Month: 6月 2021

名前を知っている

長年集った教会を3年間、離れていましたが、夫婦で戻ることにしました。教会の反応はどうだろうと不安でしたが、日曜日の朝に会堂に入ると、「パット、ダン、久しぶり!」と、私たちの名を明るく呼んで迎えてくれました。児童文学作家ケイト・ディカミロが書いているように、この殺伐とした世の中で、大好きな人から名前で呼ばれることほど心地よいことはありません。

目に見えない不思議

人生の黄昏時を迎えたグッドリッチ夫人は、ミシガン湖のグランドトラバース湾の水面(みなも)が見える窓辺にぼんやり座っていました。山あり谷ありの人生の記憶に、時折もやがかかったようになります。自分の筆跡すらいずれ分からなくなるのでしょうが、ノートを開いてしたためました。「お気に入りの椅子に足を投げ出して、ぼんやり座っている。陽光にさざめく波はどこに行くのだろう。しかし、天の父よ、数限りない賜物と絶えざる愛に感謝します。いつも驚きます。私は目に見えないお方に信じられないほど恋焦がれています。」

私は誰?

リモート会議の司会者が「おはよう!」と言いました。私も挨拶しましたが、画面に映った自分の姿に気を取られていました。「これが僕か…。」笑顔の参加者たちは、旧知の顔です。「あれはみんなだ。じゃあ、これは僕だ。ちょっと太りすぎ。髪も切らなくちゃ…。」

成熟に向かって

大人になったと感じた時はいつかという調査がありました。最も多かったのは、経済的に自立した時、家を買った時でした。自炊を始めた時、病院などの予約を自分で取り出した時という答えや、夕食をスナック菓子で済ませる自由を得た時、土曜日の夜は出かけず自宅でくつろぎたいと思った時、という面白い返答もありました。どれも何らかの行為を指して大人のあかしと語っています。

神の救出作戦

通報を受けた警察官が駆けつけ、投光器を照らすと、1台の車が線路に乗り上げていました。パトカーの車載カメラには、こちらに向かって来る巨大な機関車が映っています。証言によれば、列車は時速80kmから130kmぐらいの高速で走っていたそうです。その警察官は、躊躇なく行動し、列車が衝突する直前に気を失ったドライバーを車から引きずり出しました。

賢い人が家を建てる

イザベラ・ボームフリーは、1797年、ニューヨーク州のエソパスに奴隷として生まれました。自分の子も、ほとんどが奴隷として売られました。しかし、1826年、娘ひとりを連れて逃亡し、支援を得て自由の身になると、家族離散を強いた不当な習慣に対して訴訟を起こし、幼い息子のピーターを取り戻しました。当時の黒人女性としては、驚くべき偉業です。彼女は、神の助け無しに子育てはできないと悟ってキリスト者となり、ソジャーナ・トゥルースと改名しました。これは「真理の寄留者」という意味で、神の真理を基として生きることを示したのです。

本当の自分

両親の古いアルバムには、ある少年の写真があります。丸顔でそばかすがあり、直毛です。アニメが好きで、アボカドが嫌いで、ポップグループABBAのレコードを持っています。そのアルバムには、10代の若者の写真もあります。面長でそばかすはなく、癖毛です。アボカドと映画が好きで、ABBAは聴きません。ふたりはあまり似ていません。科学的にも、皮膚や歯、血液や骨すべてが異なる細胞で形成されています。しかし、どちらも私なのです。人は一生を通して変化します。何が本当の私なのでしょう。

望みを抱いて待つ

休暇を過ごした町でウェイターのロジェリオと知り合いました。彼は、強い信仰と思いやりに富んだ妻のカリーが、神からのこの上ない贈り物だと語りました。最初の子どもが産まれた後、神はふたりにダウン症の姪の世話を託されました。間もなく、義母を引き取って介護することにもなりました。

完全な正義

冤罪で3人の10代の若者が逮捕されました。1983年、14歳の少年が銃撃された事件で終身刑に処せられた3人は、真犯人が見つかり無実が立証されるまで、36年間を獄中で過ごしました。裁判所は彼らを無罪放免する前に、謝罪声明を出しました。