子どものように
女の子が礼拝中、賛美の曲に合わせて腕を振ったり、回ったり、足を上げたり、通路で楽しそうに踊っていましたが、母親は制止することもなく微笑みながら見守っていました。その子を見ていると一緒に踊りたくなりましたが、そうはいきません。子どもの頃のように、自由に喜びや驚きを表現しなくなって、ずいぶん長い時間が経ちました。私たちは成長して大人になり、子どもっぽい行為をしなくなります。しかし、だからといって、喜びや驚きに蓋をしてはいけません。
間違ったプライド
偉業を成し遂げた人を現役でも「レジェンド」と呼ぶことがあります。プロ野球選手だった友人は「レジェンド」のように振舞う多くのスポーツ選手に会ったと語ります。高慢は自分を見失わせがちです。謙虚ならば、本当の自分が見えてきます。
押さえつける言葉
ある日、大学の哲学の授業で、ひとりの学生が教授の見解に対し怒った口調で意見を述べました。すると教授は、彼の発言に感謝して、次の人の意見に移りました。授業の後、学生たちは驚いて、なぜ反論しなかったのかと教授に尋ねました。すると彼は「私はね、相手を押さえつけるようなことを言わないように自分を律しているのだよ」と答えました。
私ではない
アルトゥーロ・トスカニーニは20世紀の偉大な指揮者ですが、功績をひけらかさない人としても知られています。ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団の指揮者としてベートーヴェンの第9交響曲のリハーサルを行ったときの逸話が、デヴィッド・ユーアン著「ディクテイターズ・オブ・ザ・バトン」に記されています。団員たちはトスカニーニを大喝采しました。しかし「私ではない…ベートーヴェンだ!トスカニーニはつまらん者だ」と涙を浮かべ、声をつまらせました。
最後の者が先になる
先日、飛行機に搭乗すると頭上の荷物置きがいっぱいで、最後尾の席の上に手荷物を入れることになりました。つまり、乗客全員が降りた後でないと、自分の荷物を回収できないわけです。しかし、席に座るとふと、主がなさったこと、という思いがよぎりました。「待っていてもどうということはない。むしろ、君のためになるよ」と言われたように感じて、笑ってしまいました。着陸後は、他の客の荷物を下ろしたり、客室乗務員の片付けを手伝ったりして時間を潰し、自分の荷物を取って降りる時には、航空会社のスタッフと間違えられ、また笑ってしまいました。
人間らしさ
警察官は地域の安全のためにある種の権限を与えられていますが、その巡査は偉ぶりもせず、自分たちは「危機の中にいる人と共に働く人間」だと言いました。彼の謙遜な態度は、ローマ帝国の迫害に苦しんでいた仲間に向けられた使徒ペテロの言葉を思い出させます。
仕え、仕えられなさい
マリリンは長い間病気で沢山の人の世話になっているので、どうすればお返しができるだろうと悩んでいました。ところがある日「人に仕えるだけでなく、人の奉仕を喜んで受け入れる謙虚さが増し加えられるよう、みんなのために祈りましょう」という祈禱課題を読みました。そして、借りを返さなくてはと思わずに、ただ心から感謝して、みんなに仕える喜びを味わってもらえればよいと気づきました。
無名
昔、雑誌「ザ・ライター」に掲載されたジェイン・ヨーレンのエッセー「作者不詳になるために」をコピーし、ページが擦り切れるほど何度も読みました。彼女は「最高の作家は心の底から作者不詳と署名したい人です。内容が大切なのであって筆者が大切ではないからです」と語りました。
他の人を顧みる
ハイメは巨大な多国籍企業で働いています。新入社員の頃、社内で人が話しかけてきました。彼は相手の質問に答えると名前を尋ねました。すると「リッチです」とのこと。ハイメは「初めましてリッチ。それであなたの仕事は?」と尋ねました。すると彼は「この会社のオーナーです」と答えたのです。ハイメはハッとしました。この飾り気のない人が、世界有数の富豪のひとりでした。