がもたらした非常な苦しみに涙したのです。そして、この大戦が名目どおり、「諸戦争を終わらせる戦争」になることを心から願いました。
普通の日
博物館で「ある日のポンペイ」という展示を鑑賞しながら、そこで繰り返されるテーマにはっとしました。それは、紀元79年8月24日が、何の変哲もなく普通に始まった一日だった、ということです。当時のポンペイは、人口2万人を有するローマ帝国の港町として栄えていました。町の人々は、家庭や市場、そして港で、変わらぬ日常を過ごしていました。午前8時頃、近くのヴェスヴィオ山から、いくつかの小さな噴煙が目撃され、午後になって火山の大噴火がありました。それから24時間も経たないうちに、ポンペイ市は市民もろとも、深い火山灰の下に埋もれてしまいました。まったく予期せぬ出来事でした。
待てる神
クリスマスは待つ時と言えるでしょう。道路が混雑するので待ちます。買い物をしてレジに並んで待ちます。実家に戻ってくる親族の到着を待ちます。ご馳走がテーブルいっぱいに並ぶのを待ちます。心を込めて選んでもらったプレゼントを開けるのを待ちます。