そばに来てかがむ
小さな子の母親が懸命に自転車の練習をする娘の後ろを追いかけていました。子どもはスピードを制御できなくなって自転車は転倒し、女の子は足が痛いと泣き出しました。母親は静かにかがんで膝をつき、痛みが飛んでいくように足をなでました。効果てきめんです。少女は立ち上がって練習を再開しました。私たちの痛みが全て、これほど簡単に消えたらどんなによいでしょう。
善にしがみつく
車を青空駐車場に止めて敷地を横切って家に帰ると、オナモミの実が服にくっつきます。俗称「ひっつき虫」。秋は特に厄介です。それは、服や靴、通りすがりの何にでもくっついて移動し、近隣の草地ばかりか世界中に種をばらまいて増えていきます。
神は
両手いっぱいに荷物を抱えた男性が、20メートルほど先を歩いていましたが、つまずいて転び、荷物が散乱しました。周りの人が助け起こし、物も拾ってあげ、彼は歩き出しましたが、後ろにいた私は、財布が落ちていることに気付きました。そして、それを拾って追いかけました。「すみません!すみません!」と呼び続け、ようやくその人が振り返ると、私は追い付き、財布を渡しました。その時の彼の驚きと安堵(あんど)、感謝の入り混じった表情を、何年も経った今でも鮮明に覚えています。
警告音
ガラガラヘビと遭遇した経験がありますか。もしあれば、蛇に近づくにつれて、ガラガラという音が激しくなるのに気付いたでしょう。学術雑誌『カレントバイオロジー』に掲載された論文によれば、この蛇は敵が近づくと音を増幅させ、実際より近くにいるように見せかけるといいます。「聞き手に距離を誤解させ……安全な距離を確保する」そうです。
おいしい食事
ローストチキンと付け合わせ、ロールパンのごちそうを、54人以上の路上生活者が受け取りました。ある女性がレストランで友人たちと54歳の誕生日パーティーをする代わりに、シカゴの路上で暮らす人々においしい食事を提供したのです。そして、あなたも誕生日の記念に慈善行為をしませんかとSNSに投稿しました。
小さな親切
アマンダは老人ホームを巡回する看護師ですが、11歳の娘ルビーをよく一緒に連れていきます。ルビーは時間つぶしに「3つだけ欲しいものがもらえるなら、それは何ですか?」とホームの住人に尋ね、その答えを書いていました。驚いたことに、多くの望みは、ソーセージやチーズ、チョコレートパイやアボカドというちょっとした物でした。そこでルビーは、クラウドファンディングをして、彼らの望みをかなえています。プレゼントを配るときはハグをしました。「元気をもらうの。本当に嬉しくなるの」と彼女は語ります。
友
彼と出会ったのは1970年代。私が高校の英語教師でバスケットボール部のコーチをしていた時です。ひょろりと背の高い新入生は、私のクラスの生徒になり、バスケ部にも入りました。やがて2人の間には友情が育まれ、その後、編集者として共に長く働きました。私の定年退職の祝賀会では祝辞を述べてくれました。
隣人を愛する
コロナ禍によるロックダウンや自主隔離の中で、キング牧師の「バーミンガム刑務所からの手紙」が心に迫りました。キング師は、不正義に関して、他の町のことだと無視することはできないと述べました。「私たちは逃れることのできない相互関係という縦横の糸に捕えられ……運命という一つの衣を織り出している。誰かが直接影響を受ければ、他の人々は間接的に影響を受ける」と書いています。
兄弟姉妹
カウンセリングルームに行くと、カレンは泣いていました。彼女は結婚を願う42歳でしたが、好意を示してきた人は、既婚の上司でした。カレンは父に相手にされず、兄にいじめられて育ったので、自分は男性に付け入られやすいと分かっていました。信仰をもってからは一線を引いていましたが、結婚願望は去らず、この恋に悩まされていました。