Category  |  人に対する愛

よそ者を愛する

外国に転居して間もない頃、よそ者扱いをされました。夫が礼拝説教をする小さな教会で座っていると、老紳士がじろっと見て「そこをどきなさい」と言ったのです。彼の妻は詫びながらも、自分たちはいつもそこに座っていると説明しました。かなり経ってから、その教会では昔、教会員がお金を払って席を確保し、その賃料を教会財政の足しにしたと知りました。そういう背景で、誰それの席という考え方が長く受け継がれていたのです。

うわさを止める

英国のケンブリッジのホーリートリニティ教会の牧師に任命されてから、チャールズ・シメオン(1759-1836年)は、何年も抵抗にさらされました。会衆の大多数はシメオンではなく、当時の副牧師を就任させたかったからです。彼らはうわさを流したり、礼拝をボイコットしたり、彼を教会堂から閉め出したりさえしました。しかし、聖霊に満たされたいと願ったシメオンは、ある原則を定め、それに従うことでゴシップに耐えました。そのひとつは、完全な真実でない限り、どんなうわさも信じないこと。もうひとつは、「別の側面から見れば、全く別の物語になると常に信じる」ことです。

エレベーターを修理する

セーラは稀な疾患で関節が外れやすいので電動車椅子が必要です。ある日、電車で会合に行こうとすると、駅のエレベーターが故障していました。エレベーターのある別の駅までは車で40分だと言われ、タクシーを呼びましたが、一向に現れず、外出を諦めました。残念ながら、こんなことはしょっちゅうです。エレベーターの故障で電車に乗れなかったり、障害者用スロープ板を忘れられて、電車から降りられなかったり、駅員に邪見にされて泣きたくなることもよくあります。

仕事と情け

友だちのエレンは給与計算の仕事をしています。複雑ではない仕事に思われがちですが、必要な情報が遅れて来ることがあります。そんな時は、長時間の残業をして、給与の支払いが遅れないようにします。その給与で食品や薬を買ったり、家賃やローンを払ったりする社員やその家族のことを思い、残業は強制ではないのにそうするのです。

優しいヒレ

ある海洋生物学者がクック諸島沿岸で泳いでいると、突然、体重20トン以上のザトウクジラが現れ、ヒレの下に彼女を巻き込みました。彼女は万事休すと思いましたが、クジラはゆっくり旋回した後、彼女を放しました。その時、付近から離れ去るイタチザメの姿が目に映ったのです。彼女はクジラが自分を守ろうとしていたと信じています。

弱者の救済

スイスでスキーを楽しむ、プラハで難民の子どもたちを救う。あなたなら、どちらを選びますか。ニコラス・ウィントンは、平凡な人でしたが後者を選びました。1938年、ドイツ軍がチェコ・スロヴァキアに侵攻しようとしていた頃、彼はプラハのユダヤ人難民キャンプを訪問して惨状を目撃しました。そして、何とかしなければと救援計画を立てたのです。寄付金を募って、数百人の子どもたちを第二次世界大戦勃発前に脱出させ、英国の家庭で世話をしてもらえるように手配しました。

弱者に手を

マザー・テレサのノーベル平和賞の受賞は驚きに値しません。彼女は例によって「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、病気の人、必要とされることのないすべての人、愛されていない人、誰からも世話されない人、そのような人々の名において」賞をもらったのです。また、生涯の大部分を彼らにささげました。

えこひいき

義弟のジェリッツは、2000kmも離れた町に住んでいます。優しくてユーモアがあり、離れていても、みんなに愛されています。兄弟たちはお母さんっ子だった彼に「ママのお気に入り」と書いたTシャツをプレゼントしたほどです。こういう遊びは楽しいですが、本当のえこひいきは冗談にもなりません。創世記37章でヤコブは息子ヨセフに袖付きの長服を与えましたが、それは他の息子たちに彼は特別だと示しました(3節)。ヨセフが一番好きな子だと公言したのです。

座席番号2Dに座る人

ケルシーは11ヵ月の娘と酸素吸入の機器を抱えて、飛行機の狭い通路を進んで行きました。娘には慢性の肺疾患があり、ふたりは治療のために旅をしていました。予約したひとつの座席に親子で座ると程なく、客室乗務員がやって来て、ファーストクラスの乗客が席を代わると申し出ていると言われました。ケルシーは感謝の涙を流しながら通路を歩き、ゆったりとした座席に腰を下ろしました。一方、見ず知らずの親切な乗客が、彼女の席に着きました。