空っぽが一杯に
子ども向けの人気本に、帽子を脱いで王様に礼をした貧しい少年バーソロミューの話があります。彼は何度も帽子を脱ぎますが、そのたびに別の帽子が頭に現れ、王様を怒らせてしまいます。彼は処罰のために連行され、その途中も帽子を脱ぎつづけますが、そのたびに別の帽子が現れます。その上、帽子はだんだん上等になり、最後には、高価な宝石や羽飾りまでつきました。すると、500個目の帽子を王様が気に入りました。バーソロミューは赦され、帽子を金貨500枚で王様に譲りました。ついに少年の頭から帽子は無くなり、彼は家族を養うお金を持って家に帰りました。
離れても見捨てない
姪が別れを告げに来たとき、こみ上げてくるものがありました。ボストン大学の大学院に通うために引っ越すのです。大学の4年間も家を離れていましたが、同じ州にいて2時間半ほど車を走らせれば会うことができました。ところが今度は千キロ以上も離れた所に行くのです。頻繁に会うことはできません。彼女を神の御手に委ねるのみです。
テントで暮らす
故郷のミネソタ州は多くの美しい湖で知られ、私は神の造られた大自然の中でキャンプをするのが大好きでした。しかし、テントで寝るのは苦手でした。特に雨の夜、テントが雨漏りして寝袋が湿っぽくなるのは困ります。
シモンの答え
レフュジ・ラビンドラナスはスリランカで10年以上、中高生伝道をしています。彼らの話に耳を傾けたり、相談に乗ったり、ただ楽しく過ごしたりします。彼は中高生たちが大好きで、夜遅くまで奉仕することもあります。しかし、将来有望な生徒が信仰から離れていくと挫折感にかられ、自分はルカの福音書のシモン・ペテロみたいだと思うこともあると言います。
喜びと苦しみ
幼い息子が初めてレモンをかじったとき、鼻にしわを寄せて目をつぶり、舌を出すと「すっぱ〜い!」と叫びました。私は笑いながらレモンを捨ててあげようと手を伸ばしました。しかし、彼は「だめ!」と言って逃げ出し、顔をしかめながら全部食べると、皮だけを私に渡して去っていきました。私の顔も酸っぱさにゆがみました。
日々の祈り
歌手で作曲家のロベルト・ハムレットの母親は、毎朝、息子たちがバス停に向かう前に必ず祈っていました。ハムレットは「私のために祈る人」という曲を作り、母親にささげました。この歌を聴いた女性が、息子を送り出す前に彼と祈るようにしたところ、ある朝、嬉しいことが起こりました。息子は出かけて5分ほどすると、数人の友だちを連れて戻って来ました。びっくりして何事かと尋ねると「この子たちはまだ、祈ってもらっていないんだ」と答えたのです。
レースを完走しよう
リオ五輪でふたりの選手が世界中を感動させました。陸上女子5千メートルでニュージーランドのニッキー・ハンブリン選手とアメリカのアビー・ダゴスティーノ選手は、およそ3200メートル地点で接触し転倒しました。アビーは先に立ち上がりましたが走り去らずにニッキーを起こしました。しかし転倒で右足を痛めたので、走り出すとよろめきました。すると今度はニッキーが立ち止まり、アビーを励ましました。そして、よろめきながらゴールした彼女をしっかりと抱き止めたのです。何と麗しい姿でしょう。
私たちの分
子どもの頃、母が焼いたパイの分け前をめぐって兄弟げんかをしたものです。ある日、いつもの騒ぎをあきれ顔で見ていた父が、自分の皿を持ち上げると「かあさんの心と同じくらい大きいやつを頼むよ」と言いました。母は笑いながら一番大きなピースのパイを父の皿に盛り、私たちは唖然としました。
指揮者を見て
世界的に有名なバイオリニストのジョシュア・ベルは、アカデミー室内管弦楽団を独自の方法で指揮します。指揮棒は振らず、ストラディバリウスを弾いて、44名のメンバーといっしょに演奏するのです。ベルはラジオ番組で「バイオリンを弾きながらでも様々な指示を出すことができます。メンバーは、私のバイオリンの音や眉の動き、弓使いの小さな変化で、私の求める音を理解します」と語りました。