Category  |  苦しみ

ささやきしか聞いていない

ニューヨークのグランドセントラル駅には、喧騒(けんそう)の中でも安らげる「ささやきの回廊」と呼ばれる場所があります。そこでは、通路の一方のアーチの基部に立って御影石の壁にささやくと、約10メートル離れた通路の反対側の壁で聞いている人に伝わります。音波が湾曲した石の上を伝わって届くからです。

灰の代わりに頭の飾りを

コロラド州のマーシャルで発生した州史上最悪の火災の後、ある団体が被災者の大切な物を探し出す活動をしました。しかし、被災者たちの願いもむなしく、ほとんど何も見つかりませんでした。ある男性は静かに結婚指輪の話をしました。2階の寝室の鏡台の上に置いたそうです。家は焼失し、中の物は焼けるか溶けるかして、地下室のあった辺りでがれきになっています。寝室があった辺りを捜索班が探しましたが、成果はありませんでした。

庭で

父は、神の造られた自然を愛し、キャンプや釣り、石の収集などを好みました。また、庭いじりも楽しみました。しかし、これは重労働です。枝の剪定(せんてい)や、土起こし、種植えや苗植え、草抜き、芝刈り、水やりと、膨大な時間を費やします。しかし、手入れの行き届いた芝生、おいしいトマト、美しいバラなど、十分に価値がありました。バラは毎年、強剪定します。すると翌年には、より美しく、かぐわしく成長しました。

選択

友人が亡くなって半月ほどして彼女の母と話す機会がありました。「いかがですか?」と聞くのはちゅうちょされました。だって、悲しいに決まっています。しかし、その気持ちを押して尋ねました。すると彼女は「大丈夫。私は喜びを選ぶから」と答えました。

降りかかる災い

アメリカの第18代大統領グラントは、退任後、全財産をだまし取られました。数カ月後、不治のがんと診断されると、作家マーク・トウェインに勧められて回想録を執筆し、死の1週間前に完成させました。遺される家族の生活を心配してのことでした。

神の壮大な物語

ライフ誌(1968年7月12日号)の表紙は、飢えた子どもたちのぞっとする写真でした。ナイジェリア内戦のビアフラで撮影されたものです。心を痛めた少年が牧師に尋ねました。「神さまは知っているの?」牧師は「知っておられるよ。それならなぜって思うだろうけど」と答えました。少年はそんな神ならいらないと言いました。

追い詰められた

昔、友人が、複雑に入り組んだ交差点で立ち往生した話をしてくれました。「そんな場所は見たこともないし、教えられた交通規則は通用しそうもなかったし、すごく怖かったの。それで、交差点の角っこの道端に立って、バスが来たときに『向こう側まで乗せてってもらえませんか』って、運転手さんに頼んだのよ。そこを渡ることに慣れるまでにずいぶんかかったわ。歩いて渡るのも、車で通るのもね」

良い牧者

教会員の男性が家族を捨てて出ていったと聞くと、ウォーレン牧師は、彼と町で偶然出会って話ができるように祈りました。すると、町の食堂で彼を見つけ、「隣に座っていいですか」と声を掛けました。やがて、2人は語り合い、一緒に祈り始めました。

涙の中の祝福

英国在住の若い男性から米国の私にメールが来ました。彼の63歳の父親が病院で生死の淵をさまよっていると言います。私は、この2人と面識はないのですが、父親の方とは仕事の関係で頻繁なやり取りがありました。息子は、父に励ましと祈りのビデオメッセージを送ってもらいたいと依頼してきました。私は感動して、短いあいさつと癒やされるように祈る動画を作りました。父親はその動画を見て、心から喜んだそうです。しかし、残念なことに、数日後、彼の訃報が届きました。妻の手を握ったまま、息を引き取ったそうです。