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生きて働く信仰

サムの父親は軍事クーデターのために亡命を余儀なくされました。収入が突然絶たれ、病気の弟の薬代に困り、私たちが何をしたというのか、と、憤まんやるかたない気持ちでした。彼らの苦境を聞いたクリスチャンが、自分の払える範囲で薬を買って届けました。家族は見知らぬ人の親切に感動しました。母親は、「今度の日曜日、家族でこの人の教会に行きましょう」と言い、サムの怒りも徐々に収まりました。そして、家族がひとり、またひとりとイエスを信じたのです。

偉い

北部イングランドの人々は7世紀の聖カスバートを敬愛します。その地域一帯に福音を伝え、国王に助言し、国政に影響を与えました。ダラムは、彼の栄誉をたたえて建設された都市です。しかし、その偉大さは、疫病が流行ったとき、別の形で表れました。カスバートは村々を巡って人々を慰めました。ある時、祈り忘れた人はないかと確かめると、子どもを抱いた女性がいました。彼女は既にひとりの息子を亡くし、その子も瀕死の状態です。カスバートは、高熱の子どもを抱いて祈り、額にキスし、「恐れないで、あなたの家族は、もう誰も死なない」と告げました。子どもは助かったと言われています。

優しさという遺産

マーサは小学校の教諭助手として30年以上働く中で、毎年、お金を貯め、新品のコートやマフラー、手袋を貧困家庭の児童に買っていました。彼女は白血病で亡くなり、偲ぶ会に集った人は、お花代のかわりに何百着ものコートを貧困家庭の小学生のために寄付し、故人の数々の温かい思いやりを語り合いました。同僚の教師たちは、マーサを記念するコートの寄付運動を3年間、毎年行いました。マーサは地域に優しさという遺産を遺し、貧しい人に気前よく仕える働きが推進されました。

立派な生活態度

オーストラリアの外科医キャサリン・ハムリンについて、彼女の死亡記事を読んで初めて知りました。キャサリンは夫とともに、世界で唯一の産科瘻孔の専門病院をエチオピアに設立しました。産科瘻孔(さんかろうこう フィスチュラ)は、肉体だけでなく精神的にも大きなダメージを女性に与えます。出産によって産道に穴が出来る疾患で、発展途上国で多くみられます。キャサリンはこの病気に悩む6万人以上の女性の治療を監督したといいます。

波及効果

ガーナ北部に小さな聖書学校がありました。トタン屋根とブロック壁の校舎に数名の学生。お世辞にも立派とは言えませんが、ボブ・ヘイズは、ここでの教育に人生をささげました。時に不承不承の学生たちを鼓舞し、伝道、説教、リーダーの役目を担うように教えました。ボブが召天してずいぶん経ちますが、十指に余る教会や学校が目覚ましく成長し、二つの聖書学校が設立されました。すべてボブの教え子たちが開拓しました。

私を必要とする人

ワシントンDC行きの深夜便で、後ろの席の年配夫婦の会話が漏れ聞こえてきたと、評論家アーサー・ブルックスは語ります。妻が「もう誰もあなたを必要としていないなんてうそよ」とささやくと、夫は「死んだほうがましだ」などとつぶやきました。すると「そんなことを言うのはやめて」と妻が応じていました。到着後に振り向くと、彼は英雄と言われる人でした。乗客は握手を求め、パイロットは、かつての彼の勇敢な行為をたたえました。そんな人が、なぜ絶望していたのでしょう。

気前の良い親切

レストランのドライブスルー窓口で働くヴィッキーは、修理不能になった車の買い替えの金策に頭を抱えていました。常連客のクリスは、それを聞いて「そのことが頭から離れず、何とかせねばと思った」そうです。すると息子が車を売りに出したと知り、それを買い取ってヴィッキーにあげました。彼女は「こんなことをしてくれる人がいるなんて…」と感激し、心から感謝しました。

借りた靴

高校3年生のゲイブは、カリフォルニア州で2018年に発生した大規模な森林火事で被災し、クロスカントリーの州大会予選に出場できませんでした。州大会を目指して4年間頑張ってきたのに、そのチャンスを失ったのです。大会委員会は状況を考慮し、ゲイブが出場資格時間内で走れるかを審査するという救済措置を講じました。しかし、彼は、ライバル校の校庭でひとりで走らなければなりません。その上、競技用シューズは火災で黒焦げになっていたので、普通の運動靴で走らなければなりませんでした。

タコスでも大丈夫

アシュトンとオースティンは聖書学校を卒業し、イエスに仕えようと志していましたが、牧師など従来型の奉仕に召されているとは感じませんでした。むしろ、世界の必要に仕えたいと思いました。ふたりは子どもの飢餓撲滅に重荷を持ち、起業する能力を神からいただいて、2014年にメキシコ料理のタコスを売り始めました。しかし、普通の店ではなく、ひとつ買って、ひとつ与える、という経営方針です。つまり、ここでタコスをひとつ買うと、栄養失調の子どもに一食食べさせるお金を寄付することになります。すでに60ヵ国以上の子どもたちを助けました。目標は子どもの飢餓撲滅です。一つひとつのタコスが、意味を持つのです。